223.5話 事後処理

レイ・クラウド帝国 魔導修練祭会場最高席ーー


 アキトとミシロがフィールドを脱出し、超太古級重力属性魔法<超重力落穴/ブラックホール>によってフィールドがハイドゲンと共に消滅した後、出入りできなくなっていたレイ・クラウド帝国も元に戻っていた。

 淀んでいた空も一気に快晴となり、一旦危機が去ったのは一目瞭然で、帝国国王バルゼイン・クロ二クスも自分の目で確認し、宣言する。

 それを聞き国民は安堵する。

 ハイドゲンの影響でフィールドから漏れ出た超高濃度の天恵によって、フィールドを映すアイテムは壊れ、闘技場’バーテンダー’は至る所が壊れ、砕け落ちていた。

 そんな状況下でも、バルゼインは一人フィールドを映していた壊れているはずのアイテムの方をずっと俯瞰するように見つめていた。


「終わりましたね父上」


 仕事を終わらせたレイ・クロ二クスはバルゼインの横に並ぶ。


「ああ、そうだな」

「今回の勝者はどうされるのですか?」

「勿論、ルイン学園だ。非常事態ではあったが最後にいいものを見せてもらったよ」

「分かりました。それと、依頼の方は済ませましたので」

「ご苦労だったな。こっからの事後処理は任せておけ、お前は少し休め」


 バルゼインがそう言うとレイは部屋を出て行く。


「全く、面白いやつもいるものだな」


 バルゼインは不敵に笑うがそれは心の中なので表情には一切現れない。

 そのまま席から立ち上がり、外で待つレイと一緒に闘技場’バーテンダー’を後にする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る