3/第四章  辺境の救世主

「……ふう……」


 俺は、温泉に裸身を浸からせながら、全身を襲う筋肉痛地獄と戦っていた。


 ダンジョンの攻略と、シネラリアの襲撃から助かった時から、早一カ月程が経過していたが、俺達は未だにブルードラゴンに留まっていた。


 ブルードラゴンという辺境で起きた水枯れは、ダンジョンの消滅と共に解決した。


 やはり、ダンジョンが発生した事で水源が塞がれ、周辺一帯に水が供給されなくなっていたらしい。


 普通、水源を建築物が塞いでも、水の流れが多少変化する程度で済むと思うのだが、ダンジョン内を通った水は全て消滅していたようだ。


 そのあたりの理屈は説明不能だし、俺には良く解らない。


 しかし、昔からダンジョンが発生する度に、周辺地域では自然災害や地殻変動が起きていたようだ。


 勇者が魔王を打倒してしまえば、全てのダンジョンは消滅するのだが、肝心の魔王のい所を把握出来るまで、勇者一行はダンジョンを攻略しまくって、魔物による人的被害の拡大を防いで回るのが常だった。


 そして、ダンジョンの数が減ると共に、業を煮やした魔王が自身で行動を起こし、勇者本人と鉢合わせして、倒されてしまうと。


 それがこれまでの、勇者と魔王による戦いだ。


 ところが、今回は魔王復活までに猶予があるにも関わらず、ダンジョンが建設された事が判明した。


 シネラリアの口ぶりを考慮すると、他にもダンジョンはある。


 以前見たドラゴンゾンビや、魔物のゾンビは、シネラリアがダンジョンを攻略する過程で得た卷族なんだろう。


「魔王が復活しないと発生しないダンジョンが出てきたって事は、魔王の復活が段階的に起きているって事になるのかなあ?」


〈さあね。今回の魔王討伐は前例の無い事ばかりですので、私の経験もあまり役に立たないかもしれませんね〉


 俺の傍らで、ホリーが温泉につかりながらぼやいている。


「……ていうかさ。君って霊体なんだろ。温泉に浸かる意味ってあるの?」


〈気分的な問題ですよ。瞬間的に実体化する事も出来ますし。まあ、必要最低限の触感しかないので、何の感慨もありませんが〉


「ふ~ん。……しかし、まさか筋肉痛で一カ月も動けなくなるとは思わなかったなあ」


〈だらしないですねえ〉


「……いや、君が俺に憑依した所為だけどね。憑依されなかったら危なかったから何とも言えないけどさあ」


 俺は、全身を襲う筋肉痛が治るまで、温泉宿に宿泊して湯治に専念する事にした。


 その間、アイリスは里帰りして、サフランは物見遊山する事にしたようだ。


 しかし、彼女達を単独で行動させて、あのシネラリア達に襲われるのは危険なので、出来るだけ二人は一緒に行動するように言っておいた。


「……そろそろ、動くのに支障は無いから、ペンドラゴンに帰ろうかなあ」


 言いながら俺は湯船から出て、体をタオルで擦ろうとする。


 すると、ホリーがタオルを取り上げて、石鹸を塗りたくると、俺の背中を擦り始める。


 どうやら俺の身体を洗うつもりのようだが、傍から見るとタオルが独りでに俺の身体の周囲で動いているようにしか見えないので、不気味だろうな。


 まあ、誰もいないから良いけど。


 温泉宿の店主が、なんか、水枯れの原因を取り除いた恩人として、温泉を貸し切りにしてくれているようだし。


〈クロウ。なんだか身体が筋肉質になりましたね〉


 身体をタオルで擦っているホリーが、そんな事を言ってくる。


 言われてみると、腹筋が六つに割れているし、手足の筋肉も太くなっている。


 しかし、俺は一切訓練していないし、元々ひょろりとした体形だった。


 ここまで短期間で筋肉が肥大化しているのを見ると、ヤバい薬に手を出しているようで、正直怖い。


「なあ、俺の身体が変わったのも、君が憑依した所為だよな」


〈所為って何ですか所為って。それを言うなら「おかげ」でしょうが。一切トレーニングしないでバッキバキの細マッチョに成れた事に感謝しないさいよ〉


「いや、はっきり言って後が怖いよ。今は筋肉痛で済んでるけどさあ。君に憑依されると、勇者以外は死ぬんだろ?」


〈そうですね。姉妹剣使い程の素養を持つ者でも死にますから、常人に憑依すれば即死ですね〉


「まだ、俺が憑依されても死なない理由とか全然解ってないんだしさあ。あんまり憑依しまくると本当に死ぬかもしれないぞ?」


〈それは無いと思いますよ。死ぬんなら、一瞬で死にますから〉


「……前に誰か、君が憑依して死んだ事あるの?」


 俺は、自分の背中を洗っているホリーに、聞きにくい質問をした。


「君が憑依した相手が死ぬってんなら、君はその気になれば誰でも殺せるのか?」


〈前にも言いましたけど……私は同意した相手にしか憑依出来ません。だから、私に憑依されたヤツは、死ぬと解って同意したんです〉


「……」


 ホリーは、俺の身体を洗う手を止めて、明後日の方向を眺め始めた。


〈あの時の勇者は、まだ幼くて、未熟でね。魔王は勇者が成長するまで待つほど甘い相手じゃないんで、弱かった勇者は、頻繁に魔物の襲撃を受けました〉


「……」


〈そんな幼い勇者を、ずっと守っていた姉妹剣使いがいました。珍しいケースでしたけど、勇者の姉に当たる女でした〉


「へえ……姉妹剣使いの中には、昔から女がいたんだ」


〈ええ。彼女は雷鳴剣の使い手でね。実力も十分でしたから、私としても、彼女がいれば、勇者が大人になるまで守りきる事も出来ると楽観視していたんですよ〉


「……他に、仲間が出来なかった?」


〈そうです。姉弟の二人だけで、魔物の襲撃から逃げ回っていました。しかし、ある時あきらかに二人だけでは対応できないヤツに襲われました。魔王の側近に当たる魔物……俗に言う魔族です〉


