25. おっさん、暗躍する⑧
「ご主人様~シラユキちゃんひどいんですよ~」
宿に帰るとカグヤさんが泣きついてきた。
なんでもはじめの内は普通にジェンガで遊んでいたのだが、途中からシラユキさんはジェンガを崩す方に楽しみを見出してしまったらしい。子供あるあるだな。「ゲームにならないんですよー」とカグヤさんが言っていた。
「用事は済んだのですか?」
「・・ああ、バッチリだ!」
そう言って俺はテーブルの上に、手に入れた金をぶちまけた。
「すごい・・こんな大金どうされたのですか!?」
カグヤさんが息をのむ。
全部で白金貨30枚に大金貨2枚、日本円換算約3億とんで200万円相当。
・・・そう白金貨
バカ領主に売りつけた胡椒の代金は白金貨は20枚。それじゃ後の
賢明な諸君ならもう既におわかりだろう。
俺は、
この街に店をかまえる商人5人にそれぞれ20kg白金貨2枚分ずつ、計100kg白金貨10枚分の胡椒を売却した。その際なるべく評判の悪い商人を選んだがこれは自己満足だ。
結果、この街で売りさばいた胡椒は全部で322kgと400g。
これだけの量が一つの街に集まればどうなるか・・まず間違いなく値崩れを起こすだろう。
さらに街を出た後この国を出るまで、立ち寄った場所でも可能な限り胡椒を売りさばくつもりだ。
さて、どこまで値が下がるかな・・楽しみだ。
宿の執事さんに礼を言ってチェックアウトする。そとは快晴、出発するにはぴったりの陽気だ。
門の所で最初にあった門番に会う。
「外に出るのか?」
「ええ、この国の聖都に向かおうと思います」
聖都とはエマージス神聖国の首都であり、ここザシールの街から西に馬車で数週間の位置にあるらしい。
「歩いていくのか?乗り合い馬車を利用した方がいいんじゃないか?」
「歩いてのんびり行こうと思いましてね」
「だが、次の街まで結構あるぞ?そんな荷物じゃ野営もまともに・・ああそうか、アイテムバッグ持ちだったな」
「ええ、それでは失礼します」
それ以上引き止められる事も無く街を出ることが出来た。西へしばらく進んだ後、大きく迂回して東に向かう。
聖都に向かうと言ったな?あれは嘘だ。
一応追っ手がかかった場合に備えて西に行くと見せかけただけだ。
やがて街も見えなくなったあと、俺は立ち止まった。
ここから東に向かい国境の街まで馬車で6日(徒歩だと3週間位)、一番近い街でも馬車で2日かかるそうだ。
・・・・・・しんどい。
現代っ子なめんな!そんなに歩いてられっか。こっちには小さい子もいるんですよ。
というわけで、ネットショップを開く。
「ふたりともちょっと離れててね」
危なくない様ふたりには離れて貰い、前から目をつけていた物をポチる。
目の前に光の粒子が集まるようにして、大きな物体が現れる。
「・・・ご主人様これはなんですか?」
「これはキャンピングカーだ!!」ドヤァ!
説明しよう。
このキャンピングカーはトイレやシャワー、さらにテレビや冷蔵庫も標準装備している。しかもソーラーパネルを搭載し室内装備のオール電化を実現させた優れものなのだ。
それなりのお値段だったけどね。
カグヤさんは言葉を失っている。
シラユキさんは「ほう・・キャンピングカーか」みたいな顔をしている。君これ知らんやろ。
「まあ、要は馬のいない馬車みたいなもんだ。これで旅をするのでふたりとも乗ってください」
ドアを開けてふたりを乗せる。
「ご主人様、馬がいなければそれはもう馬車ではないと思うのですが・・」
うむ。正論だな。でもちっちゃいことは気にすんな。
ふたりが乗車したのを確認してドアをロック。
俺は運転席に座ってエンジンをかける。
『ドルウゥゥゥン』
「こいつ、動くぞ!」みたいな顔をするシラユキさん。
「もはやご主人様に不可能はないのですね」
そう言って、なぜか胸の前で両手を合わせ祈りを捧げるカグヤさん。
異世界転移してまだ3日。
かなり濃い3日だった。
ていうか3日でこれだとこの先いったいどうなるのか。
だが不思議と不安は無い。
そばにいるふたりを見る。
ケモミミ幼女とダークエルフ美少女、ふたりがこちらを見て微笑んでいる。
俺も笑みがこぼれる。
「さあ、行こうか!」
俺たちの冒険は、今はじまったばかりだ!!
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購入品リスト
・[ブラックペッパー ホール302kg] 151万円
・[麻袋 ラージ×16枚] 6,400円
・[ソーラーパネル搭載キャンピングカー
定員(乗車 / 就寝):6/4人 主な装備:シンク、IHコンロ、電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、サブバッテリー、トイレ、シャワー] 2,000万円
合計 2,151万6,400円 残金 7,826万2,700円
現地通貨残高 白金貨31枚 大金貨10枚 金貨7枚 大銀貨1枚 銀貨8枚 大銅貨8枚
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