第16話 三四日目(洞窟の長)

聖樹と会って、四日が経った。

「聖樹、今どうしているかな」

そう呟いた俺はとりあえず聖樹に電話(そういう魔法がある)することにした。しかしいくらなんでも魔力が少ない俺には電話という魔法は使えない。

なので、

「すーも、カモン」

スモラを呼び、電話をかけることにした。

「電話」

スモラが魔法を使う。

すると円系で薄い、鏡のようなものが現れた。そこに聖樹は映し出されていた。しかし、ちょっと引っかかる。今日は平日だ。普通なら塾に通っているはずなのに、聖樹は草むらで寝ていた。

「聖樹、起きろ」

俺が鏡のようなものに向かって言った。

聖樹も俺の声に気がつき、起きた。

そして俺がなんで塾に通ってないの?と聞こうとしたとき。

「大変だ、大変だ。俺、塾サボってたら、お前はもう塾に来るなって寮から追い出されたんだ」

聖樹は涙目で言う。

ちなみに塾は全寮制で、中にコンビニとかがあると言う。

「おー...それは災難だったな」

「それで俺はいま野宿生活なんだ、だからお願い。今日一緒に洞窟に連れて行ってもらえないかな。俺今月ピンチなんだよ」

「おー、まぁ分かった。じゃあ俺たちの家に来いよ」

電話を切る。

「ちょっとコロ助、さっきの奴昨日の風呂場の奴じゃない。そんなのと行くなんてごめんだわ」

香美が言うと、女子全員が頷いた。

「いや、コーミ。別にあいつ悪い奴じゃないから、あいつこう見えて塾生だぜ、しかも紳士の家庭に育てられた子だから、きっと悪気は無かったのだと思う」

「えっあんなのが塾生、塾生ってクズしかいないのだな」

俺の話は無視かよ。

「まぁとにかく今日は聖樹と一緒に行くからな」

「聖樹って昨日のクズ」

「まぁ、そうだな」



ピンポーン

ガチャ。

「おっす」

目の前には聖樹と生首がいた。

バタン。

「気のせいだよな」

ガチャ。

また、開ける。

やはり、目の前には聖樹と生首がいる。

「おい、聖樹。その生首はどういうことだ」

「あー、なっちゃんか。可愛いだろう」

「可愛くねーよ。逆に気持ち悪いわ!」

「気持ち悪いなんて酷いな」

「ひゃ〰︎びゃ〰︎ぐわ〰︎」

声きも!

「とりあえずいくか」



俺たちは洞窟に入る。

「そういや聖樹、今日はどこに行くんだ?」

「一階の隠し通路だ。そこに洞窟の長がいるらしい」

俺たちはどんどん進んでいく。

ここらへんでいいかな。

バン!

聖樹が銃を撃つ。

聖樹は銃使いである。

聖樹が撃ったところからどんどん道が拓けていく。

すると目の前には洞窟の長がいた。

「レベルは...90!!」

あまりのレベルの高さに驚きを隠せない。

「おい聖樹。こんなの倒せるのか⁉︎」

「まぁやるしかないだろう」

「なんだよそれ」

とりあえずやるしかないか。

バン!

聖樹が撃つ。だが体力はほんのすこししか効かない。

「俊足の乱」

はー!グサ!

しかしダメージは全然減らない。

「こんなの勝てるのか」

はーー!

一人だけ猛烈なオーラを放っている者がいる。それは雪だ。

「我が命ずる。目の前のボスを駆逐するのだ。

霊魂切り!」

雪の周りに魂が現れる。

そして雪が切ろうとすると、その魂たちも一斉に飛びかかった。

ばん!ばん!ばん!

ものすごい爆音が流れ、ものすごい爆風が吹く。吹き飛ばされそうだ。

しばらく経つと、爆音は収まった。

それと同時にモンスターも消えていた。

「俺たち、勝ったんだな」

「あー。そうだな」

俺たちは家へと帰り、今日は聖樹と一緒に寝た。


受験まで残り696日。

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