第4話 真実の夜

 どんなに貧困な環境や時代にも慈悲深き人間というのは必ずいるもので、ここの教会の教主は正にその典型だった。

真尋たちの事情を聞くや否やすぐさま空き部屋を用意し、無償で食事を提供してくれ、それに付属する形で孤児たちの怒涛の質問攻めを受けた。

 如何やらこの教会は教主の発案で、単純な懺悔室の側面以外に現代で言う孤児院の役割も担っており、何かしらの原因で家族を失った子供たちの救済の場でもあったらしい。そのお陰で死ぬかと思ったがそこは気持ちの問題だ。

 誰だって身内が外部から他者を連れて来れば興奮し好奇するのは自明というものだろう。その対象が真尋と行き倒れていた少女―――風切恋花かざきりれんかに向けられていたというだけに過ぎない。


 全体的に跳ねている深緑の髪をサイドテールにし、頭の中央にはアホ毛が生えている。

 背丈は平均より少し下回っており、胸部のふくらみも軽く目立つ程度だが、琥珀色に輝いた双眸がその平凡の一切を忘れさせる。事実、美しさの観点から見れば並の芸術品は彼女の瞳に平伏せざるを得ないだろう。

 それも子供たちの攻撃によって徐々に霞んで行ってしまったが、無邪気に無下で対応するわけにはいかない。所詮は子供だ。いずれは飽きが来るだろう―――そう考えたのが失敗だった。


 「あぁ…疲れた…」


 彼らの体力を甘く見ていた。子供とはその時々によって自身の体力を変更させていく未知の生物だというのをすっかり失念していた。

 それは子供たちの質問どころか質疑応答の基本すら成されていない純真無垢が奏でる機関銃の如き言葉の嵐で以て徐々に二人をダウンさせていき、最終的には理不尽の権化共が全員、睡魔という救世主によって瞼を反転させられたことで何とかお開きとなったことからも証明できる。


 現在、真尋と恋花の二人は二人部屋を想定して建てられたであろうベッドが二つ構えられた客間にて見事に顔を枕へと埋めて力尽きていた。

 万人が思い描くノックダウンとはこういう体勢を指すのだろう。それほどに二人は力という力を抜けきらせていた。


 「本当にね…私も子供の世話は嫌いじゃないけど、あそこまでとは思ってなかったわ…」


 「ところで、風切はどうしてあんな路地で力尽きてたんだ?時間帯的には腹が減ることはあっても行き倒れるまでにはいかないと思うんだが…」


 ふと、寝静まりかけた脳に舞い降りた疑問。睡眠という意識の断絶の前には余程の疲労がない限りは訪れるであろう記憶やら感情やらの濁流は、偶発という形で真尋に問いを浮かべさせ自制が検閲に入る前に言葉として発せられていた。


 恋花は両手をついて枕に埋めた頭を持ち上げ真尋の方へと座ったまま向き直る。対して真尋はもう立ち上がる力すらなく沈んだ頭を横向きにして恋花へと目線を移動させることしか出来なかった。


 「私がここに来たのは昼過ぎ位だったからねー。その時はご飯も食べてなかったし取り敢えずは食料の確保と思ったんだけど…」


 恋花の顔が次第に神妙な面持ちへと変貌していく。それは間違いなく苦難に遭遇し生き延びた人間のする表情であり真尋も思わず息を呑む。

 そうでなくとも先に遭遇した掌に捕まれたかのような異質な違和感を恋花も経験しているかもしれない。


 「そしたら道に迷うわ、鎧を着た集団に遭遇するわ、町に着いたら着いたで格好の所為で騒ぎになりかけたりもして…本当に散々だった…」


 深刻さを期待したこちらが馬鹿だった。

 要するに迷った挙句に恐らくは遠征中か休息中の軍と鉢合わせになり何とか町へと到達はできたが変人疑惑を掛けられて隠れていたら腹がすいて行き倒れたと考えるのが妥当だろう。

 間抜けと言う気はないがもう少し中世特有の危機にエンカウントして命の危険に晒されたという自身の二の舞を想像してしまった。


 「それは…散々だったな…」


 「本当だよ!しかも町の住民にいたっては私を見て図太い女とか抜かしてきたんだよ!どこも太くなんかないのにだよ!もうセクハラの類だよこれは!」


 適当に場違いな八つ当たりを聞き流そうとしていた真尋だったが言葉の節々に違和感があるのに遅れて気づいた。


 「もしかしてお前、ここが何処だか本当に分かってる…?」


 今度は明確に順序のままに浮かび上がった疑念。風切恋花は現状を把握しているのか否か。

 とても単純で重要なこの議題はこれから共に歩みライバルになるであろう同じ構成者ヘルハールとしての意見交換でもあり真尋の求めていた情報源の根幹でもある。故に回答がどちらにせよ真尋にとっては避けられぬ疑問符だった。


