第9話 十五日目(魔法使い)

パチ!

俺はふと目が覚める。

「やはり時間がこの悩みを解決してくれたようだな」

俺は昨日のあのことについてあんなに深刻に悩んでいたのに今はもうすっかり治っていたのだ。

「あー昨日のことなんてどうでもよくなってしまったよ」

頭を両手でかく。

「さて、寝るか」

俺は再び寝ることにしたのだった。



俺は再び起きた。

俺がリビングに入ると目の前には隼也が立っていた。

すると、隼也が頭を下げながら

「光ちゃん昨日はすまん。意味の分からないことを言って」

俺は少し笑い、

「いやいや、こちらこそいきなり寝るとか言ってごめんね。皆の気持ちとかも考えずにこんなことして」

と言った。

「光助」

急に小奈多が俺を呼ぶ。

「なんだ?」

小奈多が段ボールの中からあるものを取り出した。

「ジャジャーン」

それはなんと

「テ...テレビ!」

俺は思わず驚いた。

だって異世界にテレビがある。てあまり聞かないんだもの。

もし、そのテレビにアニメがあったらもっと良いのだが。

こう見えて俺はアニオタなのである。


俺たちはテレビのコードをコンセントに繋いで、早速テレビの電源を入れる。


ポチ


「ねぇどかえもん、ジョイマンがいじめてくるんだ」

「たく、ノミ太くんはしょうがないな」

テッテレー

「とうめいマント」

「ほら、ノミ太くん。これでうんとジョイマンをこらしめてきな」

「どかえもん、ありがとう」


ん?これどっかで見たことあるぞ、キャラも声もそっくりだ。

俺はひとまずスルーして別の番組を見る。


「めっ潰しジャンケン、ジャン」

ピッ。

俺はテレビの電源を思わず切った。

「光助、なぜ消すのですか」

「皆のためだよ」

(著作権からな)

俺はそう思い今日の朝ごはんを注文する。


朝ごはんを食べ終えた。



「では皆にとっておきのを見せたいと思います」

俺は突然言う。

「光助、とっておきの。てなに?」

「それは今から説明するよ」

俺はそう言い、スモラを近くに持ってくる。

「スモラがどうしたのですか」

それを見て小奈多がたずねてくる。

「いざ、スモラ。変身!!」

それと同時にスモラが飛び上がる。

そして、スモラが激しく金色に光る。

「眩し!」

香美が思わず言う。

そして、光が収まった頃にはスモラは別の姿に変わっていた

それに思わず女子四人は

「え!?」

と声を漏らす。

なんと目の前には髪の毛が黒めの青色で目が緑で、水色と緑色があるローブを着ていて、背は小奈多くらいの魔法使いだった。

「光助、これってスモラ?」

雪が疑いの目で俺を見ながら言う。

「はい、これは正真正銘のスモラでーす」

俺がそう言った頃にはすでにスモラの周りには女子達が集まっていた。

そして小奈多が

「光助、ふと思ったのだけど、このスモラとはいつ知り合ったのですか?」

「えっと確か...」

「よし、ここは人間の姿になった俺が光助の変わりに話そう」

人型のスモラが言う。

それを聞き女子達は

「スモラが喋った」

と一斉に言う。

スモラは少し汗を流した。

スモラは一回深呼吸をして口を開く。

「まず、僕たちが知り合ったのは、一週間前だよ」

「ということは私たちはお風呂に入ってた頃に出会った。てことになるね」

「そうだな」

隼也が答える。

そして、スモラが話す。

「まず光助がコピーのカケラを俺にたべさせたのが始まりだ。

俺はその後光助から変身と言われたので、変身した。その変身した姿がこの姿さ。

そして、それを見た隼也が非常に驚いてた。

光助も驚いてないふりをしながら内心では物凄く驚いていた」

(バレてたのか)