 俗に言うも何も、魔族なんて単語は初めて聞いたのだが、俺は何も言わなかった。


 話の先を予想すると、口を挟む気になれなかった。


〈勇者の姉は、ソイツを倒す為に、私に力を貸す事を要求しました。私の姿は見えず、声も聞こえなかった筈ですが、私の存在は弟から聞いていたのでしょう〉


「弟の勇者に君が憑依すれば良かったんじゃないのか? シオンだって、子供だけど、一瞬大人になったし……」


〈シオンは例外ですよ。というより、あんな幼い状態で、あそこまで私を使いこなせる勇者なんかこれまでいませんでした〉


「……」


 俺は思わず、余計な事を言った自分に腹が立った。


 他に方法があるなら、ホリーがそれをしないわけが無い。


〈私は、勇者の姉に憑依しました。彼女程、高い素養を持つ姉妹剣使いなら、短時間私の力を使っても死なずに済むかもしれないと思いましたし。でも……〉


「……」


〈彼女は魔族を倒した後、内臓を破裂させて死にました。戦いが終わった時には、手遅れでした。私は勇者の姉を殺したんです〉


「君が殺したわけじゃないだろ……魔族から勇者を守る為に……」


〈ええ。勇者さえ助かれば希望がある。他の誰を犠牲にしようが、私は勇者を死守します。ですが、それでも勇者の姉が死んだのは私の所為です〉


「……」


 俺は何を言えば良いのか解らなくなった。


 珍しく、ホリーが勇者以外の存在を原因に感傷的なっている。


 しかも、あの女嫌いのホリーがだ。


「その時の勇者は、どうなったんだ?」


〈その件をきっかけに、急激に実力を増して、後に魔王を倒しましたよ。何時も通りの展開です〉


「……そうか」


〈ええ。本当に、何時も通りの展開でした〉


 ホリーは昔を懐かしんでいるのか、遠くを眺めたまま、小さな声で、


〈何時か死ぬ癖に……あんな生き様見せるヤツもいるから嫌いなんですよ……生身の女なんか……〉


 なんて事を、ボソリと口にした。




「とりあえず、これからもダンジョンが見つかったら要注意って事だな」


〈ですねえ〉


 身体を洗い終えた俺は、再び温泉に浸かる。


「さっき聞いた時に気になったんだけど、魔族って何? 強い魔物の事?」


〈そうですね。勇者にとっての姉妹剣使い達のような存在。少数しかいませんが、他の魔物のとは一線を画する力を持つ存在です〉


「魔族って、姉妹剣使いよりも強いの?」


〈姉妹剣使い同士も、かなり実力差がありますから何とも言えません。魔族だって個体差がありますしね〉


「……でも、君から見て優秀だった雷鳴剣の使い手が、勝ち目無いってくらいの魔族もいたんだな?」


〈ええ〉


 ヤバいなあ。


 歴代の勇者の中で、最強の存在であるシオンの誕生。


 歴代の魔王が例外無く勇者に拮抗していたという事実。


 それを考慮すれば、今回の魔王も歴代最強。


 つまり、歴代最強の魔族が大挙して襲いかかる事態もあり得るわけだ。


「やっぱり、姉妹剣使いは出来るだけ、沢山集めないとな」


〈そうですね。ですが、基本的に魔族は勇者に任せれば良いんです。姉妹剣使い達だけで魔族に対応しようとする事自体が間違いですよ?〉


「まあ、シオンが何かに負ける、なんて想像も出来ないしな」


〈ええ……あの子なら、きっと何が合っても大丈夫ですよ〉


