第三回 ささやかな願い

「奏」

 呼ばれて振りかえると、ぱたぱたとシュワルラリカが歩を合わせるように追いついてくる。

「シュワルラリカさん」

「シュワルラリカでよいぞ」

「なら、シュワルラリカ」

「うむ」

 意味のない呼び合いが少しだけ照れくさい。彼女がわたしのために微笑むだけでなんだか心の隅っこのほうがしくっと疼く。

 接してみると、シュワルラリカは言葉が少々大げさなのと感情の発露がストレートなだけで、本質はとても素直でよい子だということがすぐにわかった。わたしはいっそう先ほどのあやまちを悔いたが、彼女がそれを気にする素振りなど微塵もないので、わたしもいつまでも気にしていては駄目だ、と気持ちを新たにしたところだった。

 わたしたちは、ロロ先輩、角くん、累くん、そして朝乃さんとシュワルラリカの六人で、エルフィン寮から校舎へと向かう小径を歩いている。

 シュワルラリカの歩幅が小さいので、つい遅れがちになってしまう。意識して歩調を合わせはするけれど、男の子たちがどんどん先へ行ってしまうので、とうとう呼び止めて、ゆっくり歩いてもらえないかとお願いし、やっとみなで並んで歩けるようになった。


 食堂でのシュワルラリカの紹介が済んだあと、しばらくしてわたしの部屋に朝乃さんがやってきた。これからシュワルラリカを連れて学園長のところに行きたいが、彼女がわたしと一緒でないといやだと言うのだそうだ。ついてきてくれないかという。

(今日はもうちづるには会うのは無理かなあ……)

 どうしてわたしが、と思ったが、罪滅ぼしの意識がどこかにあったからだろうか、結局わたしはふたりについて学園長室に同行することにした。そうしたら、なぜか皆で一緒に行くことになってしまった。三人で出かけようとしたところへちょうどロロ先輩が通りかかり、何処へ行くのかと聞くので学園長室だというと、「へえ、学長って僕直接会ったことないんだよね」と羨ましそうに言う。するとシュワルラリカが、

「よいぞ。同道せよ」

「はいっ!」

 ロロ先輩がよろこんだところへ、タイミングが良いのか悪いのか、角くんと累くんがやって来て、

「おお。そなたらか。そなたらも共にまいれ」

 それでけっきょく、こんなに大人数になってしまった。


「いいんですか? こんなにおおぜいで」

 朝乃さんに聞くと、「大丈夫じゃないですか?」と、あっけらかんとしている。「累さんだって学園長とは初対面でしょう? ちょうど良かったじゃないですか」

「は、はい」思わぬ学園長先生との面会に、累くんはやや緊張気味なようだ。そういえば累くんは途中編入なのに学園長先生との面談がなかったのかしらと思う。

 わたしが学園長先生に会うのはこれで二度目だ。一度目にあったのはまだ寒い時期だった。最初に世話人のかたとここを訪れたとき、先生はとても紳士的でやさしく丁寧に接してくださった。だから累くんも緊張することはないですよ、と言ってあげた。

「日曜日なのに、いらっしゃるんですね?」と角くんが朝乃さんに聞く。

「さきほどお電話したら、きょうは出勤しているそうです」

「忙しいんだ」

「お仕事が好きなだけですよ」

 新緑の若葉が目に眩しい。道の上に、木漏れ日がきらきら射している。ときおりさわさわと枝が揺れて、たっぷりの湿り気と植物の青い匂いを含んだ風が木立ちの間を抜けてくる。みなでゆっくりと歩く山径は気持ち良くたのしかった。ちづるには悪いが、これはこれで良い日曜日だと思った。

