動物図鑑

リーフ公国の動物1 雷電竜(ヴォルトサウルス)

雷電竜ヴォルトサウルス


【分類】動物界 脊椎動物門 爬虫綱 竜盤目 ヴォルトサウルス科 雷電竜ヴォルトサウルス

【特徴】一般に雷竜かみなりりゅうと呼ばれる草食性の超大型古竜の一種であり,ソール大陸で最大級の陸上生物.

 最大で全長約25メートル,体高約15メートル,推定体重約30トンに達する.首と尾は細長く,尾は全長の約半分,首も約四分の一から五分の一を占める.

 体色は灰緑色で,目立った斑紋などはない.

【生態】主としてソール大陸南部,中央山脈の南麓とそれに繋がる平原に生息するが,大陸南岸近くで目撃された例もある.広い草原に隣接した森林の周辺で,数頭から十数頭の群れで見られることが多い.

 食物は各種草本・木本の葉.長い首を使うことにより,移動することなく周囲の広範囲の葉を摂食することができる.その巨体を維持するため,日中の大半を食事に当てている.

 巨体のため動きは鈍く,通常はあまり大きく動くことはない.夏には高標高地,冬には低標高地と時間をかけて季節移動を行うほか,森を食べ尽くした場合などに長距離移動を行うこともある.

【その他】性格は草食性でおとなしく,動きも鈍いため、よほど近寄りすぎない限り通常は危害を及ぼされることはない.

 ただし,その鳴き声は低周波音の領域に達することがあり,近くで聞いた場合には鼓膜の損傷のほか,不安,恐怖,幻覚などの精神的な症状を引き起こす可能性がある.


執筆: ジュリア・ローレンス


アイザック・ローレンス教授による評価:

 さすがはジュリア! 小さいころからわしらと一緒に「親馬鹿はいい。ちゃんと評価して」……うむ。

 やや簡潔すぎるきらいもあるが、最低限の事は書かれておる。図鑑の種類によっては、他に色々と書き足せることもあるじゃろうが、多くの種類が掲載された図鑑ならば、一種ごとの解説に割けるスペースも限られる。ひとまずはこれでよかろう。

 しいて言うならば、『大陸南岸近くで目撃された例もある』の記述じゃが、先日の例はかなり例外的な記録のようじゃ。おそらく季節移動の際に迷ったのではないかと考えておる。例外を細かく記録するときりがないので、簡潔にすませるならば割愛したほうがいいかも知れぬな。

 じゃが、これなら警備隊や傭兵隊の皆に配っても「やめて」……いや別に、娘自慢だけ……いや、娘自慢のためではないぞ。先日のヴォルトサウルスはしばらく動向を観察する必要があるしのう。担当者に説明も必要じゃし、その存在について周知する必要もある。そもそも馬車の連中がヴォルトサウルスを知っておれば、わしがわざわざ授業を休講にして(以下略)


作者コメント:

 Voltsaurus。名の由来は、ヴォルトはthunderboltサンダーボルトlightning boltライトニングボルトのbolt(英語で矢などを表す)ではなく、電圧の単位であるvolt。後半は、恐竜などでおなじみトカゲを意味する古代ギリシャ語。

 モチーフは、かつて地球上に存在した恐竜のうち、アパトサウルスやブラキオサウルス、ティタノサウルスなどの大型竜脚類、いわゆる雷竜類。

 この物語が異世界転生ものなら、「あれは、アパトサウルス!?」のようなセリフと簡単な描写だけですませてしまえるが、そうではない本作では、一応「雷竜かみなりりゅう」という地球と共通の単語があるけれど、あとは形態の描写でなんとかしないといけない。本文を読んでまったく別のものを想像したり、何だか見当もつかなかったりしたならば、ひとえに筆者の力不足です。

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