 「え?過去の世界でしょ?確かエリザベス…とか何とかっていう人がすんごく悪いことをしてるっていうのは妖精に聞いたけど…」


 やっぱりか。何となく予想はできたが恋花はこの世界の抱える事情ををまるで把握しきれていない。だとするのならばどうやって説明すればいいのか。

 ただ歴史を語るだけならば問題ないが歴史の再構成を行動目的とする構成者ヘルハールとしてならば話は変わる。

 つまりこれは今後の指針の確認でもあるのだ。攻略の鍵と言い換えてもいい。とにかく歴史を話していく中でどう再構成するか。そこも重要になってくる。

 

 「エリザベートな。あそこに見える石城に住んでる貴族だよ」


 「そうそれ」


 恋花は忘却した記憶に再干渉したのか呼び戻すことに成功したらしい。だが、その起点である球の頂上から疑問符が舞い降りていたことを真尋は見逃さなかった。


 「…もしかして、真尋君って歴史に詳しかったりする?」


 「まぁ、人並みには」


 「…そうなんだ、あのですね…申し訳ないんですけど」


 「…なんだよ」


 「実は私…歴史に疎くてですね…この子から説明は受けたんだけどよく分からなくて…教えてもらっていいですか」


 指針以前の問題だった。深読みしすぎた自分が滑稽過ぎて仕方ないがエリザベートとエリザベスの区別がついていない恋花にそれを求めるだけお門違いというものだ。これは対応を間違えた真尋に責任がある。ここは大人しく恋花と情報を共有するのが賢明だろう。


 「あー…そうだな…どこから話せばいいのか…」


 「エリザベート。本名はバートリ・エルジェーベト。十六世紀から十七世紀にかけて世間を震わせた殺人鬼にしてトランシルヴァニア公国の貴族であるバートリ家に生まれた貴族の一人だよ」


 突然と真尋の妖精が口を開いた。それも先まで真尋を弄っていた時とは似ても似つかない口調で二人の構成者ヘルハールの会話に介入した。

 やはりそういった部分は性根からアドバイザーなのだろう。真尋の唖然とした顔を無視して妖精は堅物な歴史教師の如く恋花に向けて解説を続けていく。


 「元々、エリザベートの家系は公国の中でもかなりの権力を持っていてね、当たり前だけど位の高い連中がぞろぞろと排出されていたんだ」


 「ベルばら的な?」


 「あー…まぁ、貴族って意味じゃ同じだがあれはまた理屈が違う。それにフランス革命が起こったのはこの時代から百年以上も後の話だ」


 「そ。この時代はあくまでも言ってしまえば局地的な貴族のごたごたに過ぎない。だけど、エリザベートの場合は少し違う」


 ぴくりと空気の変質を悟ったのか恋花の肩が少し震える。対してその純情な反応が嬉しかったのか妖精は無邪気な笑みを浮かべながら話を続行した。


 「今でいう猟奇殺人。彼女はそれに手を染めていたんだ」


 「…それってつまり生きたまま皮を剥ぐとかみたいな…?」


 「それよりもっとエグい。エリザベートの家系は血族結婚…要は近親相姦を推していてな。どいつもこいつも何かしらの疾患を患って生まれてきた。そして彼女もその一人だった」


 「美肌効果ってのは日夜、女性がにらめっこする対象だと思うけどエリザベートはそれに少女の生き血を求めたんだよ」


 恋花の表情が凍りついていく。感受性が強いのだろう。恐らくはもう自身の脳内で過程や結末を完全にではないにしろ構築している筈だ。それだけ猟奇とは想像に難くない。


 「その果てが殺人。史上類を見ない六百人以上の少女を彼女は文字通り喰らったのさ」


 「初めは薬草なんかも使っていたらしいがな。小姑の小言やら夫の死やらでタカが外れて彼女は暴走した。そして使用人の粗相で彼女は初めて殺人を犯す」


 「そこで彼女は気付いたのさ。使用人の返り血が飛び散った箇所だけ若返ってるって」


 数秒の沈黙。ぼんやりとした形容しがたい空気が流れていく。それから次に恋花が口にした言葉はあまりにも単純でこの町に住む住人の総意を表していた。


 「…馬鹿じゃない?」


 「「その通りでございます」」


 思わず妖精と口が揃ってしまったがエリザベートの行為は一種のプラシーボに過ぎず、むしろ感染症のリスクを考えれば肌にはマイナスなのである。

 しかし、紛れもなく彼女にとってはそれこそが活力そのものであり自身を成り立たせる象徴に他ならなかったのだ。


 「でも実際、それは行われた。この町の現状がいい例さ。傍から見れば廃墟同前。でも人はいる。当然だよね。いくら就寝時間といえど外に出れば殺されるかもしれないんだ。だったらせめて夜中は家に籠って身を固めている方がずっといい」