「学園ではわたしたちの正体は隠してくださいね」朝乃さんがシュワルラリカに言う。

「人間はデリケートだからね」とロロ先輩。

「それは知っておる。養育係が人界にいたことがあるので、話しは聞いていた。そのあたりは心得ておるつもりじゃ」

 シュワルラリカは今は背中の翅をしまって、長い銀の髪をうしろで束ねて結んでいる。身一つでこちらの世界に来てしまったので、いまはわたしの服を貸してあげている。わたしよりもひとまわり小柄なので、あちこちかなり余っている。


 構内まで下りてくると、彼女は見るものすべてに目を輝かせた。野球やサッカーのグラウンド、テニスコートなどの傍を通るたび、あれは何か、これは何かと声をはずませて質問した。

 それぞれの施設では、部活の人たちがけんめいに球を追う姿が見られた。

「テニス部は大会が近いみたいだね」

 自身もスポーツ好きだという角くんが教えてくれた。

「休日だっていうのに、みんなよくやるよ」

 ロロ先輩は首の後ろで手を組んで歩きながら、呆れたように言う。

 昇降口を入って、一階奥の学園長室に向かう。扉の前にたどり着いて、朝乃さんがドアをノックすると、

「どうぞ」

 凛とした声で返事があった。

「失礼します」

 わたしたちは学園長室に入室した。


 学園長先生は、ほとんど銀に近い金色の髪に青い瞳、こちらの世界で言うアングロ=サクソン系というのだろうか、いわゆる外国人と同等の容姿をしている。シルバーフレームの眼鏡の奥に鋭い輝きをもった、精悍な雰囲気のある人で、話してみるととても優しい人、という印象をわたしは持っていた。会う前は学園長という職からもっとご年配なのかと勝手に想像していたが、会ってみて、かなりお若い方なのだな、と感じた。あとで先生もエルフ族であることがわかって、朝乃さんのように実際の年齢は見た目とは全然違うのだろうと想像するにいたった。

「ようこそ、柏葉学園高等学校へ。キダートン領主レヴィン様の娘御、シュワルラリカ殿。私が学園長のショーン・オブライエン……エルフとしての名をライアルと申します」

 先生は椅子から立ち上がって恭しくシュワルラリカを迎えた。良く通る、はりのきいた美声だ。

 以前朝乃さんが教えてくれたが、エルフ族は姓をもたない。だから朝乃さんも朝乃さんだし、シュワルラリカもシュワルラリカだ。先生は人間と接するために、便宜上ほかの名も使っているのだ。ついでにいうとあの眼鏡も、強すぎる眼光を人に浴びせないための特殊なものだそうだ。

 先生のシュワルラリカに対する態度をみても、彼女がかなり格式の高い名家の令嬢であることがわかる。

「シュワルラリカじゃ」

「私はロングシャーのほうにおりましたので、キダートンのお方とは初めてお目にかかりますな。ここではどうかのびのびと学んで下さい。あなたが当学園で充実した日々を過ごされることを願っています」

