第24話 ラマン教

 全ての体験授業がと終わった後、教室に戻った。受ける授業のアンケートの用紙を配った後、解散した。


 私は、終わった後カミール先生の個別の授業をまた受ける。


 「ライトとカルノアは、今日の模擬戦を見たと思うけどどうだった?」


 「私は、剣の速さが速すぎて全然見えなかったです」


 そっか。カルノアちゃんは思考速度上昇が無いからゆっくりに出来ないのか。


 「ライトは?」


 「私は、風属性の剣で使える盾を攻めに使えたり土の壁を足元に作ったり色々と応用が効くのだと思いました」


 「え! ライトちゃんあの速さが見えたの!?」


 「あ……それは……」


 「ふふふ。まぁ、カルノア。細かいことを聞くのはやめておけ。お前も言えないことがあるだろう?」


 「まぁ、それは……」


 前も話してたけど、言えないことってなんだよ……それに、能力のこと絶対バレてるし……心の中が読めるんだっけ。


 「雑談はこれくらいにしておいて、早速授業だ。プリントに今日テストするって書いてあったよな?」


 「はい! 完璧です!」


 あ、ヤバイ。そんなこと忘れた。なんとなくうろ覚えだけど大丈夫だろう。うん。


 この時、ライトは忘れていた。一番テストで怖いことは、うろ覚えで安心しているという事に……




 「採点終わったぞ。ライトちゃんと覚えて来たのか?」


 「いやまさか、何も書いてない紙にプリントの内容を一文一句間違えずにかけなんて出来ないですよ!」


 「カルノアは出来たが」


 「そうですよ、ライトちゃん。勉強が足りません!」


 「そ、そんなぁ」


 「まぁ、ライトは書いてることは大体合ってるから別に良いか。それにただ文を暗記するだけが大事じゃ無いしな」


 じゃあ、なんでこんなテストしたんだよ……


 「ふふ。それはな。満点を取って欲しくなかったからだ。自分で作った問題が簡単に解かれては楽しく無いだろう」


 この言葉どこかで聞いたよな。確か……そうだ、あの先生だ。懐かしいな。全く同じ、一文一句同じだ。もしかして……


◆◇◆



 そんな訳ないよな。というか、何考えていたんだっけ……


 そうだ、テストだ。


 「テストの話はここまでにしておいて……今日やるのは魔力の特訓方法についてだ」


 「そんなのあるんですか!?」


 ビックリした。カルノアちゃんが突然叫び出した。


 「この世界の全ての生物は、能力 魔力量増強を持っていることが知られている。使えば使うだけ、魔力量が増える。だから、貴族なんかは子供の時ひたすら魔力を消費させてポーションを飲すという方法を使っている」