 「あれ、ってことは…私が図太いだのなんだの言われたのって…」


 「『大量殺人鬼の手先が出歩いているかもしれないのにそんなに堂々と歩けていて凄いですね』って意味だ」


 「そういうことだったのね…よかったぁ…てっきり私が太ってるのかと…」


 ホッと胸を撫で下ろし恋花は安堵する。本気で自分の体格を指摘されたと誤解していたのか彼女の瞳は少し緩んでいた。


 「彼女の殺害方法は千差万別だった。刺殺や拷問は当たり前。拷問器具を使って搾り器みてぇに少女の血液を抜いたりだとか、抜いた血で風呂に入ったりとかもしてたらしい」


 「この時代、農奴やら平民を貴族が殺すってのは黙認されていたからね。ある意味ではそれが更に拍車をかけたとも言っていい」


 「でも、最終的には捕まったんでしょ?」


 「あぁ、農奴とかならまだしもエリザベートはあろうことか下級貴族にまで手を掛けようとした。そして同時に彼女の魔の手から一人の少女が逃げ出したことで漸く捕まえる為の大義名分が得られたってわけだ」


 彼女の暴虐には様々な見解や説が横行している。

 ヒステリーや精神障害、夫の死を発端とする発狂、元々の加虐癖が発露した結果。

 数多の学者が唱えたこれらの考えのどこまでが一致しているかは不明だが、それでも、大半の意見がチェイテ城に訪れてからの精神異常というのは共通している。


 「だけど、当時の司法のルール上、どうやっても貴族は殺せない。たとえそれが人の形をした怪物でもね」


 「…ちょっと待って。じゃあまさか、許されたってこと?」


 「んなわけねぇだろ。死刑が無効なら終身刑ってな。最期はチェイテにある自室を暗闇にしてから閉じ込めて獄中死だ。死体はもう痩せ細っていて当時の面影は無かったらしい」


 これが妥当な結末だったとは言えないだろう。遺族側からしてみれば何の拷問も受けずにただのうのうと力尽きた悪鬼でしかない。それでも当事者にとっては耐え難い苦痛だった筈だ。


 一般的に人間が何の娯楽や道具なしに暗闇で耐え抜ける時間は約七十二時間と言われている。そんな極限の環境下で数年も生きたエリザベートは正に執念の権化そのものだ。


 「以上がエリザベートの簡単な概要。そしてこれから歴史を再構成するにあたって必要最低限の情報だ」


 夜風の吹く音が静かに響く教会の客間。空気は静寂に包まれていて、恋花もようやく事態の把握に至ったようだ。虐殺と理不尽が支配する異空間。恋花の表情はみるみる硬くなっていく。


 「…つまり、私たちはその歴史を変えなきゃいけないってわけ?」


 「そういうことになる。それも四日の間でだ」


 そして、恐らく今日はもう不可能だろう。チェイテ城に今からカチコミを仕掛けるのならまだしも周到に作戦を練って挑むのなら明日以降の三日間でケリをつけなければならない。


 「…無理じゃね?」


 「あぁ、普通に考えりゃ不可能に近い。何せ歴史の再構成とやらが発動する条件も曖昧だしな…けど」


 真尋はそっと目線を終始ニヤついた辛気臭さしか感じない妖精に向ける。対して妖精も真尋の視線の意図に気付いたのか、その口を開いた。


 「…本当にキミって奴は察しが良くて助かる。あぁ、確かにこのままじゃゲームのクリアは無理だろう。どう足掻いたって君らはこの歴史にとって部外者だ。でも、部外者なりの抗い方ってのはちゃんと用意されている。例えば――」


 「――協力関係を結べるとか」


 「…キミは何?アタシの出番やら発言に介入しないと死んじゃう病気にでもかかってんの?」


 「お前こそ一々、勿体ぶらねぇと会話ができない病気にでもかかってんじゃねぇのか?」


 火花が飛び散る場面というのは現実では中々、お目に掛れる光景ではないが人と人が張り合い睨み合う場面に於いてはあまりにも簡単に巡り合うことが可能だ。

 無論、それは表現技法の一つでしかないのだが、間近で火花が舞い散っていく様を怯えながら見続けていく恋花にとっては恐怖でしかなく、それに気づいた両名は最後に一瞥を交わすと妖精に譲る形で話を再開した。


 「…さっきカレが言ったように構成者ヘルハール同志で協力関係を結ぶことは可能だ。その場合はどちらか片方がゲームクリアの条件を果たした時点で協力者の方もクリアとなる。ま、当然だけど人数制限はあるからそこんトコは承知しておいてね」


