第26話 魔力切れ
お金を貰った後は、特に何事もなく夜ご飯食べて寝た。昨日の夜ご飯は、お腹が空きながらも頑張って作ったハンバーグにした。
今日は早めにおきたのでギルドに昨日渡されたお金を持って行こう。
「朝ごはんは適当に済まして……と。お弁当も昨日の残りを詰めて……」
よし。準備が終わった。ギルドに向かおう。
ギルドに着いた。怪しい集団に絡まれることなく平和な道のりだった。
「リムアムちゃん、おはよ〜」
「あら、ライトちゃん。おはよう。今日はどうしたの?」
リムアムちゃんはすごいなぁ。こんな早くからテキパキと仕事をしているなんて……
「実は、かくかくしかじかで……」
「……分かったわ。奥の部屋で話しましょう。まだ、あんまりギルドに人がいない時間だし……」
良かった。あんまり周りに知られたくな
い内容だったから有難い。
奥の部屋に初めて来た。来客用の部屋って感じだ。
「実は昨日……」
◆◇◆
「なるほど。やっぱりあの集団だったのね。お金は何かあるかもしれないから、さっさと使っていましましょう。その人の言った通りにするのは癪だけど……」
「そうですね。そうしましょう、リムアムちゃん」
「用事はこれだけよね? 結構時間が経ったわね。早くしないと学園に間に合わなくならない?」
なんだと……本当だ! 早く学園に向かわなければ……
「リムアムちゃん、ありがとうございました。急ぐから、またね」
「そうね。早く学園に行きなさい」
リムアムちゃんに言われなかったら、間に合わなかっただろう。ありがとう。リムアムちゃん。
「はぁ、はぁ……」
どうにか学園には間に合ったようだ。かなり走ってきたので、想像以上に余裕があった。こんなことなら、もう少しゆっくり走れば良かった……
カミール先生が来る前に早く教室に向かおう。
教室に着いた。あれ、昨日配られた授業選択のプリント書いたっけ……書いてない!書かなきゃ!
えーと、ペンのまほ……魔術の詠唱は確か……
「我が魔力よ。世の事象を表し道具となりて、我に力を貸し給え」
小声で言ったから、誰にも聞こえていないはず……詠唱をこの場で聞かれてたらすごい恥ずかしい。
「あれ?」
ペンが出来ない。いつもなら、500年使い慣れたあのペンが出てくるはずなのになんでだろう。
……あ、このペンダントかな。魔力を常に放出し続けているんだっけ。ペンを作る魔力すら自分には残ってないのか……?
このままじゃ、プリントに記入が出来ない。どうしようかな……
思考速度上昇を使って考えたけど、一番良いのはこのペンダントを外すことなのではないのか。よし、外そう。
おお! 体がすごく軽く感じる。魔力の放出が止まったからかな。
もう一回小声で詠唱を……
「我が魔力よ。世の事象を表し道具となりて、我に力を貸し給え」
よし! いつものペンが出来た。だけど、なんだか意識が遠く……
「パタン」
なんだかよくわからないが、体が動かない。なんだこれは……
意識が……
◆◇◆
「……は! 一体何が……」
見たことのないベッドの上に寝ていた。ここはどこだろう……
「ここはどこだろう……じゃない! 何勝手にペンダントを外して、魔術を使ってるんだ! 外すなって言ったはずなのに!」
あ、やばい感じだ。普段から怖い人だったから、怒ってもいつもより強い口調だけって印象だなぁ。
「何、冷静に考察している!? まぁ、別に怒っても変わらないからな。きっと朝プリントのことを思い出して、書こうとしたら魔術が使えなかったとかそんな感じだろう?」
おお、すべてお見通しですか。そこまで、細かいことは心の中でも言っていないのに……
「私が、ペンダントの機能をしっかり言っていなかったのも悪かったな……ペンダントには普段から魔力を吸収しておけるが、放出もできる優れものだ」
すごくないか。これがあれば、実質魔力量は無限になるのでは……
「魔道具に頼るのはなぁ……」
「そういえば、ペンダントを外したのは謝りますけどなんで倒れたんですかね?」
昨日から疲れやすかったが、突然意識がなくなるなんて……
「……はぁ。本当に常識がないのだな、君は。これでよくこの学園に入れたものだ」
それは私も思います。テスト記述で、『あれがこんな感じで、そんな風になるかり、あれがあれな感じでそれがあんな感じになるから。』って四十三文字の回答書いたからな。
それで受かるとか、何考えてるんだか……
「いわゆる『魔力切れ』だ。正確には、魔力が全てなくなっているわけではないのだが……魔力切れは、魔力がある程度なくなると、体が防衛反応として意識を落とすことを言う」
魔力が少なくなると倒れる、こんな重要なことを知らないなんて……なんで今まで知らなかったんだ……
そっか、今までそんなに多くの魔力を使わなかったのか。ペン作ったり、水だしたり、スライム狩ったり、そのくらいだ。
「これからは、ペンダントの使い方をちゃんと教えるから勝手に外すなよ……」
「はい! わっかりました!」
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