第101話「新シリーズ開始」


 昭和四十五年十一月二十五日。

 森田必勝とセックスする三島由紀夫が現れた。

 三島由紀夫は女(三島由紀夫の想定する劣等した性別を指す言葉。こう云うといかにも本当に聡明な女性に会ったことがない不幸な男であるという風に曲解する女が現れるが、しかしそういう一般論に対する個別的例外の幻想にいつも生きている女が、実は馬鹿な女の代表なのである)よりもずっと男の筋肉を愛しており、ひ弱な文学青年だった頃のコンプレックスからボディビルで筋肉を鍛えていたが、筋肉を鍛えた男性に抱いてもらうのはもっと好きであった。三島は実のところ自分が起こしたクーデターが政治的に成功するとは思っておらず、ただ自らの死を完璧な美学の達成として演出するためだけに鍛え上げられた腹筋を見事に割腹した。

 だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で三島由紀夫を女子高生に転生させた。

 剣豪女子高生編に続く新シリーズ・文豪女子高生編が始まるかどうかは……まだわからなかった。




 ○三島由紀夫みしまゆきお

 日本を代表する文豪にして右派。自伝的作品である「仮面の告白」では同性愛者であることを告白した。

 昭和四十五年の三島事件では憲法改正のために陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で総監・益田兼利陸将を人質として拘束し自衛隊にクーデターの決起を促す演説をしたが失敗、総監室で割腹自決を遂げたが、レールガン女子高生によって現代の女子高生に転生させられる。

 事件後、三島由紀夫の体内からは同じく自決した楯の会メンバー森田必勝の精液が検出されたとの説が実しやかに語られたが、そのような証拠は存在しない。

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