 想定していた以上の恩恵だった。このシステムをシステムのままに活用すれば生存率は跳ね上がるだろう。だが、妖精の口から放たれた言葉であることには変わりない。デメリットも考えておくべきだろう。


 そして同時に気がかりも生まれた。この状況に巻き込まれて何故か今まで知ろうともしなかった事実に対しての問いかけ。妖精の人数制限という単語から漸くの生誕と相成った質問は今後の展開を模索する上でも重要な意味を持っていた。


 「…それで思い出した。今回のこのゲーム、参加者は一体何人いる?」


 「そうだ。それは私も聞きたかったよ。何せ真尋君っていう同業者がいたわけだし」


 同業者とは言い得て妙だが目的が同一なのは間違いない。対して妖精は不敵な笑みを浮かべながらいつもの調子で回答を提示する。


 「今回のゲームの参加者はキミたちを含めて全部で六人。歴史の規模が低いからね。その程度で済んでいる。まぁ、だからこそ、徒党を組むのは悪いことじゃない。少数精鋭ほど厄介なものもないしね」


 「だそうだ。現状、俺たちにはこの歴史に対して持っているアドバンテージが少なすぎる。でももし、お前が協力してくれるってんなら少しは得るものが増えるかもしれない。それに戦力は一人でも多い方が良いしな」


 新手の口説き文句のようで嫌気が差すが、口下手の真尋ではこのレベルが限界だ。

 そもそも女性との対話経験が乏しいというのにナンパ師と同格の技量を己に求めている時点で笑止千万なのだが、要求が叶うのなら要求したい。それほどまでに真尋は羞恥を感じていた。


 「…つまり?」


 「あー、だからだな。お前に協力を要請したい。俺の提供できるものならちゃんと用意する。だから…」


 「うん、いいよ」


 あっさりと快諾された。前述の心情が馬鹿らしく思えてくるが、協力関係を得られたことには変わりない。

 一日目にしてはかなりの進捗だろう。人手の多さはどんな時代だろうが何よりも重要視される。それをこのタイミングで獲得できたのは正しく幸運と言えるだろう。だが――


 「…俺が言うのも何だが、随分と簡単に決めるんだな」


 「?、真尋君は私を陥れる予定でもあるの?」


 澄んだ瞳でそう問われる。純心というのは時としてどんな自白剤よりも人の心を曝け出せるものだが、これはその中でも強力だ。この目で自身を写されれば凶悪犯だろうが罪状を俯きながら白状するに違いない。


