Code:Ⅹ 励起の道標
聴覚に雑音が混じってきている。生身の鼓膜であるのにEMPの影響がここまで感じられるということは、かなりの接近をしていることがわかる。
「
現状EMPの効果を受けるエリアに入ってはいないとはいえ、それでもコントラクトからはノイズ交じりの電子音が絶えず聞こえてくる。万が一ノイズによって李雨からの通信を聞き逃せば作戦進行に関わる。油断が一切できない以上、何時もの様に気楽な考えは一切できない。今ここから、あの施設を逃げ出した時と大差の無い身になる。たった一人で、誰かの助けも求めることはできないから。
息を吸い、吐く。やや早まる心音を落ち着かせるために呼吸を意識していると、鼓膜に雑音とは違う、無線が繋がる音が聴こえてきた。
『
「うん、聴こえる」
『位置に着いたわ、後は貴女のタイミングで開始して。行動前にシグナルだけを忘れない様に』
「わかった」
李雨はそれだけ言うと通信を切った。準備は整った、後はアリスの合図で始まる。
(行こう)
茂みに隠したガンケースから愛用武器であるUMP45を取り出すと、ショルダーストラップに体を通し前面に据える。その他必要な武器類を持ち、ウロボロス輸送部隊のみ探知できるシグナルポインタをガンケースに添える。それを確認し、コントラクトに手を当てると、電子音声が発された。
《識別コード“起爆者”の生態信号を確認。ミッションスタートに伴うシグナルコードをリンクされた機器に送信しますか? Yes/No》
「Yes」
《承諾、開始コードの送信を完了》
聞き慣れた音が一つ聴こえ、指示通りシグナルを送れたことを確認した。これで蓬と李雨にアリスが行動を開始する事は伝わった。通信障害などによる妨害が起こっていなければ。だが、その心配はしなくていい。もう後は中に入り、目標物の防護壁を破壊すればいい。それだけなのだから。
身を隠していた茂みから姿勢を低くして前方に進む。眼前に建つのはヘリからも見えた混凝土の建造物。これこそがウロボロス職員のMIAと原因不明のEMP発生場所である廃棄された化学研究施設。廃棄された原因はUA-275の漏出に伴う利用不可状態と記載されていた。この近辺を囲う居住区が無人なのもそのせいだろう。
建物外周を囲うボロボロの外壁にワイヤーを掛け、ゆっくりと上る。然程高いものではないが、馬鹿正直に正面から入る訳にもいかないのは当然なので、侵入経路候補に最も近いここを乗り越える。外壁を超え、敷地内に着地し即座にホルスターのハンドガンを抜きクリアリングをする。周囲には人影や気配は依然として見えず、別段ここが特殊な環境と感じる要素も見当たらなかった。強いて言うならただの廃墟。不慮の事故で使用ができなくなり棄てられた、この時世では珍しくも無い場所。
(取り敢えず、進むしかない)
指示にあった通気口ダクトまで歩く。やや高い位置にあるそれは、小柄なアリスだったら通るのに支障はないサイズの物だった。懸念があるのなら、埃や汚れで咳き込んだり、中間にあるダクト口からの塵の落下で位置を気取られないか。潜入作戦も回数はこなしているが、そう言った微かな油断で自分の身を危険に晒す事は身に染みてわかってる。過去に一度、蓬とまだ二人きりだった頃に潜入作戦をしていた時、アリスが気を抜いて足音を少し立てたことが原因で、その後敵から銃弾の雨を浴びさせられて危うく撤退しそうになったことがあった。あの時は蓬から作戦終了後にこっぴどく叱られたので、二度としないとアリスは誓っていた。
「ん、せま……」
ダクトへと上り、金具を外し入口から中へと入る。そこは存外にも汚れやほこりが少なくて、匍匐での移動が楽そうなのがわかり少し安心した。UMP45を背面に回し、上着の裾も背中側で結び内側の爆発物が金属の床と接触しない様にすると、ゆっくりと進み始めた。
