子供は欲しいんだよなぁ…

 

「私、やってみる。アスティの為に頑張りたい」

「ほんと? 嬉しいな」


 ヘルちゃんは、中等部の剣技大会優勝を目指して頑張ると言ってくれた。

 優勝したら、アレスティア王女が剣を志した王族女子の先駆けだって言ってくれるみたい。

 それにヘルちゃんも認められたら城に戻れると思うし。


「私ね、やりたい事が出来たの」

「やりたい事?」


「法律の勉強をして、法律官になる」

「法律官? 新しい法律でも作るの?」


「えぇ。同性婚が出来るようにしたいの」

「……出来るようになったら?」


「私と…結婚して欲しい」


 まさかのプロポーズ。

 こりゃ…ドキドキが止まらないね。

 でもヘルちゃん、婚約者居るでしょ。

 断る? …そうですか。

 うーん…法の整備がされない限り、まだ答える事は出来ないかな。

 私の夢は死ぬかもしれない夢だから、ぬか喜びは可哀想だし……



「…難しいと思うよ。第二皇女が素性の明かせない女と結婚なんて」

「むぅ…それなら、平民になる」


 簡単にはなれないと思う。

 沢山の人を裏切る行為でもあるし…私と結婚したいという理由でみんな納得するかなぁ…

 いや、リアちゃん切り札が居たな…


「そういえばヘルちゃん、現在戦利品状態のヘルちゃんは第二皇女なの?」

「……どうなのかしら。平民だったらそのままパンパン所属で結婚も出来る…」


 うーんうーんと悩んでいるから、今度リアちゃんに聞いてみよう。多分リアちゃんの口振りから、今は平民だろうけれどね。


 平民から法律官は厳しい道のり。第二皇女から法律官は割りと簡単になれるけれど、平民との結婚は厳しい道のり。

 それ以前に同性婚の法律が厳しい道のり。

 下手したら法律が定まったらお婆ちゃんという事も有り得る。


 難しいね。

「法律とか結婚じゃなくても、一緒に住むとかじゃ駄目なの?」

「…だって、同性を好きになって悩んでいる人達の希望なればって…」


 あぁ…そうか。

 私は狭い範囲でしか見ていなかった。

 確かに…心と身体が一致しなくて悩んでいる人は大勢居る。店長だって最初は悩んでいたと思うし…多分。


 やっぱりヘルちゃんは優しいなぁ…

 それなら平民から法律官になった方が近道かな。


「それなら、尚更剣技大会で優勝しなきゃね。平民から法律官になる為に、色々と功績を積まないと」

「えぇ…応援してくれる?」


「もちろん! 応援するよ!」

「へへっ…やった」


 ……ん?

 今…遠回しにプロポーズの返事をしてしまった気がするけれど…

 ヘルちゃんが凄く嬉しそうだから訂正が出来ない……しまったな。


 結婚かぁ…

 でも子供は欲しいんだよなぁ…


 かといって私が男に抱かれるのは想像出来ない。


 うーん……リアちゃんに聞いてみよう。


 女子同士でも子供が出来る方法を!


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