2章 初の仲間編

第6話 共

俺はゆっくりと眼を開いて、左右を確認する。

日が照り、小鳥がチュンチュンと鳴いている。


朝だ。


魔力を回復して動けるようにしたかっただけなんだけど、まさか朝まで寝ちまうとは。

俺は正面を見る。

そこには、白髪で紅い眼をしている、

緑色と黒の交ざった防具を着ていた男子高校生くらいの魔法使マジッカーいが立っていた。


「そこで何しているんですか。ほら、早く立ちなさい。」


男が俺にそう言うと、俺はすぐ立ち上がろうとする。

そして俺は……立ち上がれなかった。


「何故だ。何故寝ても起き上がれない!もう十分寝たから魔力は回復しているはずだろ!」


そのことを聞いたマジッカーは、溜め息をついて、

「何を言っているのですか?寝ただけで魔力が回復するわけないじゃないですか」

と語る。

えっ!?休んでも魔力って回復しないの!?

もーーーーーう。夜影、お前も召喚者なんだから先にそれを言ってくれよー


俺が心の中でそう思うと、マジッカーが話す。


「それでここに寝ていたのですね。はい、これ飲んで、早く起きて下さい」


俺はマジッカーに魔力回復の薬をもらった。

俺は薬を飲み、起き上がることが出来た。


「ありがとよ。で、お前の名前は何だ?」

俺は気軽にマジッカーに問う。

「オーラスだ。お前は?」

オーラスが問い返し、それに俺は応じる。

「宮内海也だ」

そう自己紹介すると、オーラスが腕を組んで、

「お前、珍しい名前だな。もしかして召喚者か?」

おっ、鋭い。

「そうだぜ、俺は体の勇者なんだ」

と、言いながら俺は手を高評価の手にし、親指を自分の方に向ける。

キラーーン。

するとオーラスは一歩後ずさりして言った。

「体の勇者かー、俺的には体の勇者って、手とか足とか触手みたいに自由自在に伸びるから、ちょっときらいなんだよなーー」


「えっ!薬の勇者だけ召喚されていないって分かっているのだったら……

他の勇者にも会ったことあるんですか?」


「ああ、あるよ。剣の勇者に杖の勇者、あと……銃の勇者か」


俺は驚いた。

このオーラスと言う男、もう既に三人の勇者に出会っているのか。


「なあ、その俺と同じ三人の勇者ってどんなやつなんだ?」


俺はオーラスに問いかける。


「んー……剣の勇者は攻撃力の高い魔剣を装備していたな。で、今はここから遠いところで修行しているよ」


「なんで修行なんてしてるんだ?」


「ああ、実は銃の勇者に勝負を挑んだけど、負けちゃって。それで強くなるために修行しているわけ」


「銃の勇者はこの後どうした」


「戦いが終わった後、銃の勇者は魔王を倒しに行くと魔王城に向かって行ったんだけど、魔王城に行く手前で苦戦しているらしい」


銃の勇者はもう魔王城に向かっているのか。


「そして杖の勇者も銃の勇者と一緒に魔王城に向かっているんだ」


それを聞いた俺はあることに気付いた。


「あれ、つまり杖の勇者と銃の勇者は一緒に冒険していることになるのか」


「そうだよ」


オーラスは即答で答えた。


「えっ、じゃ、ということは、剣の勇者は杖の勇者と銃の勇者にはぶられているということなのか?」


それを聞いたオーラスは一溜め息ついて、

「そうなんだよ。もう三人とも仲良くしたらいいのにね。たく、剣の勇者があんなことをやらかしたくらいではぶるあいつらもおかしいよ」


オーラスはそう言うとぷんぷん怒る。


「あのー何かあったんですか?」


「ああ、剣の勇者が銃の勇者の彼女となる奴をうっかり殺しただけなのに、ああなんでこんなことをするのかな」


いや、そりゃはぶられるよ。

流石に彼女を殺しちゃだめでしょ。剣の勇者。

うっかりって、どう言う基準なの。街中で銃の勇者の彼女となる者に出会って、「あっ、何この美人さん。確かこいつは銃の勇者の彼女になるという奴だったな。なんだかあいつがこんな美人さんと結婚するのがムカついてきたな」

と、剣の勇者がグサっと彼女を殺した。

あり得ないだろ。まあ多分あんな風には殺していないとは思うけど、もう人殺しじゃん。

あれでよく捕まらなかったな。

まさか、逃走の為に遠くに行ってるんじゃないか。

ていうか、人殺しをはぶるのに不満を持つオーラスも変だな。


と、思っている時、オーラスがこんな提案をする。


「一緒に冒険しないか?」


と、

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