裏5
「あはは。あはは。本当に行ったのね。贈り物もしたし、きっと楽しくしてくれるわ。そうでしょう?」
口元に笑みを浮かべながら、クリスタルを撫でた。
双葉と並ぶように現れたのは白兎のクリスタル。
さっきまで着てた服はなくなり、目を閉じて佇んでいる。
「なんで、兄さんが……」
「女王様ね。どうかしたの?」
「あなたが、これをしたんですか?」
「そうよ。そうだわ。そこの時計を持って、兎ちゃんは行っちゃったわ。わたしももう行くつもりよ!!」
空中を歩き、ニッコリと笑いながらくるりと回る。
拳を握り、クリスタルを抱き締めたアリスの瞳に、狂気が宿る。
「ふふっ逃がしませんよ。兄さん」
「あら、あなたも来るの? でも、どうやってかしら。気になるわ。気になるの!!」
「これ、ですよ」
懐から取り出したのは時計の秒針。
女王の仮面を被り、手の中でクルクルと回す。
「兄さん。兄さん。ああ、兄さん。私もすぐに行きます。絶対に、振り向かせてみせますね」
「いいわね。いいわね!! 女王様の力を全開にするのね! 楽しいわ。楽しいわ!!」
クルクルと回る秒針が、次第に時計へと変化していく。
それを天にかざす。
すると、アリスの体をクリスタルが覆い、意識を奪う。
そのままアリスはジャバウォックに捕らわれ、幸せそうな笑みを浮かべて白兎の隣に並んだ。
「兎ちゃんも大変ね。でも、楽しいわ。楽しいわ。とっても楽しい。もっともっと楽しくなるために渡したあのペンダント。活用してくれたら嬉しいわ!!」
ジャバウォックの仮面を被り、パチンと指を鳴らす。
すると、アイが姿を消した。
終末の訪れた世界は、誰にも救われることなく。化け物たちに蹂躙されていく。
この世界は、その役目を終えたのだ……
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