 「…そんな予定はねぇよ」


 「なら大丈夫じゃん。むしろ真尋君と組みたいのは私の方だよ。私は歴史なんてからっきしだしね。知ってる人が仲間ならすんごく助かる」


 「なら、成立だな。俺もこの環境下で仲間が居てくれるのなら心強いしな」


 瞬間、真尋と恋花の紋章が同時に輝き、両者が構成者ヘルハールとして迷い込んでから現在までに知り得た情報が走馬灯のように駆け巡り共有された。


 「こいつは…」


 「キミたちの協力関係が確立されたみたいだからね。それをこちら側で結ばせてもらった。これでどちらかがクリアすれば二人とも解放される」


 他者の記憶の介入は強烈な不快感を真尋に覚えさせたが、恋花の話した兵士の数や昼間の町の様子など言葉では理解の及ばない範囲の情報を得ることができた。

 不明なのは兵士の正体と目的だが、少人数の編成から鑑みても恐らく何処かしらの国の斥候と考えるのが妥当だろう。

 流石にそれ以上は実際に遭遇しなくてはならない。そして確証もなしに挑めばどうなるかは知れている。今は予測がついただけでも良しとするべきだ。


 「これで少しは有利に断ち回れるってわけか」


 「それじゃ、改めてよろしくね。壱ヶ谷真尋君」


 「こちらこそ。風切恋花さん」


 手を伸ばし握手を交わす。即席で、しかも初対面同士のタッグはこれから始まるであろう波乱に思いを馳せる。

 恐怖がないわけではない。それでも生き残ってみせると強く握った恋花の手は同様に震えていて、それでも真尋に負けじと精一杯に力を込めて握り返していた。


 ※※※※※


 「そういえばさ、真尋君って何の属性の魔法を使えるの?」


 唐突に問われた。恋花の恐らくは不意に発された疑問は、同時に真尋に数倍の威力で以て突き刺さる。そんなものは俺が聞きたい。

 それが彼女に唯一、与えられる回答だったがそれではあまりにも不誠実だ。どう説明したものか。それだけが真尋の頭を回転させる要因になっていた。


 「あー、俺のはだなぁ…」


 「キミの属性は《炎》だよ。察しは付いてただろ?」


 何となくそんな気はしていた。でなければ、あの焼死体を生むことなどなかったのだから。

 だが、何処かで否定の感情が渦巻いていたのだろう。殺人者として変貌した己に対する反抗心とでも例えればいいのか。

 とにかく、それらが真尋の紋章が持つ死からの正体を阻害していたことは間違いない。


 「…そうだな、想像はしてたさ。できれば当たりたくはなかったが」


 「…?、どうしてそんな辛そうな顔してんの?」


 だが所詮、そんな感情の動きは真尋の都合に過ぎない。傍から見れば勝手にテンションが下がっているだけの痛いヤツにしか写らないだろう。


 「カレは既にその能力で人を殺してるのさ。正当防衛だけどね」


 そして、そんな他人の気持ちも考慮せずに葛藤の種をばら撒くのは最早、妖精にとってはお家芸に等しい行為なのだろう。それに慣れたと言えば嘘になるが、それでも気力が失せたのには違いない。


 「…こいつの言った通りだ。俺は数時間前に人を殺した。そうしなければ死んでいたとしてもな」


 「…そうだったんだ」


 踏み込み過ぎた。自責の念に駆られる恋花の顔つきは非常に分かりやすく、対して妖精の愉悦に浸り切った面は真尋の苛立ちを誘うが、子供たちに削られた体力がその沸点を鎮めていった。


 「軽蔑したか?だったら協力関係を切っても――」


 「しないよ」


 突然、凛とした表情で返された。それはまるで鋼鉄すらも穿ちかねない視線で真尋の背筋が本能に従うままに震え、汗を伝達させる。


 「たとえ真尋君が人殺しだとしても見限ったりはしない。言ったでしょ、私は歴史に疎いって。だから相方がいないと困るんだよ」


 「お、おぅ…そうか…ありがとう」


 恋花の口から出た想定していなかった言葉の羅列。真尋を肯定し受け入れる彼女の一言一句は確かに真尋に響いたがそれ以上に悪寒を植え付けた。

 何といえばいいのか。恋花は少なくとも真尋の中では「どういった理由であろうと人殺しはいけない」といった趣旨の言葉をぶつけてくると考えていた。

 実際、一般社会に生きる者ならば過程はどうあれ結果が悪ならば糾弾に走るものだ。

 しかし、それを彼女は自身の欠点を補うためとはいえ肯定したのだ。異常、ではないのだろう。

 むしろ事情を全て理解した上でそれでも尚、殺人という非を正当だと判断する彼女の思考が真尋を震えさせた。


 「それに真尋君の魔法は私のとも相性がいいしね」


 「ってことは、お前の属性は《風》辺りか。名前通りなんだな」


 不意に、客間に涼風が入り込み、恋花の人差し指に集まっていく。

 それは開かれた窓から流れ込んだ自然現象の産物ではなく恋花が起こした魔法による集束の結果だった。

 真尋ではどう足掻いても再現出来ようのない神秘の具現。それはただ幻想風景として真尋の双眸に写っていた。


 「そ。私の紋章に刻まれているのは風の魔法。空気とか大気とか。とにかく風に関わるものなら何だって操れるってわけ」


 万能すぎる。風を操れると恋花は簡単に言ってのけたが風とは即ち四大元素の一角だ。それも炎とは違い生物の生存過程においては何よりも重要視される生命線そのものである。

 それを彼女の発した言葉通りに操作が可能なのだと仮定すれば最早、地球の生殺与奪は風切恋花という一人の少女に握られているといっても過言ではない。


 「とは言っても私には竜巻を起こすとか、空気中の酸素を消滅させるなんて器用な真似はできないから期待しないでね」


 その言葉を聞いて少し安心する。流石にそこまでの領域まで行けばそれこそチートの類だ。それではゲーム性もあったものではない。


 「だから真尋君がたとえ殺人者だとしても私がついて行けないって判断しない限りは何が何でもついて行くよ。…まぁ、真尋君が迷惑じゃなければだけどね」


 「迷惑じゃねぇよ。むしろ助かる。俺はまだ自分の紋章の中にある魔法すら使えねぇんだからな」


 キョトンと恋花の顔が唖然に染まる。意外だったのか。それとも構成者ヘルハールの界隈では魔法分野は必須科目に含まれているというのか。だとすれば真尋は異端児もいいところだが恋花の反応は至極単純なそれだった。


 「……できないの?」


 「あぁ、お前みたいに上手く使えるどころか発動すら叶わない。起動の仕方すらも分からないままだ」


 「でも、殺した時には使えてたんだよね。それがどうして…」


 「さてな、ただ一つ分かるのは気絶していた時には使えてたって事実だけだが…」


 そう言って自身の右手に刻まれた紋章を拝む。深紅に彩られた形状以外、何の変哲もないこの世界に向けての唯一の対抗手段。これを己が物とするのもこの四日間においての課題となるだろう。


