EXTRA_「 I remember you. 」

 平成三十一年、現代の高等学校。

 夏休みが明けて、また新学期が始まったその日、二年の教室に佐々木巌流を遣う女子高生が転校してきた。

 佐々木燕は以前の佐々木燕(一般生徒の想定するかつてこの教室で確かに生きていた少女を指す言葉。だが、その記憶をもった少女はもはやこの世界のどこにもいない)よりもずっと女子高生としての生活に不慣れであり、新たな教室、新たな友人たちを前にして戸惑いを隠せない様子だった。自己紹介の場で、燕は緊張で上擦った声で言葉を発してしまい、席に戻ったあとも不安に顔を曇らせていた。

 だがいきなり二天一流を遣う女子高生がやってきて、とにかくすごいフレンドリーさで佐々木燕の初めての友達になった。


 ――大丈夫。


 私たちなら、きっと――もう一度友達をやり直せる。

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