24. おっさん、暗躍する⑦

 


 結局ほとんど眠れませんでした・・。

 眠い目を擦りつつ、美味しい朝食をいただく。


「クックック・・・」


 今日は今まで仕込んできた事の総決算だ。気合入れていこう!


「・・ご主人様、すごい悪い顔してますよ」


 カグヤさんに指摘される。

 顔に出ていたか。いかんいかん、感情を表に出すのは三流の商人のする事だ。商人じゃないけど。


「くっくっく・・」


 シラユキさんも真似してわるい顔をしている。かわいい。



「カグヤ、今日もシラユキのこと見ててくれるか?」


「・・・どれくらいで戻られますか?」


「なんとか午前中には終わらせて、お昼までに帰ってくるよ。そしたらすぐに街を出るから、そのつもりでね」


「わかりました。全ては御心のままに」


 カグヤさんはちょいちょい堅くなるよね。もっとフランクでええんやで?

 シラユキさんは置いていかれるのが不満らしく、俺の手をがじがじ噛んでいる。そんなわるい子はこうだ!抱き上げてくびすじにチューしてやる。ちゅぅーーーー!くすぐったそうにキャッキャ言っている。


 ふたりが退屈しないようジェンガを購入。遊び方を説明して渡しておいた。


 まずは領主の館に向かう。入り口にいた私兵に案内されて領主のいる部屋へ。


「待ちくたびれたお、さっさとボクちんの胡椒をよこすお!」


「まずは代金を確認させて頂きます」


 用意されていた金を数える。契約書を交わしているが信用出来ないからな。


「・・たしかに、白金貨20枚確認いたしました」


 バックパックから粒胡椒20kgが入った麻袋を10袋、計200kgを取り出す。


「・・マジックバッグ持ちかお?まあいいお、それより胡椒だお!」


「問題ありません」


 領主の私兵が念入りに確認した後そう告げた。


「これで取引完了だお!また儲け話があったら来るといいお!」


 バカ領主はニヤニヤ笑っている。またカモにしてやる、そう思っているのだろう。


(悪いが、もう会うことは無いだろうよ・・)


「・・それでは私はこれで失礼します。大変よい取引をありがとうございました」


 俺は館を後にした。



 その後も急いで用事を済ませていき、最後に獣人嫌いのクソ野郎がいる屋台へとやってきた。ちなみにおっさんは結構根に持つタイプだ。こいつを許すつもりは無い。


「お金は用意出来ましたか?」


「・・あんたか!ああ何とか金は工面出来た。確認してくれ!」


 聞けば屋台を担保に金を借りられたらしい。

 大金貨2枚を受け取る。


「・・ではこれを」


 麻袋に入った粒胡椒2kgを渡す。

 受け取った男は中を確認した後、こう呟いた。


「これで俺も大金持ちだ・・」


 欲望に濁りきった目をしている。


「・・きっと評判の店になりますよ」


 そう言って俺は立ち去った。




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 購入品リスト


 ・[ジェンガ]  2,000円


 合計 2,000円   


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