 あ、それ私の持っているやつだ。特別だと思ってたのに……貴族の方法中々酷くないか……


 「ライトの思っている通りだな。貴族や王族は、子供の時からずっと苦痛な目にあっているから大体頭のおかしな奴に育つ」


 「「大問題じゃないですか!」」


 「……そういうものだ」


 「そういうものって……」


 「そういうことじゃ……」


 「頭のおかしい人には近づかない。それだけだ。こんなどうでも良い話は置いておいておくぞ」


 置いておくって、床がミシミシなってるんですけど……


 「まぁ、そ、そういうこと、なんです……

かね……?」


 カルノアちゃんも困惑してるよ……


 「魔力量の効率な増やし方は、ひたすら魔力を使うことだ」


 え、そのまんまじゃん。あと、この状態は放っておくのか……


 「ライトとカルノアが、今思ったようにそのまんまだ。だか、魔力の使い方が問題だ。王族や貴族はどうやって魔力を使うかわかるか?」


 知らないです。


 「答えは、魔術を使うだ。ひたすら火球を打ち続けている。これは、消費量がとても少ない。だから、魔道具を使うんだ」


 魔道具? この指輪みたいなものか。


 「そうだ。しかも二人が持っている指輪に使う魔力を残しておける優れものだ」


 「ライトちゃん『カルノアちゃん』も指輪もってたんですか!?」


 「あ、言ってなかったな……」


 聞いてないよ。こんな危険な指輪がたくさんあったら大変なことになりそうなのに……


 「で、魔力を消費できる魔道具はこのペダントだ」


 おお、綺麗な金色の宝石の入ったペンダントだ。


 「これは、いかなる場合でもつけておけように。何か質問はあるか?」


 あ、そうだ。あれを聞いてみたかったんだ。


 「全然関係ないんですけど……魔術と魔法は何が違うんですか?」


 「はぁ」「え、うそ」


 「えっどうしたの二人とも!」


 「全然関係ないんですけど……魔術と魔法は何が違うんですか?」


 「はぁ」「え、うそ」


 「えっどうしたの二人とも!」


 「いやぁ、よく今まで死ななかったなって……」


 「本当にライトは面白いな。信者に殺されなかったな」


 「本当ですよ!」


 どういうこと? 信者って一体……殺されるとか言ってるし……


 「魔術と魔法の違いはだな……ラマン教のせいだ。これは、魔術の祖である魔術之神 ラマングルードを信仰する宗教だ」


 「一体何が関係してるんですか?」


 「その人物が出てくるまで、魔法と魔術の呼び方はどちらでも良かったのだが……ラマングルードが魔術と言っていたせいで、ラマン教の信者が、魔法と読んだものを虐虐殺し始めて呼び方が魔術に統一された」


 「なんでそんな事に……」


 「さぁ。詳しいことは分かってないが……魔法と言ったものはいつのまにかどこかに消えていたっていうのは、良く聞く話だ」


 うーん。宗教って怖いな。これからは、魔術を使うようにしよう……


 「懐かしいな……」


 「何か言いましたか?」


 「いや、なんでもない。今日はここまでだ。ペンダントは、いつでもつけておくように。それじゃあ、解散!」


 今日の特別授業も終わったことだし、帰りにリムアムちゃんに会ってから帰ろう。


 帰り道、ギルドのリムアムちゃん所へ向かった。


 ギルドへの道で、他の視線をすごい感じた。憎むような目や、キラキラした目の人、様々な人がいた。


 なんでだろう……あ、もしかして、魔法って言っていたからかな。信者に殺されるのでは……早めにギルドに向かおう。




 やっとギルドに着いた。多分怪しい人は居なかったし平気だろう。


 あ、リムアムちゃんがいた。


 「おーい、リムアムちゃん」


 「あら、ライトちゃん。どうしたの?」


 「学校の帰り道寄ったんだ」


 「ライトちゃん大丈夫だった? 怪しい集団に絡まれなかった?」


 怪しい集団? そんなのなかったはず……


 「大丈夫……でしたけど?」


 「良かった。ギルドで仕事していると、いろんな噂が聞けるから。すごい心配したのよ」


 怪しい噂……? もしかして、魔法の事か!?


 「あ、あの〜。もしかして、魔法の事ですか?」


 周りに聞こえないように、小声で言った。


 「え、違う違う。というより、あれってわざとよね。ラマン教に戦線布告っていうか……まぁ、それも関係してるのだけど……」


 マズくないか。リムアムちゃんにも戦線布告って捉えられていたのか。もしかして、いつ暗殺されてもおかしくない?


 「怪しい噂って言うのは、『ライトちゃんを崇める会』よ」


 「……なんですかそれは」


 「そのまんまよ。ライトちゃんが、可愛すぎてみんな神様のように崇めているのよ」


 そんな集団が……こんな姿にしたあの普通髪め! そういえば、前にリムアムちゃんに「可愛すぎるからファンクラブができるかもね」って笑っていたな。きっと、あれはフラグだったんだ……


 「大丈夫なんでしょうか?」


 「……大丈夫よ。怪しい人がいたら、その指輪で止められるし……それに、ライトちゃんが魔法って言葉を使っているのを知っているらしくて、『魔術の時代は終わった。次は、ライト・ピタゴラス神の魔法の時代だ!』って言っているらしいわ」


 大丈夫ってなんて意味だっけ。その集団、私が魔法って間違って使ってるのを言いふらしているのでは……


 「本当に大丈夫なんですか?」


 「大丈夫よ。その集団に歯向かった人は、いつのまにか殺されているらしいから」


 ダメだった。いつか、国王にでも呼ばれるんじゃないだろうか。



 ライトは知らなかった。国王に呼ばれる理由は、こんな集団ではなくもっと大変な出来事であった事を……

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