第2話

「ユウがいた世界と、フューラはきっと色んなことが違うわ。その違いを不自由なく過ごせるように、精霊王様が私とアリーンを、ユウの元に送り込んだのよ」


ニコッと笑って教えてくれたサリーンに、私は聞いてみた。


「異世界から導いたって、召喚?みたいなこと? それって私は元の世界には帰れるの?」


私の疑問にサリーンとアリーンは顔を見合わせると、私の方を向いてあっさりとした口調で告げた。


「異世界からの召喚は一方通行で、招けるけど送り返すことは出来ないと、言われているわ」


その言葉に私は絶句した……。

一方通行で召喚されるって、帰れないって嘘でしょう? 言葉を無くした私にサリーンはそっと肩に乗り、頬を小さな手でそっと触れてきて言った。


「異世界から人を招くのはそれだけ大事で、ユウを招いたことで、精霊王様も今は眠っているの……」


なかなか理解は出来ないものの、相当なことをこの世界で求められているということなのだろうかと、少し不安になる……。

私は元の世界では、まだまだひよっこの学生で、未成年だし、ここでなにかが出来る程の力を持っているとも思えないのに。

私が自分の考えに沈んでいると、ここでアリーンが声をかけてきた。


「ユウ。この世界はユウを必要としてる。だからここに召喚されたの。それだけは間違いないのよ!」


力強く言い切るアリーンに、サリーンも同調して私の目の前に来て言った。


「そうよ。この世界がユウを求めたから、ユウは今、ここにいるの。だから私たちと一緒に、頑張りましょう」


二人は、私の両肩に乗ってくっついてきた。

どうやら見放すわけではなく、召喚した精霊王さんも考えて、サポートの二人を私の元に寄越してくれたみたいだし、帰ることも出来ないというのなら、この世界で生きていくしかないのだから……。頑張るしかない。

何かをするために招かれたらしい私は、この地球とは違うらしい、異世界フューラで、まずは妖精の仲間が出来たのだった。


「それじゃあ、ユウ。まずは、魔法使ってみましょう!」


唐突に、いきなり魔法ときたよ!

私の世界には、物語の中にしか魔法は存在しないんですけど? 私がアリーンの発言についてこれてないことに、いち早く気づいたのはサリーンだ。


「ユウ。もしかして、ユウの世界には魔法がないの?」


サリーンの質問に頷いて肯定すると、アリーンは水色の瞳を大きく見開いて、驚きと共に言った。


「魔法がないなんて、ユウの世界は不便な世界だったの?」

「魔法はないけど、科学が発展していたから。不便はなかったんだよ」


どうやら、フューラは魔法ありきの世界であるらしく、科学はあまり発展していないみたいだ。


「ここではみんな、大なり小なり魔法が使えるの。ユウも使えるから、簡単なものからやってみましょう」


こうして、私の異世界ライフは一緒に過ごす妖精との魔法訓練から始まることになった。

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