第23話 カタカナのメッセージ (2)
計6本の、突き刺さった針の根元が少し出ている丸い岩のような物体。
その崩壊現象が出なかった事を確認する様子も無く、カラスの怪物は
何をしようとするのか、今度は自分の足元を見据えたかと思うと再び
(針付きの)ハンマーのような手を出現させた。
黒い針でできた蓑(ミノ)のような姿からして、しゃがむか座るかの
どちらかなのか、とにかく姿勢を低く取り始めた。
自衛隊は放水を一時中止、再度警戒態勢という形で様子を見ている。
すると、何か硬い物を削るような音が。
「何をしているのでしょうか!? ここからでは確認できません。」
「こういう時こそドローンを飛ばしませんと。準備できてないんですか?」
テレビ局(中継車)がその準備に慌てふためいていた頃、カラスの怪物は
シャラシャラと音を立てながら立ち上がり、踵を返すように向きを変えた。
「自衛隊には後で謝る! すぐに飛ばせっ!!」
番組プロデューサーの号令と共に、早速ドローンを現場に向かわせたが・・・
上空から見た映像は、針を刺されたまま微動だにしない丸い岩のような物体と、
駐車場アスファルト上に書かれた “ 何か ” 。
「もう少し下降しろ。何て書いてあるか分からん。」
ドローンが徐々に下降すると、地面には変にきれいな書体で書かれた文字が。
「ああ・・・ やっぱり日本語のカタカナのようです。」と、レポーター。
横書きで二行、9文字づつの計18文字。
映像では最初の3文字、{ セイギ }。二行目の{ オセ }までは確認
されたが、アスファルトの削りカスのせいで全文を正確に読み取るまでとは
いかなかった。
“ナックルボール”と呼ばれる、その丸い岩のような物体。さながら、前衛芸術の彫刻
のように見た目のインパクトと静けさを含んだまま、その場に佇んでいる。
虚空を見つめるような目つきに見えるカラスの怪物。
まるで、一仕事終えたかのように元いた(?)海へ戻ろうとしていた。
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