「うむ。そのつもりじゃ。よろしく頼みます。学園長先生」と彼女が礼をするので、

「これは……驚きましたな」先生も目を瞠った。

「目上や年上には敬意を払う――と奏に教えられたのだ」とシュワルラリカはわたしを見た。

 わたしは驚き半分、うれしさ半分でつよく頷き返した。

「そうでしたか」先生は深く頷いて、「あなたには、一年三組に編入していただくのがよいでしょう」

 それはわたしたち――わたしと累くんと角くんのクラスだ。


「君たちも、よく来てくれたね」と、先生はわたしたちにまで言葉をかけてくれた。「そういえば、相馬累くん。君もこのたび転入でしたね」と、累くんを見る。

「は、はい、そうです」累くんは居ずまいを正してお辞儀した。

「お父上から、君のことはよく頼まれている」

「えっ、そうなんですか?」と、累くんは意外そうに顔を上げる。

「君のお父上とは旧知の間柄でね」

「父と?」

「うん。もう何年も前になるが、一緒に東北地方を旅行したこともあるんだよ」

「へえ……」と、意外そうな顔をする累くん。

「最近はお忙しくされているようだね」

「はい。そのようです……」

 累くんは伏し目がちに答えた。声のトーンで父親に対するわだかまりがあることは、明らかだった。

「ところでどうだね、エルフィン寮は」先生は話題を変えて、ふたりに聞いた。

「うむ。よい」とシュワルラリカ。

「はい、とても居心地がいいです」と累くん。

「あそこはね、私がこちらにきたばかりのときに暮らしていた屋敷だったのですよ」

「へぇ、そうだったんですか」とロロ先輩。

 先生は柏葉学園の草創期からの理事のひとりでもあると聞いている。

 先生は、かけていた眼鏡を外してデスクの上にコトリと置いた。その奥に隠されていたのは、懐かしげに昔を思い出しているかのような、遠いまなざしだった。

「君たちはこの社会においては少なからず肩身の狭い思いをした経験があるだろうね。もしかしたら、虐げられたことさえあるかもしれない。この時代が我々にとって、とても住みにくいものになってしまったことは否めない」

 みな、口をつぐんだ。それは先生の話に皆少なからず心当たりがある証拠だった。

「けれど……」先生は胸の前で指を組んで、優しげな微笑みを浮かべた。「私は諦めたくはないのです。人ならざるものが、正体を偽らなくても人と融和して暮らしていける社会をね、私は作りたいのですよ。それが遥か遠い道のりであることを痛感しているがね」

 先生の言葉には、重みのほかに言いがたい苦味がこもっていた。

「この学園は、そのための一歩として創設したのです。ですがいまだ思うような成果が得られていない。この百数十年、人間の社会は我々にとって悪い方へ悪い方へと転がり続けてきた。気がつけばわれわれの存在は、人にとってあまりにも突飛すぎるものになり果ててしまった……。人は疑念に満ちている。疑念に怯え、過敏になる。この状況ではまだわれわれの不思議を、人の前にさらすわけにはいかない。君たちもさぞ窮屈だろうが、わかってくれるね」

「はい」わたしたちはめいめいに頷いた。

「しかし、このままでは終わらせない。たとえ何年かかろうが、いつかきっと……」先生は窓の外に目を向けた。

「早く、その日が来るといいですね……」

 わたしが思わず口に出してしまうと、先生は慈愛のこもった眼差しで頷きかえしてくれた。


 角くんは、この我々にとって不便な社会を割り切って生きてゆくのがいいという。それは処世法としては正しいだろう。でも本当にそれだけでいいのだろうか。なんとかこの流れに抗えないかという思いは、わたしもつよく持っている。わたしは人の善性を信じたい。わたしたちが正体を偽らなくても人と融和していける社会。そこへ到達するにはそれこそ悠久の時がかかるかもしれない。でも、そのために何かできることがあるのなら、わたしはそれを実行したいと思う。それはひそかな、そしてささやかなわたしの願いにもなった。


「ところで」先生はシュワルラリカを見て、「学校での名前はどうしましょうかね」

 エルフには姓がない。何か便宜上の名を付けなくてはならない。

「ふむ……」と少し考え込むシュワルラリカ。

「下の名前はシュワルラリカで良いとして……」と、先生。

 シュワルラリカという名も、わたしにはいささかふつうの響きとは思えないが。

「姓と名が必要なのであったな」シュワルラリカが言った。「差し支えなくば、この者と同じ姓を名乗りたく思うが、どうじゃ?」とわたしを見る。

「千代璃さんと同じ姓ですか?」と先生。

 わたしは先生が名を覚えていてくれたことをとても意外に感じ、そして驚いた。

「うむ」

 シュワルラリカがわたしの手を取って、先生にアピールする。

「さようですか……。それは素晴らしい」先生はなぜだか目をきらきら輝かせて、「うん、うん。とても良い。でも、千代璃さんは、どうですか?」

「えっ」

「だめか?」

 シュワルラリカが不安そうにわたしを見る。

 だめ、というわけではない。ただ、無理がありはしないかと思っただけである。千代璃はありがちな姓ではない。同じクラスにふたりも千代璃姓がいたらみなわたしたちの関係性を疑うだろう。それを指摘すると、

