第27話 パン
「これからは、ペンダントの使い方をちゃんと教えるから勝手に外すなよ……」
「はい! わっかりました!」
カミール先生はおこってもあんまり変わらないっと……
「おい! 何心の中で考えてるんだ……」
あ、バレた。これだからこの先生は……カミール先生に話しそびれちゃったけど、一体ここはどこなんだろう……?
「……もしかして、配ったプリントちゃんと見てないのか? もしプリントを見ていなかったとしても、そこら辺に案内が書いてあるはずだが……」
なんと! そんなものが……重要なものはしっかりと言ってほしいものです!
「はぁ。常識がない上に、話も聞かないとは……なんでリムアムに気に入られたんだか」
よ、よく考えたらあれ、あれだね。そう、あれ。えーと、こういう時に来るところは……なんだっけ?
「……ここは医務室だ。大抵訓練で怪我した生徒や、魔力切れになった生徒が運ばれる」
そう、そう。そんな感じです。そうです。知ってました、知ってましたから……
「……もういい。元気そうなら、はやく個別授業をやるぞ」
「あれ? 普通の授業は……」
この前は、授業(体験授業)の後に行ってたはずだが……
「魔力の全開までに半日かかるなんて考えてもしなかった。何をどう生きてきたら、そうなるのやら、教えてほしいものだ!」
知らないです。ただのんびり数字を数学してましたから……
「カルノアも待ってるから、はやく行くぞ!」
「は、はい!」
ここが、教室なのか。だとしたら、だいたいあそこら辺に医務室があるのか……
「常識がまるでない奴のことは置いておいて早速授業をするぞ」
「はい!」「はいー」
「今日は種族についてだ」
「!!」
「何ですかそれは?」
あれ、カルノアちゃんどうしたんだろうか……
「どうしたの? カルノアちゃん」
「い、いえ! 何でもないですから……」
大丈夫じゃない時に使いそうな言葉だ。でもまぁ、気にしない方が彼女のためだろう。
「まず、私達が人間族だ。人間族以外にも、獣人族・龍人・吸血鬼・魔人なんかがいる。それぞれ種族には、何かしらの能力があると言われている」
私の場合は、思考速度上昇・不老不死・魔力量増強だ。そういえば、魔力量増強はあらゆる生物が持っているってカミール先生が言っていたな。てことは、人間族の人はみんな思考速度上昇を持っていたのか! 計算でドヤ顔できると思っていたのに……
「ライトの妄想は置いておいてだな。人間族と獣人族の能力は分かっていない。表向きには、だが……」
「え、どう言うことですかそれは?」
「え、そんな訳がない! どういうことですか……?」
カルノアちゃんの反応が凄まじいのだが……
「まぁ、まぁ。この話をするのはまだ早すぎるからまた今度な」
一体何者なんだカミール先生……
「じゃあ、この内容は明日テストするから覚えてくるように。何か質問ある人〜?」
「はい! ペンダントの使い方結局教えてもらってないです!」
そう、あの時おしえるとかいわれたが、話をしているうちに教えてもらえなかったのだ。
「あ〜。だいたい能力の使い方と同じだ。後で試しておけ」
「カルノアは何かあるか?」
「い、いえ! ないです。ちょっと動揺しちゃただけです。気にしないでください」
「じゃあ、解散!」
ペンダントの使い方は、帰ったら試してみよう。
家への帰り道。またあの集団の一員と思われる人に話しかけられた。
「ライト様ですよね? これ宜しかったら御夕飯にお食べください」
「要らないです。夜ご飯はもう決まってますから……」
「そんなことおっしゃらないで。御夕飯の一品が増えたと思えば平気ですから!」
「そ、そんなことを言われても……」
「それに……これを受けとってもらわないと私が困ります。ライト様に勇気を振り絞ってお話が出来なのに御料理を受け取ってもらえないなんて……会員の皆様からも、私のショックでも、命が危ないです」
会員の皆様からも、私のショックでも、命が危ないです? どういうことなんだ……異世界特有の言い回しとかか?
「いや、でも……」
「お願いです。何でもしますから!」
「じゃあ、帰ってください」
「これを受け取ってもらえれば帰りますから」
「しょうがないです。貰っておきます」
「ありがとうございます!」
これからも、こんなのに絡まれるなんて想像しただけでも憂鬱になりそうだ。
どうにかして、その集団がなくなれば良いんだけどなぁ。
◆◇◆
家に帰ってきた。あの人からもらったカゴの中身を見てみよう。
パンだ。「御夕飯の一品に」とか言っていたのにパンか……
ゴクリ。何故だろうか。 貰ったパンがすごく美味しそうだ。
食べたい。食べたい……食べても良いよね?……食べよう。
パク。美味しい。
これ食べても、別に何ともないし大丈夫じゃん。心配して損した〜。
「ご馳走さま〜」
夜ご飯も食べ終わったし、明日のテストの勉強をしたらすぐに寝ようかな。
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