 「そういえば、ずっと気になってたんだけどさ、レンカちゃんの妖精は何処にいるの?」


 不意に、妖精がそんなことを呟いた。どうでもいいとも思ったが、確かに恋花の妖精がここまでの会話に一言も絡んでいないのに遅れて気づいた。

 それに対して恋花はハッと何かを思い出したかのような反応をすると右手を自身の背中にやり道着の中から何かを引っ張り出した。


 「私の妖精はこの子だよ。ほら、ブラのホックに隠れてないで挨拶しなさい!」


 そう恋花に言われて姿を現したのは真尋の妖精とはあまりに似ても似つかない中性的な容姿をした少年だった。

 真尋の妖精と同じ三寸程度の身長に金の短髪。異なる点があるとすれば羽の色が黄緑だということと眼鏡を掛けていることぐらいか。

 とにかく真尋の妖精と違って儚いという単語がとても似合う妖精だった。


 「あ、あの……初めまして…か、か、風切恋花さんの…アドバイザーを務めさせて頂いています…アースガルズ…です…よ、よろしくお願いします…」


 アースガルズ、北欧神話に登場するアース神族の暮らす王国の名前だったか。このゲームの主催者は随分とまた粋な名前を付けたものだな。と、少し感心する。そして未だに自分自身の妖精の名前すら把握していないことに気付いた。


 「ご覧の通り気弱な子でねー。私の世話をしてくれるのは嬉しいんだけどさ…たまに何言ってるのか分かんない時もあるけど」


 「そ…それは…恋花ちゃんが…お、お馬鹿さんだから、でしょ…?」


 「あんだって?」


 前言撤回。流石同種だ。どんな性格であろうと煽りを忘れないその図太い精神には感服すら覚える。

 ここまで来れば職人芸の類だ。これでもし善良な価値観の持ち主だったら間違いなく人間として純粋に尊敬していたことだろう。


 「全く下らない性格のヤツもいたもんだねー。アタシのような清純さを見習ってほしい位だよ」


 「…そういや俺、お前の名前、聞いてなかったな」


 「そりゃまぁ、言ってないからね」  


 当然だと言わんばかりにそう返されたが、聞かなかった真尋側にも非があるのは事実だ。

 というか何故、今の今まで名前の一つも聞かなかったのだろう。感覚の一つでも麻痺していたのだろうか。だが、そもそもこの世界に迷い込んでから名前など聞ける状況ではなかったのを思い出した。


 「で、何て言うんだ。お前」


 「アタシの名前はムスプルヘイム。北欧神話に出てくる灼熱の国の名前だねー。正にキミのアドバイザーにピッタリの名前ってわけだ」


 これを作り出した主催者は北欧神話好きなのだろうか。それとも何かしらの意図があってのものなのか。前者だと考えたい。後者だった場合、碌でもない展開しか待っていないだろう。


 そんな作戦会議には程遠い雑談の最中に客間の扉からコンコンと無機質な音が鳴る。

 一瞬、妖精の隠し場所を模索しかけたがコイツらは最初から視認されない存在だったのを忘れていた。

 必要のない気苦労に真尋は軽い疲れを覚えかけたが、扉を叩いた声の主がそれを制止させる。


 「すいません。真尋さん、恋花さん。少しお時間よろしいですか?」


 「あぁ、構わないよ」


 扉が開く。本来なら教会に住んでいる者は入ることを許されない客間に入ってきたのは全身に未だ浅くも痛々しい傷の残った少女だった。

 薬草を塗られ、簡易的な布を巻かれたその姿はお世辞にも喜べたものではなかったが真尋と遭遇した時よりも遥かにまともな状態にはなっていた。


 「明日の予定を伝えに参りました。ご迷惑でしたでしょうか…」


 「迷惑じゃないよリザちゃん。私たちも暇を持て余していたところだしね」


 「そうですか…それならよかったです」


 リザ、それが真尋にとって始めてこの世界で出会った少女の名前だった。この時代における農奴の身分自体は低くはあれど名前がないというほど抑圧されていたわけではない。

 それでも、彼女を含め母や父を戦争や謀略によって殺された孤児たちは自分の名前すら把握していないのが実情なのだ。だからといって、そんな孤児全員の名前を一から考えた教主は物好きでしかないのだろうが。


 「ところで怪我の方はもう平気なのか。まだしんどいってのなら無理しなくても…」


 「いえ、大丈夫です。軽い切り傷程度でしたし…」


 確かに軽い切り傷だろう。それでも半狂乱に陥った人間の手による切り傷だ。

 それが痛まないわけがない。誰がどう見ても強がりなのは理解出来たが、同時にそれに対して言及するのが無粋であることも承知している。だから真尋も恋花も何も言わずに彼女の強がりを押し通させる。


