第20話「天然殺戮マシーン」
取材を受けることに決めたあの日から一週間。今日はいよいよ当日だ。学校近くのファミレスに向かえば、首から身分証を下げた記者とカメラマンが一人ずつ。アイドルの姿はまだない。
「ハァイ!藤宮高校の凸凹トリオの皆さん!今日はわざわざ集まってくれてありがとう!〇〇記者クラブの花畑です。どうぞよろしく」
私は笑顔がひきつるのを懸命にこらえた。
「(えー!そのチーム名みたいなのやめてほしい!せめてもっとかっこいいのに、っていうかこの人スカート短っ、化粧ケバ!どゆこと!?)よ、よろしくおねがいします」
「なァそのダッセェチーム名変えていいか」
「スカート短いですねお姉さん。嫌いじゃないが品位に欠ける」
「もーほんとこの人達何でなんでもかんでも言っちゃうの。す、すいません花畑さん、一瞬作戦会、じゃない、連れション行ってきます!」
私は先輩×2の服を引っ張って、記者テーブルの死角に隠れた。
「ちょっと二人とも!設定通りちゃんとやってくださいよ」
「設定って何だよ」
「ハァ!?見てないの!?昨日の夜ラインで送ったでしょうが!」
二人の目の前に携帯画面を突き付ける。
*黒峰先輩*
ツッパリヤンキー。不器用で無口な硬派系。
雨の日捨てられた子猫を拾うなどのオールドタイプ。
*久瀬先輩*
王子系ヤンキー。勉強ができてとてもやさしい。
性格も良く、みんなの憧れの的。とてもやさしい。
*春野*
友達が多く頼れるヤンキー。
趣味はボランティア。
「この履歴書でいきます」
「ふざけんな誰がオールドタイプだゴラ」
「そのオラつき方がもうオールドタイプなんですよ」
「王子系ヤンキーってお前、俺は甘いキムチか!」
「は?何そのツッコミ。いやもうグダグダ言わずこれでいきますよ。好感度を上げるためなんですから」
席に戻った私達を、花畑さんとカメラマンさんは笑顔で迎え入れてくれた。
「お、おまたせしてすみません。今日はよろしくお願いします!」
「いいのよいいのよー!緊張しちゃうわよね」
「え、はい、まあ」
「じゃあさっそく教えてもらっちゃおうかしら」
花畑さんはにっこり笑って続けた。
「あなた達お得意の悪事のあれそれ、ぜーんぶ宜しくね!あ、法に触れそうなことはこっちでカットするから気兼ねなくしゃべってもらっていいわよ」
「………」
キャラ設定・天然殺戮マシーンとかにすればよかったかな。
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