第4話大事な話

俺は今夜、夜影に呼ばれていたため、Yの鍛冶屋に来ていた。


「それで、話ってなんだよ。」

俺は目線はそのままで、顔をうつむきながら話した。

すると、夜影は目をパッチリと開いて言った。

「お前は誰だ。」

「宮内海也です。」

「おう、宮内海也、じゃあ海也、お前はどこからここに召喚された。」

夜影は机をドンッと叩く。

「じ、自宅ですけど。」

「そうじゃない国名だ国名。」

「に、日本です。」

「そうか、日本かー。」

なんだか懐かしいように夜影は話す。

「じゃあ総理大臣は?首都は?中国との関係は。」

俺は日本の総理大臣、首都、中国との関係を正確に話した。

「うん、確かに日本人だな。」

こいつはいったいなにをしようとしているのだ?

「じゃあ本題に入ろう。」

その時、俺はずっと気になっていたことを夜影に聞いた。


「夜影、お前もしかして俺と同じ召喚者か?」

夜影は一度うつむいだが、顔を上げ、

「そう、それが本題だよ。」

当たってしまった。

「でも、俺は召喚者じゃないんだ……

"転生者"なんだ。」

て、転生者!?

この世界に転生者がいるなんて………でも召喚者がいるなら転生者もいるか。

「でも最初は鍛冶士じゃなくて、海也と同じ冒険者だったんだよ。」

冒険者から何故、鍛冶士になったのなだろう?

俺はそんなことを思いながら夜影の話を聞く。

「俺は魔法マジックの役職で冒険者をスタートしたんだ。最初も順調にクエストをクリアしていき、レベルも順調に上がっていった。そしてなんと一年半で世界大会を優勝してしまったんだよ。その時は自分でもビックリしたよ。」

一年半で世界大会優勝。すごいな。

「でも、そこからの一年半は何も収穫がなかったから、俺はその、戦って、

良い夜を過ごして、寝る、だけの人生に飽きちゃったんだよ。俺は。」


えっ、冒険者って三年で飽きちゃうの、そんな早く飽きちゃうの。

えーそんなの僕やだよ、絶対にやだよ。

そうだ、一年半収穫なかったんだ。

いや、何か収穫あれよ。


んーーー


僕、三年後、鍛冶士になっちゃうの?


そんなことを思いながら続きを聞く。


「そして俺はこれから何をしたらいいか悩んだ。すごく悩んだ。そして俺はこんなことを思った。


『俺は未来の冒険者の手助けをしたい。』


そこで俺はやっと思いついた。


『そうだ、鍛冶士なら剣や装備を作って冒険者の手助けになる。良し、これだ。』


と俺は叫んで、冒険者の手助けをしたいという気持ちを胸に鍛冶職人専門学校に入学し、そこで必死で剣、装備の作り方や修復の仕方などを学んできたんだ。」


ここにも学校はあったんだ。


「そしてついに自ら鍛冶屋を経営することができた。でも、最初のうちは儲からなかったから、全て素材はダンジョンに潜って調達していたんだよ。」


つまり、自給自足の鍛冶士ってことだな。


「そして、転生して八年。今に至る。今はとても有名になったし、でも一か月に一回はダンジョンに潜って調達しているんだぜ。

注文では頼めないレアな素材もあるからな。ハハッ。」


「へー、夜影は結構深い人生を歩んできたんだなー、すごい。」

俺は拍手した。

「い、いやぁ、あ、ありがとう。」

照れているようだ。


すると夜影はこんなことを話した。


「突然だけど、歳いくつ?」


本当に突然だな。

「24歳だよ。」

「えー!、俺より一つ年上じゃねえか。」

「えっ!?」


嘘だろ。


夜影が俺よりも年下だなんて。

てっきり年上だと思って接してしまったじゃねーか。

*夜影視点


嘘だろ。


海也が俺よりも年上!?

ありえないよー。

てっきり年下だと思って接してしまったじゃねーか。


二人が思っていることは逆だった。


「さあ、話はこれで終わりだ。今日はさっさと寝て、明日にでも体チップ

(昼に買った体の勇者専用の武器)の威力を試したらどうだ。」

「そうだな。せっかくだし試してみるか。」


俺は一つ夜影に問う。

「先日俺の耳に、こそっと『見所あるな』と話したのはお前か?」

「えっ、何の話!?」

「ごめん何でもない。じゃあ、お休みなさい。」

「うん、お休み。」

俺は店を出る。


それにしても、昨日俺の耳元にささやいた人は一体誰なんだろう。


女の人の声が聞こえたな。


俺は宿に戻るまで、ずっと昨日のことを考えていた。



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