「ならば従姉妹、と言うことにしては?」

 それもかなりの無理がある、と思ったがどうも反論は無駄なようだった。喜々とした表情の先生。なんだか少年のようにはしゃいでいるように見えるのは気のせいだろうか。わたしは仕方なく頷いた。

「では、よしなに頼むぞ」とシュワルラリカ。

「いずれにしても、シュワルラリカ殿」

「なんじゃ」

「その言葉遣いは、少し変えたほうが良いでしょうな」

 みなが気になっていたところを、先生はこともなげに指摘してのけたのだった。するとシュワルラリカが、握っていたわたしの手を引き寄せて、

「うむ、当面の間、奏を指南役として、こちらの習慣や言葉遣いを教えてもらいたいと思うておる」

「なるほど。そういうことならば、多少準備期間をとって寮で生活しながら、こちらの話し方に少し慣れてから転入というのは?」

「それでよい」


「おお、そういえば」先生はとつぜんぽんと手を叩いて、「シュワルラリカ殿に、当面必要となりそうなものを、そこに用意しておきました」

 先生が部屋の隅を指す。積まれていた備品の山を見てわたしたちは驚いた。制服や教科書はもちろん、衣類や日用品、洗面用具にいたるまで、必要なものがこまごまとり揃えてあったのだ。累くんが入寮したときに持ってきた大きなトランクの、三つぶんはゆうにある。

「力持ちの男子諸君が来てくれたので助かった。運搬はよろしく頼むよ」と先生は愉快そうに笑って言った。

 男子たちは、何とも複雑な表情をした。


 そして、二週間後の月曜日――とうとうその日がやってきた。


「千代璃シュワルラリカです。父の仕事の関係でイギリスから日本にまいりました。どうぞよろしくお願いします」

 担任の先生に紹介され、シュワルラリカはクラスの皆の前で挨拶した。

 わたしは心臓をどきどきさせながら様子を見守っていた。

「おおお……」

 みな、特に男子たちはシュワルラリカの美しさに感嘆しきりだ。

「妖精みたい」

「日本語上手」

「ねえねえ……奏」隣の席のちづるがつんつん、とわたしを指でつついてきて、小声で話しかける。「千代璃って、奏と同じ名字よね?」

「ええ、実は従姉妹なのよ」

 もう半ばどうにでもなれ、という心境だった。

「へえーっ、奏、一言もそんなこと言わなかったじゃない」

「急な話だったからね……」

 それはある意味本当のことではある。こうなった以上、わたしは心を決めていた。どう見てもあの銀髪翠眼の美しい少女とわたしが血縁であるとは思われない。しかもイギリスで育った従姉妹だなんて。そこを聞かれたら、「複雑な事情がある」の一言で通そう。多少不審に思われたとしても、それで押し通すしかない。

 ところが、「ふうん、そうなんだ」と、意外にもすんなり納得されてしまった。


 昼休みになると、案の定シュワルラリカは皆にとり囲まれた。大丈夫かしらと心配になって、わたしもその輪の端に加わった。

「私、諌早ちづる。よろしくね」

「うん、よろしく。ちづるちゃんて呼んでもいいかしら?」

「もちろん。日本語お上手ね」

「奏にいろいろ教えてもらっているから」


「ふ、ふつうだ……」

 うしろのほうで角くんと累くんが、彼女のあまりの変貌ぶりに驚嘆している。それを見てわたしはくすくすと笑う。ふたりは寮でもその姿を見ているはずなのに。寮の廊下ですれ違ったロロ先輩に「ごきげんよう」なんて会釈をして、却って先輩を困惑の渦にまきこんでいたシュワルラリカの姿を。