 ホリーは、優しげに微笑んでいる。


 そんな表情で、その言葉を当の本人に行ってやれば、少しは関係が改善するだろうに。


〈貴方が無事ならね〉


「は?」


〈いえ、ですから、シオンは何が合っても大丈夫ですよ。貴方さえ無事なら〉


「……それ、どういう意味?」


〈貴方が何らかの形で死ねば、シオンは一瞬で全てのやる気を失うと思いますよ。世界とか人類なんか、貴方を守るついでに救おうとしてますから〉


「……それ、大丈夫じゃなくない?」


〈だから、死なないようにしろって話ですよ〉


「は、ははは……。一気に難易度が跳ねあがっちゃったよ」


 俺は、自分の身体が温泉に沈んでいくのを感じていた。




「……ぷはああ!」


 温泉から上がり、瓶入りの牛乳を一気飲みした俺はそんな声を上げた。


「しかしまあ、水枯れの件は割とあっさり解決したし、姉妹剣も一本手に入ったし、ここに来て良かったなあ」


〈まあ、ちょっと都合が良すぎる気もしますけどね。言いだしたのは私ですけど、ここまで短期間で数多くの姉妹剣が集まるとは思いませんでした〉


「これまでも十二本の姉妹剣が一堂に会した事は無いんだっけ?」


〈ええ。失敗作の鬼神剣、羅刹剣は使いこなせる人がいませんでしたし、他の十本が全て集まる事もありませんでしたね〉


「……なんかさあ、今の世界ってシオンも含めて、稀に見る天才が現れてないか? アイリスとかカトレア教官もそうだけど、サフランとか超強いだろ?」


〈まあ、中々の素養を持っていますね〉


「君が失敗作とか言うから気にしないようにしてたけど、俺、この先絶対に鬼神剣か羅刹剣の使い手に襲われる気がするんだよなあ」


〈まさか……その二本は使い手が殆どいないから失敗作なんですよ?〉


「……君もさあ。そろそろ俺の引きの悪さを解ってくれよ。たまたま遠出したらダンジョンを見つけたりするんだぜ? あり得ないくらいのトラブルメーカーになってるよ」


〈だから、今の内にその二本の姉妹剣を持った者に襲われた時に備えようと思っていますか?〉


「まあ、一応心の準備程度はね」


〈……その二本のどちらかを持っているヤツに襲われたら、確実に助からないと思いますけど〉


「……」


 なんだか、もの凄く気になる事を小さな声でホリーが呟くので、俺は無言になった。


 その時、唐突に、温泉宿の脱衣所にサフランがやってきた。


「あれ? サフラン、あちこち見て回るんじゃなかったけ?」


 俺は近づいてきたサフランに声をかけたが、何故か彼女は返事をせず、無表情にこちらを見つめていた。


 その眼は、これまで仲間、もしくは友人として接してきたソレではなく、初めて出会った際の、敵を殺す時の眼に近かった。


「……どうしたんだよ?」


「……」


 サフランはしばらく、俺を値踏みするかのように、顎に手を当ててジロジロと眺める。


 そして、


「……そろそろ帰らない?」


「は? 帰る? 帰るってペンドラゴンに?」


「うん」


 おっかない様子の割に、ごく普通の事を言い出してきた。


 しかし、やはり様子がおかしい。


「なんか、帰りたい理由でも出来たのか?」


「ウチは別にどっちでも良いよ。でも、クロウとアイリスは早く帰った方が良いんじゃないかなって」


「はい?」


 意味が解らない事を言いだしだぞ?


