第34話 武器(?)奪還

秀太が見ているその映像。  夜の海底は当然の事ながら暗闇なのだが、

PCの映像処理で目の前に何があるか、枠線処理が施されている。

沈没して間の無い、LPGタンカー偽装艦。

最大の特徴であり、主要な武器だった8門のビーム砲の台座に使われていた

元、液化ガスタンク。 

枠線処理がしてある上、点滅している箇所が八つ。

      

    ・それらを ぜんぶ ひきぬいて・


どうやら、その8門のビーム砲を全部・・・ という事らしい。

「ぜんぶひきぬいて・・・って、そんな簡単に抜けるわけないだろう・・」

と、試しに一つ引っ張ってみると、あっさり抜くことができた。

大きさの比率で見ると、ちょうど500mlのペットボトルを持った感じ。

さらに、その先(?)には、半分くらいの長さで少し細めの出っ張り。

その後、8門全部引き抜いてみたが、全て同じ形状だった。

「めんどくさいなあ・・・」

秀太がそう感じたのは、大きさ的にバラで運ぶのは・・・と、思ったようだ。

すると・・・

        ・それらを ぜんぶ つないで・


「つないで・・・?」

やってみると、少し細めの出っ張りと発射口(?)の組み合わせが一番ぴったり

とはまるようだった。

「・・・ん?」 でも、ここは海の中・・・

こんなにスムーズに付けられるわけが無い。

覗いて見ると、少し細めの出っ張りより口径の小さい穴が開いていた。

「筒状になってたのか。」

全部繋いでみると、槍投げ競技用のジャベリンにしては短すぎ、野球のバット

にしては長すぎる、一本の棒になった。

「・・・何に使うんだろ? これって。」

その時、秀太の視界の端の方で、フラッシュのような光の瞬きが。

方角は、偽豪華客船の方だった。

すでにスクリューのフィンと舵を切断し、航行不能にしてある。

後は、第七艦隊がどうにかしてくれるのだろう、と思っていたら・・・

最後の悪あがきなのだろうか、戦闘が始まったようだった。


突然、目の前の映像が変わった。

『この映像を見てるって事は、無事に奪還できた・・・で、いいのかしら?』

イングリッド先生だった。

『本来だったら・・・ その棒みたいなのは、シュータ君が乗っている海烏クンの物じゃないの。なんて言ったらいいのかなー? ・・・名前がまだ分かんないから

・・・そう、「黒い奇妙なロボット」クンに手渡してあげて。   たぶんね・・・

向こうも海烏クンの事を探してると思う。とりあえず、ハワイ方面へ向かって。』


「もう、何が何だか・・・」

目の前の映像は暗い海底にもどり、進行方向を示すらしい矢印も追加された。





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