ズ、ズと微かな音を出しながら進むと、前方に明かりが漏れるダクト口の一つに差し掛かった。そこから下の廊下を覗いてみるが、人の気配はない。電灯は点り、廊下は劣化や汚濁しておらず、所々にある電子デバイスには電力が供給されていることがわかる。
――――なのに、人は全く通りがからない。声や歩行の音すらも。
かつて教え叩き込まれた自分の探知スキルに一切の反応が無い。何度も何度も神経を研ぎ澄ませ、聴覚で廊下とダクトを通る風の音を聴き、肌で空気の流れを感じ、視界の届く限界まで巡らせ、嗅覚を使い人間や火薬などの臭いを探す。
無。何もない。反応無し。であるならば、こうしてこそこそ動き回るのは非効率だと判断し、アリスは再び前方にはい進んでいく。すると、先程の廊下の天上にあったダクト口とは別の、やや弱々しい光の漏れる場所が見えてきた。
(ビンゴ、多分どこかの部屋の中だ)
念のため格子の隙間から下を覗く。見た限りでは、乱雑に書類などが積まれた倉庫の様なもので、切れかかった電球の光だけが唯一の光源だった。アリスはそこに人の気配がないことを確認すると、足でダクト口に固定されていた格子を足で蹴り外した。硬質的な音が響き、すぐ後にアリスが部屋へと降りてくる。念のためセーフティに手を添えていたハンドガンを構え息を潜めるが、やはり誰もいないままだった。
「……こういう時、二人の指示が聞けないのがやだな」
どうにも判断に迷う時、自分一人ではどうしたらいいのか逡巡する時に、蓬と李雨の存在がどれだけ大きかったのかを今更感じたアリスは、しかしそれができない現状を再確認しただけのその思考を強制的にやめた。無意味な事を考えるだけの余裕も時間はない。妨害要素の無い今がチャンス、早い段階で音響マッピングをしながら、目的の装置を探し出す。そのためには今はただ進むしかない。
倉庫らしき部屋の扉を開ける。エアロック特有の空気が抜ける音と共に廊下のクリアリングを行う。無論、先ほど見た時と同様に人の影は無し。セーフティを解除したハンドガンを両手に持ち、一歩ずつ静かに進んでいく。ブーツの底が床をゆっくりと鳴らし、気味の悪い静寂の空気を揺らす。廊下は白に囲まれていることもあり明るく感じるが、電灯は然程空間を照らしていないので少し先は薄暗かった。
「っ!!」
体が無意識に動く。弾かれる様に廊下左側の壁に背を向け跳び退ったが、直後に顔を向けていた反対の壁が勢いよく破壊され、アリスの顔面を易々と掴む武骨な手で視界を遮られた。
「ちんまい鼠が入ったなんて話を聞いて来て見りゃ、随分生意気そうなガキだなァおい? えぇ?」
「はな……せっ!」
「おっと危ねぇな」
咄嗟に腿にあったサバイバルナイフを持ち、顔を掴んでいた男に振る。が、それは空振りに終わった。掴みかかられていた手が離れた事により、アリスは後方へ勢いよく後退する。
「…………誰」
「そりゃあこっちの台詞だよガキ、一人でこんな所に迷いこむには言い訳が苦しいなァ?」
眼前の男は瓦礫を踏み砕きその体を真っ直ぐにこちらに向けてきた。その体躯はあの艾を超えようかと言う背丈、人と言うには人間離れしている隆起した筋肉。黒髪をオールバックにし同色の鋭い瞳でこちらを見る男の纏う雰囲気は、アリスの中の危険信号を容赦無く鳴らしてきていた。
――――まともに戦うのは不味い。
本能的にアリスはそれを感じていた。顔にこそ出さないが、気を抜けば冷や汗が溢れる程の威圧感が襲い来る。あれは普通の人間ではないと、己の警鐘が脳を激しく叩いて来る。
「どこのモンだ、正直に言やぁ実験の肥やしにしてやるよ」
「言う訳ない」
「そらそうだ、なら話は簡単だ」
男が右手の拳を左手の掌に合わせる。その拍子に、男の肉体はさらに大きく隆起した。
「お前を殺す」