 「ならいいんだが…それで、明日の予定ってのは」


 「はい。お二人には申し訳ないのですが…何分、人手が足りなくて…農作業と後は水汲みをお願いしたいのですが…」


 「うん、別に構わないよ。一宿一飯の恩もあるしね」


 「俺も喜んで引き受けるよ。恩義にはちゃんと報いなきゃだしな」


 予想外の快諾だったのかリザの顔つきが豆鉄砲を喰らった鳩のようになっている。今までの宿泊客は余程のゴロツキだったのだろうか。

 だが、曲がりなりにも日本で生まれた以上はこちらにも人情がある。恩情には相応の義理で以て返さなければならない。

 それを抜きにしても行動範囲や現状を把握する為にもこの相談は願ってもないことだった。


 「お二人とも…ありがとうございます」


 「ありがとうって言いたいのはこっちの方だよ。リザに出会ってなかったら俺は野垂れ死んでたかもしれないからな」


 紛れもない偽りならざる本心の感情。リザもそれを汲み取ったのかただ純粋に感謝の念を二人に伝える。

 その時に彼女が浮かべた微笑は年相応の少女の顔で、とても数時間前に命の危険に晒されたとは思えないほどに輝いて見えた。


 軽い会釈をしてリザは客間を去る。それと同時に欠伸が出そうになるのを何とか制止して改めて真尋の身体が睡眠を望んでいるのを理解した。


 「明日もあるし、そろそろ寝るか…」


 「そうだねぇ…私も今日は疲れたよ」


 ふわぁと欠伸をしながら顔を枕に埋め力尽きる恋花を尻目に真尋は客間の灯りを消し、窓を閉める。

 隣ではたったの数秒で深い夢の世界へと旅立った恋花の大凡、女子の出してはいけない鼾が鳴っていたが、それを無視して真尋もベッドにうつ伏せの体勢のまま倒れ、瞼の裏側へと誘われた。



 予想はしていたが寝られなかった。布団に沈み込み(体内時間で)一時間近く経って尚、意識は就寝を拒絶し真尋の精神を離そうとせず、しかも恋花の鼾が重なった結果、真尋は客間を抜け外界に救いの手を求めるまでに追い詰められていた。


 「あー…目が冴え過ぎてヤバい…お蔭で全く眠れやしねぇ…」


 異常空間に麻痺を覚えた自分に少し期待していたが、如何やらまだ自分は平和ボケした人間の感覚を残していたらしい。

 過去の歴史に迷い込み、殺されかけ、初めて人を殺し、仲間を得て、ここまで来た。その過程を整理すれば単純だが、衝撃の度合いという意味では話は別だ。そして、真尋の身体や精神は耐え抜けても脳はそんな異質に耐えきれなかったらしい。


 「だからって周辺の調査ってのもベタ過ぎてどうかと思うけどねー」


 そんな真尋の苦悩も知らずに全ての元凶は実につまらなさそうな顔をしながら真尋に同行していた。


 気紛れを原因とする夜の散歩。それだけならば可愛げもあるが、真尋のそれは未知の環境下で行う探索である。散歩とはそもそもの危険度が違う。

 実際、到達した時点で街灯がなく、人の気配すら感じない町となれば探索を敢行するのも無理はないだろう。


 「うるせぇな…それにしても、本当に無人なんだな…まさか、ここまで追い詰められているとは…」


 「それもそうだけど、こんな時間に起きているヤツとか普通に考えて居るわけないでしょ。馬鹿なの?」


 正論を言い返され、改めて辺りを見渡す。確かにこの時間帯に外を出歩く人間など一人もいないだろうが、それにしたって町の活気を感じない。

 全員が全員、横暴に絶望しているのだろうか。恐らくそれは見当違いだろう。民家や瓦礫、壊れかけた噴水など町を探索していく中でそれは確信に変わっていった。


 「そうじゃねぇよ。何つうか…俺の気のせいだといいんだが…」


 「順応してるって?」


 言われて、違和感の正体に気づいた。

 そうだ。この町の住民はあまりにも順応し過ぎているのだ。リザの潔さや子供たちの純粋さに騙されていた。異常を異常だと言い切れる人間の喪失。それが与える影響は測り知れない。全住民が心を閉ざし盲目に成り果てた歴史。それこそがこの町を囲む正体だったのだ。


 「それだ。どいつもこいつも諦めてるっつうか…慣れている…」


 「そうだね。この町はエリザベートが派手に暴れた所為でどいつもこいつも盲目になっている。それはキミの言う通りだ」


 歴史の闇を憂うかの如くムスプルヘイムは呟く。憂鬱そうに、されど憐憫の感情を抱いたシスターのようで真尋は少し戸惑ったが、ムスプルヘイムはそれに構うこともなく会話を進行させる。


