眼帯系女子から、盲目系女子にクラスチェンジしたぞっ
あれから一ヶ月、私の目は絶好調に痛い。
もちろん眼帯をしていれば問題無いけれど、顔が縛られている感があるから悶々…間違えた、違和感があるんだ。
これも幼女から加護を貰った代償かと思えば仕方ない。
貰ったよ加護…まぁ、うん、加護。
「アテアちゃん」
「なんじゃ?」
「仕事しないんですか?」
「イツハの好意に甘えまくっておる」
「今までボッチだった反動ですね」
「否定はしないの。アレスティアも仕事しちょらんじゃろ」
「私は午前中で仕事が終わるので、午後は療養です」
「わっちはアレスティアの看病じゃ」
「ご飯を食べさせて貰っている癖によく言いますね」
「一緒に居られるだけで幸せじゃろ?」
「お言葉を返しましょう」
「むぅ…」
現在両目を塞いでいるので、幼女の部屋で幼女を膝に乗せてまったりしている。
視えるから生活には支障は無いけれど、見た目が病弱過ぎるからあんまり外に出ちゃ駄目というヘルちゃんの御達しがあった。
両目を白い包帯。
白い服。
白い靴。
でも今日のパンツは水色。
…なんか強くなる度に見た目が病弱になっているのは気のせいか。
「ところで、ロンド戦から数ヶ月…ミズキさんは帰って来ました?」
「んー? そういえばあの時居たの」
ミズキは忘れ去られようとしていた。
アース城に居るのかな?
いや帝国の方が近いから寄る筈…というかヘルちゃん達がエルメシアから帰る時に連れて帰れば良かったのに…
「ただいまー」
「あっ、ミズキさんおかえりなさい」
噂をすればなんとやら。
割りと無事に帰ってきた。
「あっ、レティ…目は大丈夫?」
「お陰様で療養中です。ミズキさんはあんな辺境から無事に帰れて良かったです」
「まぁ、頑張ったよ…」
「わがままを聞いてくれてありがとうございました。じゃあヘンリエッテが待っているのでアース城へどうぞ」
「えっ、この子はスルーなんだね。話を聞いて貰えない?」
スルーと言われても、私は目を塞いでいるから見えないよっ。
黒髪の女子がミズキの隣に居るけれど、私には見えないからねっ!
「今はその時ではありません。ここは聖域なので長居をすると駄目になります。さぁ、そちらの扉からアース城へゴーして下さい」
「あのっ! 水城さんからここに天使様がいらっしゃると聞きました!」
…転移者か。
ふーん。年は十六…敵では無い。でもDカップだから割りと敵かも知れない。
まだ目が死んでいない所を見ると、転移して一年以内かな。
ミズキを見ると、申し訳無さそうに手を合わせてごめんのポーズ。お仕置き確定だから謝らなくても良いぞ。
「…今はその時ではありません。ここは聖域なので長居をすると駄目になります。さぁ、そちらの扉からアース城へゴーして下さい」
「お願いします! 話を聞いて下さい!」
「私の話は無視して自分の話を聞けというのなら聞きましょうか」
「うっ…ごめんなさい…私…元の世界へ帰りたくて…」
結局言うんかい。
まぁ、転移者共通の悩みだよなぁ。
地球って次元の歪みが多いって聞くし。
まず名乗って欲しいけれど…
「何故、帰りたいのですか?」
「あの…私…親が居なくて…弟と二人で暮らしていたんですが…気が付いたらこの世界に居て…」
「弟さんが一人ぼっちになっているという訳ですか」
「はい…なんとか帰る方法を探している時に、ミズキさんに出会いまして…無理を言って付いて来ました」
「ミズキさんは私と違い優しいですからね。言っておきますが、私は甘くありません。何かを教えるのにも対価は必要です」
「はい…分かっています。でも、私何も持っていなくて…」
「あるじゃないですか。その身体が」
「えっ…」
「レティ…まさか…」
「アレスティア、悪い奴じゃの」
何想像してんだよ。