「信じるか信じないかはそっちの勝手だけど、本当に早く帰らないと、クロウ達は後悔するんじゃないかなあ」


「……」


 サフランの言葉は、未だに意味不明だ。


 しかし、無視してはいけないような気がする。


 多分、これは本心からの忠告だ。


「俺もそろそろ帰ろうかと思ってたし、良いよ。すぐに帰ろう」


「ふ~ん」


 どうでも良さそうな様子で、サフランは俺から目をそらした。


「……」


 サフランには、俺を監視するように命令した雇い主がいる。


 この忠告は、俺達の為になるのか、それともその雇い主の為になるものなのか。


 どちらにせよ、帰ってみるまで解らない。




「……帰るのは良いんだけどさ……」


 温泉宿から、アイリスが里帰りしていた故郷である漁村にスレイプニルで飛んだ俺とサフランは、アイリスと合流してさっさと帰ろうとしたのだが、


「なんか……お父さんがクロウに会いたいんだって」


 なんて事をアイリスが言いだした。


「はあ? 何で?」


「知らないわよ」


「なんか嫌だなあ。娘の事をよろしくお願いします、みたいな事言われても困るし」


「そんな話しになるわけ無いでしょ! 良いから早く来て! 時間は取らせないから」


「ううん……」


 俺が逡巡を覚えていると、傍らにいたサフランが無表情のまま、俺の手に絡みついてくる。


「早く終わらせてね……そうしないと後悔するよ……」


「……」


 怖いなあ。


 なんか怖いなあ。色々と。




 俺は、アイリスに案内されて、彼女の実家を訪れた。


 初耳だったが、アイリスの故郷は湖漁師が集まる漁村だった。


 ブルードラゴンにある巨大な湖は、付近一帯の水源になっているだけでなく、魚影も濃いらしく、水産物が豊富にとれるらしい。


 そして、アイリスはその漁村の網本の娘だったようだ。


まあ、それくらいの身分でないと、王立士官学校に入学させる為の学費は出せないだろうけど。


「じゃ、私はここで待ってるから」


「え!? 俺一人で会うの!?」


「……クロウ……早く済ませてね……」


「解ったよ! 解りましたよ!」


 家の玄関にアイリスとサフランを残して、俺は網本の家に入る。


 侍女らしき人の案内で、奥の部屋にまで通された時、


「……!」


 俺はダンジョンの最深部に入った時と同じくらい緊張した。


 部屋の中には、アイリスの父親らしき人がいた。


 椅子に座り、腕を組んだままこちらを見つめ、無言を貫いている。


 網本というからには、漁師なんだろうけど、それを考慮しても異様に筋骨隆々のオッサンだった。


 袖なしの上着と、半ズボンを履いていたのだが、手足がマジで丸太のような太さだ。


 首も太いし、何より顔面が鬼のように怖い。


 全然アイリスと似て無い。


 似てるのは青みがかった黒髪だけだ。


 多分母親に似たんだろう。


 良かったね。父親の遺伝が負けて。


 俺は若干現実逃避をしながら、アイリスのオヤジと向かい合う形で椅子に座った。


「……」


「……」


「……」


「……」


 俺と、アイリスのオヤジは、テーブルと挟んで椅子に座り、向かい合ったまま無言になった。


 何なのこの時間。


 呼びだされたのは俺なんですけ。


 何で無言で放置されてんの?


「……あのう……一体何の御用だったんでしょうか……?」


「……」


