65話 ルール

 ルイン魔導学園生徒執行会室ーー


「リゼちゃんよーどこ行くんだ?」

「少し気になることがあってな……お前も来るか?」

「へぇ〜面白そうなことねぇ……何があるんだ?それ次第で決めるわ」


 リゼちゃんことリゼラ・ファルセ。

 この学園最強の男、ルイン学園生徒執行会の会長で戦闘能力は帝国の学園内でトップレベルと評されている。

 だが、相変わらず何考えているかさっぱりの傍若無人、表情を全く変えないところから「石像」と内の生徒や他校にも言われている。


 そして、その相手をしているのがアギト・ベル。


「別に面白いことではない気になることがあるだけだ」

「っけ!リゼちゃんの気になることイコール面白いことなんだよ!」

「あらあら面白そうなお話ね。私も付いて行ってもよろしくて?」

「ああ、構わんぞ副会長」


 いつもながらお淑やかに喋るのは、アギトとは正反対の性格のルイン学園生徒執行会副会長のヴェルダ・アイセン。美しい、やさしい、強いと男、女両方から人気は絶大で、ファンクラブもある程の人気を誇る。


「で、場所は?」

「闘技場だ」


 闘技場か……確かこの前二次試験が行われていた場所だっけか?あんまり覚えてねぇや。

 アギトは記憶を探るがあまりそういった事に興味が無いので、一切思い出せない。


「で、そこで何やってんだ?」

「新入生の歓迎会……とでも言っておこうか」

「気になるねぇ……」


 アギトは一人ニヤつきながらこの部屋を出て行く。

 その後に続きリゼラとヴェルダも着いて来る。


 そして、その生徒執行会や闘技場、教室で起こっている事を学園各所に設置してある監視系の魔法やスキルを使って学園長のジルと秘書のツルミは事の一端を見ながらいつもの作業をしていた。


 こういった行為はいつもしている訳ではなく、リゼラ・ファルセから学園長室にまで連絡があったので過去まで遡り確認作業をしていた。


「学園長このまま好き勝手やらせて大丈夫なのですか?」

「ん?何のことじゃ?」


 ジルは分かってるがわざとすっとぼける。


「黒聖クラスのことです。どうやら第一闘技場で貴族と平民で戦うそうですよ」


 ツルミはそこには若干イラっときたが今はそう言ったおふざけをしている場合では無いと考え、即座に返す。


「ほーんそんなことがあるのかの……」

「結果はどうなると思いますか?」


 ジルのこの反応を見て、ツルミは一切問題無い事だと判断し、自分の興味のあった質問をぶつける。


「フォッフォッフォ!まさかツルミくんからそのような質問を受ける日が来るとはの〜」


 ツルミの質問がおかしかったのかジルは陽気に笑う。


「そうじゃの〜」


 白く長い髭をさすりながら学園長は窓の外を眺め思案する。


「四分六分といったところじゃろ……それよりも」


 この学園長室の窓の先には第一闘技場と第二競技場の二つをちょうど視野にいれることができる場所になっていて、目が良ければ誰が入って行くかも分かるようになっていた。


「どうかしましたか?」

「いや……何でもない」


 ツルミの経験上、ジルの何でもないことは基本何でもないくない。

 毎回こう言う場合は後からツルミの仕事が増量するので、ツルミにとってはあまり良い傾向では無い。


 憂鬱になる気分を押さえ込みツルミは残っている書類仕事をこなす。


「はぁ〜」


 ため息が心の中からとうとう口に出てしまう。

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