仕事だよ仕事。
ロンロンがアース王国に移転するから忙しいんだよ。
私が引きこもっているから士気が低いんだ。
実は今日プレオープン。
という事でアース城へゴーしよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ミズキー! おかえりー!」
「姫、ただいま」
ミズキの部屋に居たヘンリエッテが少しキモい笑顔でミズキに抱き付く。ミズキは幼女を抱っこしているから幼女ごと抱き締めている…あっ、幼女が嫌そうにヘンリエッテを押し退けた。
……ところで今、ヘンリエッテはミズキのベッドでナニをしていたのだろうか…くんくん。
「あっ! ちょっ! やめてっ!」
「ん? ヘンリエッテどうしたの? ナニか都合の悪い事でもあるの?」
「無いわよ! ある訳ないじゃない!」
「そう。じゃあ別に調べても良いじゃん」
「いやぁ! 駄目なのぉ! 駄目なのよぉっ!」
ヘンリエッテが襲い掛かってきたので、足を掛けてベッドに押し倒す。泣きそうな顔がまた良いね。
「一人でなんて、悪い子だな」
「うぅ…秘密にしてよぉ…」
……確認確認…スカートの中に…いや、駄目だ。自重しよう。
「じゃあ働いてね」
「えっ…」
店員さんもう一人ゲット。
ついでに通り掛かったブリッタさんもゲット。ブリッタさんには私を愛でる役割を与えよう。
ミズキはいつもの事かとボーッと見ているけれど、黒髪女子の顔が赤い…ナニか想像しちゃったかね。
「ブリッタさん、抱っこしてナデナデして下さい」
「私にそんなご褒美与えないで下さいよ」
ロンロンはアース城の近く建設していた。
きっと新たな観光名所になるであろう豪華な造り。
女子寮は店よりデカイ…私の部屋あるかな。
「「「いらっしゃいませー!」」」
豪華な扉を開け店に入った瞬間、ヘンリエッテと黒髪女子が連れ去られた。ついでに空気になっている幼女も連れ去られた。達者でな。
店内の造りはパンパンや帝都のロンロンと一緒なので、ミズキとブリッタさんカウンターに座った。
今日は帝都のパンパン店員さんやらその関係者がお客さん。
アースロンロンで働くのは、帝都ロンロンの一部の人とアース王国の女子…つまり半数は新人さんなのだ。
がんばれー。
因みに以前帝都ロンロンで働いていた他の人は、アクアシティのパンパン二号店で働いている。
「レティは働かないの?」
「この目で働くとみんなの心が痛いらしいのでお客さんです」
「目隠しレティを見ながら仕事とか、ムラムラして仕事どころじゃないんでしょ」
「あっ、解ります。襲いたくなりますよね」
「じゃあ後で襲って下さいね」
しばらく待っていると、制服を着たヘンリエッテと黒髪女子が現れた。
ヘンリエッテのどや顔がウザいので、見えていない振りをしよう。
「本当に、ここで働くんですか?」
「オープンから一週間は人手が足りないので、とりあえず一週間頑張って下さい」
「は、はい…ここは、天使様のお店ですか?」
「違いますよ。あなたの真後ろに立っている方のお店です」
「ひゃっ!」
「お名前は?」
「か、かすみです…」
「一週間頑張ってくれたら、ご褒美あげりゅね」
「…が、頑張ります」
説明はリアちゃんとヘンリエッテに任せよう。
下っ端から抜け出したばかりで教育係は大変だけれど、ヘンリエッテだから良いか。
「そういえば聞いた? フーツー王国の話」
「いえ、何かありましたか?」
「なんでも王妃と王女が失踪したみたいだよ」
「へぇー。追い出されたんですかね」
失踪って何か悪い事がバレて逃げ出したかな?
面白そうだから、プレオープンが終わったら一度様子を見に行ってみるかなぁ。
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