アリスの体が――――否、頭が反射的に左に傾く。それは無意識の行動だった。顔面横を掠める殺気。頬からは流血し、衝撃波による皮膚の歪みが遅れてくる。
視えなかった。アリスには男がとった行動が何かは分かったが、それを視認する事ができなかった。
「……はぁん、ここ何年か来てた雑魚集団と同じじゃあない感じか」
とん、とステップを踏みファイティングポーズのまま笑う男。狭い廊下の直線状で、視認ができない程の素早さで攻撃をしてくるこの状態はアリスにとって不利の一言に尽きるものだった。白兵戦は勿論常人を超える練度だと自負しているが、しかし圧倒的に相性が悪い。体格差、筋力差、近接戦闘の練度の全てが相手が上と、今の時点では考えるのが自然だ。その状態でこのまま長引く戦いをするのは愚策。蓬か艾が居れば話は別だったが、肝心のその二人はアリスが当初の目的を達成しない限りここに到達することができない。ジレンマここに極まれり。
(今はとにかく、コイツをどうにかしないと……)
「オラ、次行くぞ」
再びの殺気、咄嗟に構えたサバイバルナイフとハンドガンを持つ両の手をすり抜けるように、男の拳はアリスの腹部に深く刺し込まれた。
「……ッカ、ハ」
口腔から漏れ出る僅かな空気は霧散し、小さな体躯は弾丸の様に廊下突き当りの壁まで吹き飛んだ。それはあまりにも人間の質量で飛ぶには過ぎた速度であり、壁を破砕し大きな塵を巻き上げながら壁の奥にその姿が消えていった。
「……んだよ」
小さく男がごちる。一発目の拳は手を抜いたとは言え避けたあの少女に僅かな期待を抱いたが、それは見当違いだった様だと嘆息する。
男は腰に手を当てて前方を見る。無類の戦闘狂であり、そして同時に化学者でもある男は、懐から取り出した簡易注射器を徐に首筋の動脈にあてがい中の液体を注入した。
「――――ぁあ、やっぱキくな……コイツは」
その中身、蛍光色に着色されたその液体は、この世界の均衡を崩した原因である『UA-275』だった。
――――UA-275。それは究極の物質にして世界の均衡を瞬く間に崩壊させた忌み物。
2243年、マリアナ海溝最深部より発見された半恒常液状活性エネルギー体『Unknown Activation』の精製成功例。正規の手順で精製し、正しく投与・付加されたUA-275は有機物に限らず無機物にまでその物体の持つ性質を活性化、または顕著な顕在化と強化をもたらすことが出来る。鉄であるなら剛性や弾性の上昇、水ならば極端な純化、人ならば人体機能の活性化と言った具合に。
しかし正規の手順を踏まずに接触した場合、無法則の性質・能力の活性化・顕在化と強化を発生させ、人間であれば脳機能の過剰運用による自我の崩壊と肉体の異常、物体であれば性質の異常な顕在化と強化・無法則の性質暴走が起こる。簡潔に言えば、本来その存在や物体に備わっている性質・能力の暴走、または備わっていない性質・能力が付加される。
人間がその精製法を確立し、人類の歴史は大きく躍進する――――とはいかなかった。あらゆる物質に作用し、しかもその効果は現状恒久的に顕在化し続け減衰・消滅する事が無い。つまりは人口増加に伴う資源不足を打開する事も可能であり、世界平和を謳う世の中なら有用に使い賢しく手を取り合うはずだ。
だが、人間はそれでも愚かしく卑しい存在だった。
それほど便利万能な物質を『もし自分達で独占出来たら』と考えた。そして行き着いたのは、独占し他国との取引の材料として用い、自国の更なる成長の糧としようとした。そうして2250年、太平洋沿岸諸国と大陸・欧州諸国による第四次世界大戦の勃発。その最中に発生したUA-275の漏出事故によって土壌から動植物、人間に至るまで汚染し始め、世界は人間だけの物ではなくなった。
「はぁ……拍子抜けもいいところだ。死体は回収させるとしてこの状況どうすっかねぇ……また小言言われ――――あん?」