「あ、俺はクロウといいます。アイリスさんの同級生です」


「……」


 だから何なんだよこの人!


 なんか言えよ!


 怖いんだよ!


「……クロウ君……」


 君付け!?


 この人そんなキャラなの?


 問答無用で相手を怒鳴りちらすタイプじゃないの?


「……以前……娘が捕虜になった際……救出に尽力してくれたとか……」


「え? いえ、まあ、はい……」


「……その節は……本当にありがとうございます」


「え? はあ、まあ……」


「……娘は……男で一つで育てたもので……非常に短気で男勝りに育ってしまいまして」


「いえ、別にそんな事はないと思いますけど」


「……そうでしょうか?」


「はい。士官学校でも、いろんな生徒から慕われる優等生でしたよ」


「……そうですか」


「神剣の姉妹剣に選ばれるくらい優秀ですしね。今回の勇者にとっては欠かせない戦力ですよ」


「……そうですか」


 どうでも良いが、この人声が小さいなあ。


「……昔から、ウチの娘は私に何の相談も無く物事を決めるので……」


「はあ」


「……士官学校に入学する事も、軍人を目指す事も……神剣の姉妹剣とやらに選ばれた事も後から聞いて……その都度心配していました……」


「はあ、まあ、娘さんが軍人になろうとすれば、普通心配しますよね」


「……戦場で不覚をとって、捕虜になった件も当の本人ではなく……あの、メイド服を着た……」


「サフランですか?」


「そう……そのサフランさんから聞いて初めて知りました……肝が冷えました」


「そりゃそうですよね」


「……クロウ君」


「はい」


「……ウチの娘は一人で何でもかんでも勝手に決めるような子ですが、昔から抜けている所がありまして……親としては心配でたまりません」


「はあ」


「……かといって、私が何か言っても聞く耳を持つ訳もなく……」


「いや、そんな事もないと思いますけど……」


「……亡くなった家内に似てまして……私の言葉は全く耳に入らないので……」


 それはアンタが見た目に反して弱気で声が小さい所為じゃないのか。


「……クロウ君の言う事は割と聞くとの事ですので……」


「いや、それもないと思いますけど」


「……娘の事……どうかよろしくお願いします」


「はあ、まあ、大丈夫だと思いますよ? 頼りになる人たちがいるので」


「……くれぐれも……娘の事を頼みます……」


「いや、だから、一応誤解の無いように言っときますけど、娘さんと俺は単なる同級生ですよ?」


「……それは解っています……娘は自分より賢い男が好みですので……」


「はあ、そうですか……ってええ?」


「……その上、面食いなので、長身の美男子でなければ話にならないかと……」


「……」


「……ですが……どうか娘を守ってやってください」


「はあ、まあ、出来る限り頑張ってみます」


 それは解ってるってどういう意味だよ。


 俺ってそんなにバカそうに見えるのか?


 そりゃあ、確かに長身で美男子ではないけどね。




「……お父さんと何の話してたの?」


「……早くしろってウチ、言ったよね?」


 網本の家の玄関先で待っていた二人にそんな事を言われ、睨まれた時、俺は盛大に溜息を吐いた。


 まあ、とりあえずペンドラゴンに帰るとしよう。

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