 壁の中から現れたばかりの彼女は、本当にいつの時代のお姫様かと思うほど仰々しい言葉遣いしかできなかった。この二週間、丹念に指摘してあげたところ、言葉どころか態度までも劇的に変わっていった。一番の理由は何よりもともと彼女が素直で利発な女の子だったということ、そしてこちらの世界に馴染もうとする前向きな健気さが彼女にあったことだと思う。


「奏、とても厳しいのよ」

「奏が?」

 ちづるが信じられない、というような声を出す。意外だったのだろう。わたしはちづるを含めクラスのみなから、どちらかというとおっとりした性格だと思われていることを知っている。

「そう。ちょっと言葉の使い方を間違うとすぐにおこられるの」

「そんな」

 わたしは真っ赤になって否定した。

「羨ましいなあ。そこまで親しいのね。そういえばシュワルラリカもエルフィン寮なんですって?」

「そうなの。奏の隣の部屋なのよ」

「ますますもって羨ましい」

「奏ってちょっと周りにたいして線を引いているところがあるじゃない? 私なんか、いくら誘ってもすぐにはぐらかされてしまうのよ」

 そんなことはない、シフォンケーキのお店にだって行ったじゃないの、と否定しようとすると、「たしかに奏はそういうところがあるわね」とシュワルラリカが迎合するようなことを言う。わたしは口を膨らませた。

「さすがいとこ、よくご存知でいらっしゃる」

「もう、やめて……」

 みなシュワルラリカのことを聞きたがっていたはずなのに、いつしか槍玉にあげられて、わたしはいたたまれない気分だった。

「いいなーエルフィン寮。私も一度行ってみたい」

 ちづるは夢見るような表情で言うが、その願いはきっと叶わないだろう。一般の生徒は校内寮には立ち入ることがない。学園長先生が一般の人間を避ける結界的な処置をほどこしているからだと朝乃さんから聞いている。強い意志をもって寮を訪れようとすればできるのかもしれないが、今までに人間が寮に来たことは一度もない。それ以外にもさまざまな心的結界があるようだ。たとえば一般生徒もその親もみなわたしたちが寮で男女一緒に生活していることに違和感を持っていない。それらはすべて学園長先生が意図的に何らかの措置を講じているからなのだ。


 あとでシュワルラリカがこっそりとわたしに言ってきた。

「奏」

「どうしたの、シュワルラリカ?」

「わたしの正体に気づいた者がいるかもしれない」と、真剣なまなざし。

「えっ」

 わたしは青ざめた。もしそうだとしたら大変なことである。

「妖精みたいだって」

「ああ、それは」わたしは苦笑した。「シュワルラリカの美しさを妖精に例えて褒めただけよ。妖精はこちらの世界ではとても美しいものの代名詞なんだから」

「なるほど」

 シュワルラリカの頬の色がちょっとだけ上気して赤くなった。


 これも朝乃さんに聞いたことだが、エルフには格式や名誉を重んじる考えは強くあるが、それは単純な自尊の意識から出ることであって、他卑という考えはない。エルフ族が持つ高い目的完遂意識――自尊心プライドが、自分が目前の課題を解決できないことを許さないのだ。その自尊心が彼女の努力する姿勢を支えているのだ。シュワルラリカのこの進歩は満点だと言えるだろう。教えたわたしも当然鼻が高いけれど、そんなことはもはやどうだって良い。


 寮に戻り、夕食の席でわたしはシュワルラリカの今日のふるまいをおおいいに賞賛した。周囲に対してはこの程度のことは当然だと言わんばかりに装っていた彼女だが、わたしがあまりにすごいすごいと褒めるので、少し照れたような表情になって、「実は内緒なのだけれど」と耳もとに口を寄せて、「たいがいのものには慣れたけど、男、というものだけはいまだに馴染めないの。わたしにはどうしてもが粗野なものに見えて仕方がないのよ。それだけはいまだに苦手なの」と告白した。

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