男が僅かに落ちた髪を掬い上げオールバックを整えていた時だった。瓦礫の向こう、暗闇の中に一瞬何か気配を感じた。それは紛う事無くアリスしかありえない。
しかし、男にはあの小柄な少女が再び立ち上がったとは思えない。体の真芯を捉えた一撃、内臓がいくつかやられていると考えるのが自然だろう。それなのに、男は前方にある正体不明の気配に意識がいって仕方がなかった。
光の反射。未だ塵の立つ中からほんの僅かな明かりの反射を感じたが、男はそれを判別するまでには至らなかった。男は無意識の内に出された右腕に鋭い痛みを感じる。
「ってぇな……なんだこれ、ナイフ…………っ!?」
塵の中から腕を貫いたのはサバイバルナイフ。鋭利なそれは男の分厚い腕に深く刺さっていた。それを引き抜こうとした矢先に、今のナイフとは違う明確な殺意が自身に向けられているのを感じ取った男は、咄嗟に身を床に這わすように屈める。その頭上を鉛の玉が数発、乾いた音と共に通過していった。
「はっ……はっ……!」
「……あぁなるほど、ずらしたな?」
低い姿勢のまま前方を見据える男の視界に、塵が晴れた廊下と、腹部に手をやりながら生き絶え絶えにも立ち、ハンドガンを構える少女の姿が映った。その姿に、男は先程の殴打の際に感じた違和感の正体に気が付いた。
「俺の拳を防ぎきれないと踏んで咄嗟に左手で接触面をずらしたな?大したもんだぜ、あの一瞬で対応したのは初めて見た」
「……っ」
「お……っと」
アリスが右手を自身よりも後方に引く。すると、微かに見えるか見えないかのレベルの銀糸が、男の腕に刺さっていたナイフを引っ張り抜き、少女の手元に戻った。
「いいねぇ、噛み応えのあるモンは好きなんだ。嬢ちゃん、名前は?」
「……起爆者」
「コードネーム、か。それもまたいいだろう。俺ァキリアっつうモンだ」
「聞いてない」
「勝手に言ったんだ、覚えとけ」
敵を前にして豪快に笑う男――――キリアに、アリスは顔を顰めながらも戦闘の姿勢を崩さない。いやに友好的に見えた所で、ここは敵地ど真ん中。警戒心を緩める暇は須臾の間ですら存在しない。アリスは手に持ったハンドガンをホルスターに仕舞い込み、ナイフの血を振り払った。
(銃弾を避けたってことは効かないほど強化されてる訳じゃない……切り札にしつつ近接戦闘をするしかない)
「おーおー怖いねぇ、その歳の嬢ちゃんがしていい顔じゃないぜ?」
「うるさい」
「その左腕のはなんだ? 化学者の血が言っている、随分良い物着けてんな?」
「……化学者? その図体で?」
「ひでぇな、こんなナリの化学者だっているんだぜ?」
じりじりと距離を詰めながら、アリスはキリアの僅かな動きを凝視していた。自分にとって先手を打たれる事は最早避けられないのは分かっているので、アリスは男の動きから次の動作を予測し、先に動けるように全神経を向けていた。今まともにやりあう気はない。ここを離脱し、当初の目的物を探すのが第一だからだ。
「さぁて――――」
視界に移ったキリアの足の筋が弛むのが見えた。アリスは腰を落とし、右足を半歩下げる。
衝撃。
長く白い廊下の空間一杯に、戦車砲を至近距離で放った様な衝撃波が走った。圧迫された空気は逃げるようにダクトや廊下の先へと駆け、不協和音を奏でている。キリアはその音をの心地良さに目を閉じていた。その余韻も、キリアの拳に伝わる自分の物ではない感触と温度に気付いたと同時に消えて無くなってしまった。
「――――おいおい、まぁじかよ……」
少女の体躯は凡そ150㎝、男の丈が190の半ばであることを考えればまず間違いなく、十人が十人、百人が百人、その全力の攻撃を真正面から受け止めるのは無理と答えるだろう。それは気合いだの根性だので覆すことができない物理的限界からくる結果だ。
――――では、それ以外の論理的帰結が可能な要素があるなら?
