第21話 ミレイド家へようこそ!
謁見を終えて、ミレイド家からお迎えの馬車が来ていたので、それに乗って私達は王都の王宮そばに建てられているミレイド家のお屋敷に来た。
そう、お屋敷……。 むしろ、お城か? って感じでした! 王宮より狭いけど立派なお屋敷でした!
忘れてた、クリストフさんも貴族だってこと。
伯爵とか言ってたっけね……。
公爵とか侯爵じゃないけど、たしか伯爵もそこそこ高位貴族なんだっけ……。
ファンタジー小説大好きだったけど、そんなに爵位なんて意識するものじゃなかったよ。 現代日本には爵位なんてないんだもの。
まさかのお屋敷出現に、目も口も開きっぱなしになったのは仕方ないと思う。
だって、私が育ったのは田舎の3LDKの一軒家だもの。
私の部屋は六畳一間だったんだもの。
このお屋敷で私に宛てがわれた部屋は、寝室に応接間の二間続きの広い部屋だった。
この二間、さらに寝室には衣装部屋が付いてるんだよ。
衣装部屋が私の部屋だった広さなんだよ……。
もう、ポカーン通り越して乾いた笑いしか出ない。
「マリアさん。もっとこじんまりした部屋はないですか?」
思わず尋ねると、マリアさんがキョトンとして言った。
「貴族のご令嬢なら、この位はまだ狭いほうよ? カントリーハウスなら、もう一部屋付いて、浴室なんかもあっての一人部屋よ?」
そうなのか、これが通常規格なのか。
貴族のお嬢様、すごいね。この広さ、私は持て余します……。
「これが普通なんですね……」
思わず苦笑いだ。
「ちなみに、ユウは元の世界ではどんな部屋だったの?」
私の驚きっぷりに、マリアさんは逆に私の世界での基準が気になるようだった。
「私の元の世界での部屋は、衣装部屋一つ分ですよ」
そう言うと、まぁ驚かれた。
「そうだったの! それならこの広さはビックリするのも理解出来たわ。まぁ、慣れてちょうだい」
ニッコリ言われて、私は頷いたのだった。
そうして部屋を見ているうちに、ミレイド家のメイドさん達がなにやらたくさんの大小様々な箱を持って、衣装部屋に入っていく。
いったい、なにを運んでいるのやら。つい目線で追っていると、ミレイド家のメイド頭だという、フェミリアさんがマリアさんに言った。
「奥様と旦那様のお選びになった物とジェシカ様のお選びの品、さらに国王夫妻からもお品が届いておりますので、我々でしまわせていただきますね」
ニコッと会話しているが、何か恐ろしいことを聞いた気がする。
「これ、もしや……?」
私の言葉を聞いて、フェミリアさんがニッコリ笑って言った。
「全て、ユウお嬢様の服や靴やお下着、ドレスにお帽子や宝飾品などでございますわ」
ちょっと倒れたくなるほど多いんですが、見なかったことにしていいでしょうか?
「あ、あとベイル様からも届いておりますわ。後ほど色々確認して、各所にお礼状をしたためましょうね?」
フェミリアさんは、ガッツリお母さんな雰囲気の人でテキパキと指示を出しつつ、的確に自身も仕事をこなしている。
「このうちでフェミリアが知らないことは何もないわ。何かあったらフェミリアに聞きなさいね」
マリアさんも太鼓判を押すフェミリアさんが、お礼状と言うのだから従いましょう。
まぁ、ものを頂いたらお礼は必須ですものね。
「フェミリアさん、色々教えてください。お礼状の件も、よろしくお願いします」
頭を下げると、フェミリアさんはちょっとビックリしつつ、言った。
「もちろんですわ。お嬢様。私たちの大事なお嬢様の頼みを、断りませんわ。おまかせ下さいませ」
私は本当に良いうちの娘になれたんだなと。ちょっとうるっときたのは、内緒だ。
その後、謁見中に先に乳母と帰宅していたアラルくんと初対面。
ぷっくりほっぺの可愛い二歳児。
アラルくんは、まだまだおしゃべりは舌足らず。
とっても可愛らしい、アラルくんに私はゆーちゃと呼ばれてメロメロになったのは言うまでもない事だった。
うちの妹と弟は天使だ!
姉馬鹿。大いに結構!可愛いは正義であるのだった。
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