 「でも、真に残酷なのは何も知らずに盲目でいることじゃない。事実を知った上で、それでも盲目を選ぶことだ。キミだって善意の集積に晒された少女がどんな末路を迎えたか――知らないワケじゃないだろう?」


 「分かってるよ…」


 過程と結果が違うとは言い切れなかった。たとえ最初は盲目でも、最期に自分の住んでいた社会の真実に気づき、世を偲んだ少女の選択は誰にも責められるものではない。

 だが、それとこの町では話は別だ。何せ相手は意識的に自らを盲目の羊へと変貌させているのだ。この意識を変革させるには七十二時間ではあまりにも無謀といえるだろう。


 (だからって、ただ単純にエリザベートをどうにかするってワケにもいかねぇからなぁ…)


 エリザベートを殺して終わりならどれだけ楽だったか。歴史改変がその程度で完遂できるのなら苦労はしない。しかも彼女は仮にも貴族だ。城内には兵士が居てもおかしくはないだろう。


 そんな思案に耽っている時だった。月夜に揺蕩ったった真実が顔を出したのは。


 「あ?何だこの匂い…?」


 ふと、真尋の鼻に異臭が侵入してきた。つんざくでも不快感を催すでもない奇妙な香り。漂うものの正体は掴めない。

 それでも嫌な予感だけは真尋の心中に燻っていた。言っては駄目だという警告。関わるしかないと叫ぶ精神。磁石のように相反する両者の感情は余計に真尋を発声源へと進行させていく。


 (鉄にも似た…それでいて、何処か馴染みのある…血の匂い?)


 脇道に逸れ、民家と民家の間の狭い道を移動して、歩を進めていく。先から言葉を発しないムスプルヘイムも気になるが今はそれどころじゃない。この匂いが一体、何なのか。それだけが真尋をただ歩ませ、停止させた。正確には発生源によって停止させられた。


 「痛って!?」


 勢いよく正面からすっ転んだ。頭が盛大に地面へと激突し今度は前方が泥やら雑草やらで汚れ、Tシャツにはシミができてしまっていた。


 しかし、それは一瞬で些事と成り果てた。頭は鈍痛に震え、鼻からは鼻血が吹きかけたというのに身体機能の全てが痛覚を概念ごと消し去ったのだ。何故か。その回答は真尋の右掌にしっかりとこびり付いていた。


 「あ……?」


 血。紅色の華が真尋の掌で咲いている。少し暖かい血の感触は持ち主がつい数分前まで生存していた証であり、どうしようもない結果を示していた。


 真尋を転ばした腸は先端からちょろちょろと蛇口のように音を立てながら血を放出し続けている。砕けた頭蓋骨は最早、屑同然で、何とか無事だった四肢もやがては羽虫や鳥類の餌となる運命だろう。 

            

 腹から破裂したした誰かすら特定不可能な死体は常人には想像不可能な損壊も相まって真尋に猛烈な嘔吐感を与えるには十分過ぎるほどの効果を発揮した。


 「おぶっ」


 口から湧き上った異物を何とか左手で塞き止める。

 何だこれは。明らかにおかしい。疑問符が言語化すらもままならずに真尋の脳神経を駆け巡っていく。

 それでも薄れかけた思考を保たせたのは死体の左腕に刻み込まれた紋章で、真尋に刻まれた紋章と紋様と色は違えど同一だったのが更に思考を混乱に陥れていく。


 狂気が極まる。歪みが歪みを呼んで加速していく。そのような荒波で唯一、平常を維持していたのはムスプルヘイムのみで、彼女はこの一連の状況を見て昼間までとは比べ物にならないほどの狂笑を浮かべていた。


 「さてさてさてさて、見てしまったのなら仕方ない。察しはついただろう。壱ヶ谷真尋。確かにアタシはゲームだと説明した。でも、このゲームで人が死なないとは一言も喋ってないんだよなぁ」


 「…やっぱりかよ…クソッたれ…」


 「そう。これがゲームの真実だよ」


 残留物混じりの胃液を呑み込んで真尋はムスプルヘイムやゲームの主催者、ゲーム自体に愚痴を零す。対していつの間にか主催者を気取り始めたムスプルヘイムは己が機嫌のままにルールの裏側を開示する。


 「このゲームは歴史改変を果たせばクリアとなる。ただしそれだけではこの歴史からの脱出は叶わない。ではどうすれば叶うのか?簡単だよ、その手を血で染めればいい」


 微弱な月光がありのままの世界を写しだす。事実は揃った。真実は語られた。ならば後は開戦のみ。そのゴングはムスプルヘイムによって容赦なく鳴らされた。


 「他の参加者である構成者ヘルハールを殺すこと。それがキミたちに課せられた第二の生存条件だ」

 

 

 

 

 

 


 

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