今回は、いつも通り少しイチャイチャするだけの回です…

 

 シャワーから上がって部屋に入ると、クーちゃんが私の作ったポプリを眺めていた。

 バラスのお花畑産ポプリ。帝国では手に入らない花だからエキゾチックな感じかな。


「お花好きです?」

「うん、大好き。そのポプリは珍しいお花を使っているから、帝都で買うと百万ゴルドするんだよー」


「…お金持ちです?」

「そうだね。帝都に来てから、大分稼いだかな」


 魔石を納品しまくって、私の貯金は十億ゴルドを超えている。

 お金は裏切らないから、稼げるだけ稼いでおかないと。

 とりあえずクーちゃんにタオルとパジャマを渡して、シャワーに行ってもらう間に高級お肉を焼こう。


 そういえばこれ、何のお肉だろ…まぁ美味しければいっか。

 ロンロンで渡されたハーブ塩を掛ければ直ぐに出来る。料理の才能が無い私でもお店風の味が出せる優れもの。

 これでクーちゃんの胃袋を鷲掴みにするのだ!


 ……高いお肉って焼くの難しいよね。



 クーちゃんがシャワーから出てきた…少し濡れた緑色の髪が耳に絡んで、ほっぺたや鎖骨にくっついている…その髪になりたいよ。

 ピンクのウサギ柄パジャマが可愛い過ぎる。ご飯前にパジャマとかちょっとアレだけれど、可愛いから良し。

 あれ? くるぶしが出ている…脚長いねー!


「ご飯食べよ」

「…はい」


 揚げた野菜を盛り付ければ完成。向かい合わせに座っていただきまーす。

 ……あっ、まぁ、及第点だな。美味しいんだけれど、何が違うのかなー…火力? 愛? 才能?

 クーちゃんが幸せそうに食べているからいっか。


「レティ…」

「ん? なーに?」


「…レティと…あの…結婚…したら…毎日美味しいお肉食べられるです?」

「うん、まぁそうだね。食べたい物を食べれば良いと思うし」


 肉なら肉で良いよ、その方が楽だからね!

 献立をそんなに考えなくて良いって素晴らしいじゃん。

 私は魚も食べたいから、毎日肉はキツイ。別メニューになりそうだけれど。


「「……」」


 その後は無言でお肉を食べる。気不味い雰囲気とかではなくて、私はご飯中はあまり自分から喋らないし、クーちゃんが何か考え込んでいたから。

 お肉…グンザレスさんにフォークとナイフを作ってと言ったら怒られるかな? なんて考えていたら食べ終わってしまった。

 食器をを片付けて、少し早いけれど寝る準備を済ませる。


 後は内職をして寝るだけ。


「クーちゃん、後ろ向いて。花油つけてあげる」

「花油? はい」


 クーちゃんの髪に、手で温めた花油を馴染ませる。これで朝はサラツヤになる。良い匂いだ…同じ花油でも人によって匂いが違うから面白い。


「クーちゃんは、婚約を嫌がっていたけれど…好きな人居るの?」

「…居ないです。王族は性格が悪いで有名です。お姉ちゃんが嫌がる程だから…相当」


「そっかぁ…クーちゃんが帝都に居てくれたら、いつでも会えるのになぁ…」

「……」


 うーん……耳…触っちゃ駄目かな……今…チャンスなんだ。

 側面の髪を馴染ませた時に、長くピンッと立った耳に少し触れてみる。

 …ピクッと動いた。

 クーちゃんは何も言わない。

 ……調子に乗った私は、てっぺんの尖った部分を指の腹で撫でた。


「ふにゅ…レティ、くすぐったいです」

「……ねぇクーちゃん、舐めて良い?」

「……」


 あっ、もう少し触って良い? って聞こうとしたら欲望が口に出てしまった……

 いきなり舐めて良い? とか…やべえ奴だよね…すまぬ…


「少しなら…良いです」

「えっ…良いの? やったー!」


 ありがとうクーちゃん。

 早速、後ろから耳のてっぺんをペロッと舐めてみる。

 クーちゃんの肩がピクリと反応…


 ちょっと体制が悪いな。ベッドにもたれ掛かって後ろから抱き締める形にする。

 今度は耳たぶからなぞるように、てっぺんまで舌を這わせる。


 チラリとクーちゃんを見ると。固く握った両拳を口元にやってプルプルしていた。ぶりっこポーズだ…正面から見たいけれど、それは後にしよう。今は耳だ。


 顎と後頭部に手を添え、側面から舐めてみる。

 ……

 ……

 ……ちょっとやり過ぎたかな。クーちゃんがハァハァしている……

 クーちゃんが身体の位置を変えて、横向きにもたれ掛かる。そして私の方を向き、また耳を舐めようとしていた私の唇に口付けた。


「レティだけズルいです。私も舐めるです」

「…クーちゃん。良いよ」


 ……

 ……

 ……

 明日もお肉を買いに行こう。

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