「ふっ……ぐ…………!」
「……なァるほど、そう言うカラクリか」
少女は、アリスは、キリアの拳をその小さな掌で抑え掴んでいた。細く白い指からは想像もできない力がキリアの拳を僅かではあるが歪める。その握力は尋常ではないものということはキリアにも理解できていた。そして、その原因が少女の左腕で低く唸るサポーターにあることも理解した。
「そいつ、もしかしなくてもUA-275を使った内燃式ブースターだな? ご丁寧に関節強化と人体活性化促進剤まで準備している辺りそいつを作った奴は分かってんなァ」
「……ッ!」
アリスの左腕関節にあるサポーター内部から、沸騰した液体の音が絶え間なく聞こえる。その音に呼応するようにアリスの四肢の血管が表皮にその存在を主張する様に浮き上がり、瞳は鮮血のような赤に翡翠色のにじみが浮き上がっていた。
本来、UA-275の人体への投与は決められた手順を違う事無く踏み、正確に動脈へと投与されなければ不正接種となり脳機能が暴走の末に破壊される。正しい知識と機材が無ければ、人間は触れる事すらできないものだ。
だが、アリスのサポーターは既に精製済みのUA-275をサポーター内で常に循環させており、任意で内側にある投与口から身体にUA-275を摂取する事ができる。その精製効果は『身体強化』、通常の筋能力や骨密度、関節強度などを投与し効果が続く限りそれを継続させる効果がある。それにより、今アリスは己よりも一回りも二回りも大きな体躯と筋力を持つキリアに拮抗することができている。
「こいつは面白くなってきたなァ嬢ちゃん……いいや、起爆者!!」
キリアが未だ空いている左腕を握り振りかぶる。それは真っ直ぐにアリスの右側頭部を狙ったもの。拳は真っ直ぐに進み――――。
「っ……!!」
アリスがその拳に自分の右拳を合わせる。吸い込まれる様にその拳同士が接触し――――そして激しい閃光と音がキリアの視界と耳を塞いだ。
「なんだ!?」
白んだ視界に怯んだキリアは咄嗟に距離を取る。後方へと跳び、数秒使用不可となった視覚と聴覚が徐々に回復したキリアの眼前にあったのは、薄暗い廊下と崩れた瓦礫、そして自分の呼吸音だけだった。
「チッ……拳にフラグレ仕込んで俺に殴らせたな」
アリスがとった行動は単純。戦線離脱を目論んだ少女は男の拳が向かってきたのを確認すると同時に、上着の内側にあったフラッシュグレネードを右手の指の隙間に挟み握った。そのまま拳を合わせ、ピンを抜く動作を刹那の後に行った後即座に起爆できるよう、キリアの攻撃の衝撃をグレネードに伝えさせた。結果は成功。閃光が広がるのをわかっていたアリスは目を閉じ、キリアが後退したのと同時に脳内に記憶していたダクト口へと走り飛び込んだ。
「はぁ……、折角面白ェやつ見つけたってのに逃げられたな。ま、あの様子ならまだここにいるだろ。適当に歩きながら探すか」
キリアは頭を軽く掻きながら踵を返した。隆起していた肉体は元の様に異常な膨張が無く、転がる瓦礫を器用に避けながら廊下の奥へと姿を消した。
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