俺は心の中でそう思う。

「どうやら光助は洞窟に行ったときに食べさせた、モンスターに変身すると思ったのだろうね。

そして変身した後、俺は光助と隼也に自分は魔法使いであり、これが本来の姿だと言った。

そして、光助と隼也にこれからもよろしくなと言い、俺は光助にスモラ、スライムの姿に戻れ。と言われ、スライムの姿に戻った。という感じだ」


♦︎♦︎♦︎


「ねぇ、光助、スモラを連れて洞窟へ行こう」

パロディばっかりのテレビを見ている俺に小奈多が話しかけてきた。

「だめだ。まだ金はあるからまだ行かない」

「えー」

「そういやなんでスモラと行きたいんだ?」

「魔法を使うところを見てみたいから」

「それなら庭で見せてもらったら?」

「それもそうか、光助、ありがとう」

「どういたしまして」


小奈多は香美や雪、新入りと一緒に

スモラの魔法を見るために、庭に来た。

「皆、どんな魔法がいい?」

スモラがたずねる。

「爆裂魔法」

雪が瞬時に答える。

「OK」

スモラは右手に持っている杖を上に上げ、こう叫ぶ。

「エクスプロージョン‼︎」

バーン‼︎

物凄い爆裂音が女子達の耳に響く。

思わず女子達は口が開いたまんまだった。


一方その頃。


「光ちゃん、俺もスモラの魔法を見に行っていい?」

「いいよ」

俺はパロディばかりのテレビを見ながらそう言う。

「じゃあ行ってくるね」

「あー」

隼也が駆け足で庭に向かう。

その瞬間。

バーン‼︎

と爆裂音が響く。

それと同時に隼也の顔色も悪くなる。

「隼也、どうした」

俺はテレビを見ながら言う。

「今の爆裂音でう...うんこ漏らしちまったー」

ブー

俺は思わず飲んでいたコーヒーを吹く。

「しゅ...隼也、シャワー浴びてこい」

「分かった」

隼也は、あー気持ち悪いと言いながら風呂場に向かった。



「スモラ、他の魔法も見せて下さい」

小奈多が言う。

その瞬間。

バタッ。

スモラが倒れる。

「どうしたのスモラ」

「魔力がもうなくなったのでもう動けません」

「じゃあ捕まって、部屋まで連れて行くよ」

「ありがとう」

そう言いスモラは雪の肩を掴んだ。

そしてスモラは自分の部屋のベッドでぐっすり寝た。


♦︎♦︎♦︎


「こ、光助、これは?」

小奈多が言う。

「何って俺の手料理だよ」

「どれどれ」

雪が光助の手料理を食べる。

「美味しい!」

そう言い雪はバクバク食べだす。

「本当なのか?」

そう言い新入りも食べる。

「実に美味だ」

そう言い新入りもバクバク食べだす。

ゴクリ

小奈多は唾を飲み込む。

そして光助の手料理を口に運ぶ。

もぐもぐ。

「お...美味しい...」

そう言い小奈多もバクバク食べだした。


「ごちそうさま!」

「光助、何でそんなに料理が上手いのですか?」

小奈多が聞く。

「それは、現実の俺は二男で、六人の弟の面倒を見ているお母さんは忙しいので俺が代わりにごはんを作っていたんだ。それにお母さんの料理は死ぬほどまずいしな、弟達の為に日々頑張っているんだ」

「そういや長男はどうしたのですか?」

「長男はある日、急に部屋から消えたんだ」

「もしかして転生してたりして」

隼也が言う。

「もしかしたらそれもあるかもしれないな」

笑いながら光助は言う。

「もしかしたらここに転生してたりして」

「それはないよ、兄は十四、中二のときに転生したからな」

「確かに。ここにいるのは隼也以外皆受験に落ちてここに来てるからね」

「そうだね」


♦︎♦︎♦︎


「じゃあそろそろ寝るか」

「そうだね」

「じゃあおやすみ」

「おやすみ」


受験まで残り715日。



今日の日記

小奈多


スモラの放つエクスプロージョン、エグかった。

明日は洞窟行こうね。


光助の感想。


確かにあの爆裂音はやばかったは。

隼也なんか...あ。ごめん。なんでもない。

明日は洞窟行こうとするか。

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