アフロ様とは五回目の散歩です

「お、ようお客人」


 お客様、お待ちしておりました。


「ヨシ! コレデみんなでお散歩出来るネ!」


「んじゃ、また公園に出掛けるか」


 そうですね、おやつを持ってお出かけいたしましょう。


「ジャア、ハリキッテ散歩ネ!」


 アフロ様、タップダンスで嬉しさを表現しています。


「無駄に高性能だよな、アフロ」


「ハッハッハ! モト主人公はダテジャナイのサ!」


「さてと、じゃあ歩くぞ」


 ご主人様とアフロ様は意気揚々と宿屋から出ました、お客様、私達も意気揚々と玄関から出ましょう。


「……なあ、描写さん」


 はい?


「何時も思うんだが、描写はちゃんとした方がいいのでは?」


 いや、めんどくさいじゃないですか。


「ハッハッハ! はっきり言ったネ!」


「描写にあるまじき発言だな」


 ご主人様、笑ってますが私だって『物語の主人公になれなかった主人公』ですよ?

 そこらの描写とは違うのですよ!


「そもそも描写は喋らねーんだがな」


 これは手厳しい。


「デモ! この世界ならアリネ」


 描写は必要最低限で、いいと思うのですよ、気が乗ってる時は細かくなりますし乗らない時は短くなりますしね。


「ま、そうだな、作者とか読み手の好みの部分があるだろうがな」


 そうですね、私の意見は部分的にあっていればいいです。


「そういう訳だお客人、肌に合わなかったら申し訳ないが、緩くこの世界を案内するよ」


「アタマカラッポにして見るってヤツネ!」


「何処かの世界の言葉に有った『カッコイイは正義』や『ムキムキマッチョは正義』とか『油だらだらオッサンは正義』もあるし『可愛いは正義』もあるな」


 数が多すぎます。


「だな、お客人はどれに当てはまるかわからないが、正義が多すぎる」


 それは置いておき、このままでは私が描写出来ない描写さんになりかねませんな。


「ほう?」


 よろしい、確かお客様にはご主人様の宿屋を説明していませんでしたな。


「ああ、そうだな」


 それではご主人様の宿屋の説明をしたいと思います、今回は外観と宿の魅力についてです。


「なんか温泉街の広告みたいだな」


「オマエはセンデンしないからな、タマニハ宣伝してお客ウハウハフィーバーネ!」


「いや、宿屋が潰れない程度にお客が着てくればいい」


「商売人なのにケンキョダナ!」


 よろしいですかな?


「はいはい、勝手にやってくれ」


 勝手に始めさせていただきます。


「ヨッ! 待ってました!」


 この設定の溢れる世界の一角に、歴史を感じさせる宿屋がありました。


「まあ、この宿屋は何時からあるかわからんが」


 この宿屋は木造で建築されており、お客様に木のほのかな香りと癒やしをお届けします。


「なんの木かわからんのだが、いい匂いなのは確かだな」


 宿の楽しみ方は人それぞれありますが、料理とお風呂は楽しみの一つと考えております。


「そういえばお客人に従業員紹介してなかったな」


 料理は季節物から、季節外れな物までご用意しております。


「ナンデ季節ハズレまであるんだ?」


「ウチの料理人が優秀だから何を出しても美味いんだよ」


「ナルホドな!」


 お風呂もこだわりがあり、家族風呂や一人風呂、大浴場に露天風呂等がございます。


「風呂の説明だけでどれだけかかるんだか」


 今回はここまでにしておきましょう。

 一度に全部説明するのはシステムが複雑なゲームを、たかが十数ページで説明しているゲームのように、意味わかりませんからね。


「攻略本が説明書って奴だな」


「オー……たまにあるよな、それ」


 アフロ様、素に戻ってますよ。


「マ! 今は公園にれっつごーネ!」


「んだな、とっとと行こうぜ」


 

 宿屋を出たご主人様とアフロ様、伝説の剣を途中で広い勇者へのフラグが立ちます。

 しかし、ご主人様とアフロ様は伝説の剣を無視しました。

 次に現れたたのは第三の刺客!

 命を狙われるご主人様とアフロ様、壮絶な戦いが!

 始まる訳がありません、ご主人様はこの世界で生まれましたから、設定で勝てる訳がありません。

 アフロ様も元主人公であり、刺客程度では負けない強さをお持ちです。



「待て待て描写さん」


 いかがいたしましたかな?


「嘘もほどほどにな」


 嘘ですと?


「そんな出来事なかっただろ」


 ハッハッハ、お客様がいらっしゃっているのですよ?

 何かおもてなしでもしないと。


「変な設定付け加えるんじゃない、描写さんに説明されると『事実』だとおもわれるだろ!」


 いやいや、描写が嘘をつく作品もありますよ?


「それはミステリー系だろ、描写の嘘が色文字になっていたり嘘は書いてないが『誰か視点』だったりな」


「ドクシャに考えさせる系ネ!」


 では、何事もなく公園につきました。

 で、よろしいのですか?


「そうそう、何で俺が伝説の剣に選ばれて刺客に狙われなきゃならんのだ」


「ハッハッハ、マアいいじゃないカ!」


「よくねーよ、俺のイメージが崩れる」


「イメージ? お前描写サンに容姿説明されたか?」


「そうじゃねーよ! お客人ならもしかすると、これで伝わるかもしれん」


 ふむ、ご主人様が何を言いたいかわかりましたぞ。

 ご主人様は『ブレる主人公』にはなりたくないと。


「そうそうそう! 例えば目的が『ハーレム』を作りたい主人公が世界救う勇者になるとかな」


「ハーレムを作る手段の一つで勇者やるならいいんだけド、いつの間にか逆になってるアレネ?」


「流石アフロ、俺はそれを否定はしないが自分がソレにはなりたくないんだよ」


 なるほど確かに、ご主人様は宿屋の主人であって勇者ではありませんからな。


「間違った描写は困るのだよ、描写さん」


 余興の一つでございますよ、ご主人様。


「描写サンが戯れダス気持ちもわかるネ!」


 わかってくれますか、アフロ様。


「右見れば巨大怪獣とロボットが戦い、左を見れば魔法少女達が何かと戦っていて、上を見上げたら戦闘機が戦っているんだゼ」


 流石に無駄な情報が多いですし、全て伝えると『ご主人様の物語』ではなくなりますからね。


「あ、そこは配慮してくれてるのね」


 はい、遊びはしましたがご主人様が否定すればいい範囲に収めました。


「サ、そんな話をしていたら公園に着いたネ!」


 どうやら公園に着いたようですね。


広い公園に今回はどのような出会いがあるのでしょうか?

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