第23話 模擬戦

 模擬戦……危ない?


 え、死なないよね? 大丈夫だよね? この世界の魔法での対人戦なんか見たことがないので、とても嫌な予感がした。


 「始め!」


 エドワード先生の合図が掛かった。


「我が魔力よ。風の刃となり、我に力を貸し給え!」


 女の子の方は、風の剣を使うようだ。特徴は……剣を盾に変えられるみたいな感じだっけ。


「我が魔力よ。土の刃となり、我に力を貸し給え!」


 男の子の方は、土の剣か。なんかイメージとあってる。特徴はたしか、土を操れる的な感じだったはず……


 どうでも良いようなことを考えていたその時。


 「はぁ!」


 女の子の方が切り掛かった。自身に満ち溢れてたしな……


 「くっ……」


 男の子の方は、土の壁を作ったようだ。壁を切らせている間に、剣を避けたようだ。


 女の子の方はスパスパと、切り掛かっている。が、男の子の方は負けないようにひたすら壁を作って耐え続けている。女の子がすごい押していて今にも勝ちそうな勢いだ。


 「あー、もう! 鬱陶しい! あんた、そんな根暗な性格をしてるから戦い方もうざくなるのよ! まったく……」


 女の子は、男の子が耐え続けているだけだったのに頭にきているようだ。


 「なんだと! 俺は、根暗なんかじゃない! 勝手なことを言うな!!」


 男の子の方も怒ってしまった。


 カキン、と音がした。なぜなら、土の壁が風の剣で切れなかったからだ。


 「オラァ!」


 男の子は、性格が変わったかのように剣を切り始めた。その速さはとても速く、思考速度上昇を使わなければ全く見切れないほどだ。


 男の子の一撃。女の子の方はうまく避けた。が、足元には土で作った段差に躓いてしまい転んでしまった。


 男の子の狙いは、斬撃ではなく相手を転ばせることだった。


 男の子は、女の子の喉元に剣を構えた。


 「そこまで!」


 どうやら模擬戦が終わったようだ。危険だと言われたから、もしかしたら大量出血があったり、最悪死人が出るのかと思ったが、平和に終わってよかった。


 「そっちが勝つのか……」「あの子カッコいい!」「あんな感じの戦術楽しそう」など、多くの人が呟いている。


 「これから、勉強することだが風と土の剣は守備寄りの属性だ。守るだけではなく、攻めることもできると覚えておいてほしい」


 「カミール先生! 私のセリフを奪わないでくださいよ〜」


 そんなやりとりをして、笑いが起こったところで剣術の見学がおわった。


 「次は、歴史学の見学だ」


 カミール先生が言った。歴史学、私が受けようと思っていた科目だ。




 「歴史学は、ヘロドス先生が担当するからここからは、ヘロドス先生に任せます」


 「ヘロドスです。 歴史学では、これまでの出来事、王都がこちらに移ってきた理由などの様々なのことを勉強していきます……………………………………………………」





 歴史学は、名前そのままだった。想像よりも長かったので何も聞いていない。覚えてるのは、歴史の先生の名前はヘロドス先生って言う変な名前だってことと、とにかく話が長いってのことだけだ。



◆◇◆



 あの後、魔術学、魔道具制作、生物、宗教学の見学をした。歴史学と同じような感じで話が長かったので何も覚えていない。眠い……


 「最後は、神話研究学だ。では、ソクラノ先生お願いします」


 「どーも、私がソクラノです。神話研究学の見学ということではっきり言います。面白くないです。あるかないか分からないようなおとぎ話を聞いてテストのために暗記する、ただそれだけです。私が言うのもあれですが、やめておくのがオススメですよ!」


 こんな人がいるのか。面白いな。初めから自分で入らない方が良いなんていうなんて……


 きっとこうするのは、本当におすすめしてないか、生半可な人が来るのを抑えるためだろう。すごい熱意のある先生なんだろう。


 決めた! お……私は、神話研究学を受ける!


 「はい、ソクラノ先生ありがとうございました。というわけなんで、神話研究学は本当に受けたい人が受けるように」


 カミール先生は、神話研究学を勉強したことがあるのかな。後で聞いてみよう……


 「じゃあ、教室に戻るぞ」


 「はーい」「はい!」「……」

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