10. おっさん、固まる


 「あれかな・・?」


 立派な建物が見える。明らかにお金かかってます的な。

 看板には金文字で《黄金の荒鷲亭》と書いてある。


 入り口をくぐると広いなエントランスがある。まるで貴族のお屋敷である。


 「いらっしゃいませ、ご宿泊ですか?」


 にこやかに訊ねる執事っぽい人。

 一瞬チラッとフードをかぶったままの獣人っ子に目を向けるが、まったく表情を変えることは無い。従業員教育がしっかりしているんだろう。


 「はい、風呂付きの部屋があると聞いて来ました。一泊おいくらですか?」


 「今日の夕食と明日の朝食が付いて、2名様で金貨2枚になります」


 (所持金的にはギリだがまぁいいだろう)


 明日には魔石が手に入るし。


 「では一泊お願いします」


 金貨2枚を手渡す。


 「かしこまりました。ではお部屋にご案内します」


 案内された部屋は広いリビングルームに大きなベッドが2つ置いてあるベッドルーム、お風呂はもちろんのこと使用人の為の部屋まであった。


 「お食事は部屋までお持ちいたしますか?」


 「お願いします」


 「承知いたしました。それでは何かございましたら、お声掛けくださいませ。」


 深々とお辞儀をして執事さんは退出した。


 「ふぅ~、やっと落ち着いた」


 獣人っ子をソファーにおろしてやる。


 「いろいろと聞きたい事はあるが、とりあえず風呂に入ろうか」


 ローブと靴を脱がせ、抱き上げてお風呂へ。

 大理石の浴槽にはすでにお湯が張られている。


 (いつ客が来てもいいようにスタンバイしてるのか?すげーな!)


 とりあえず全裸になる。じつに爽快である。

 そして獣人っ子の服を脱がせる。今まで大人しかったのに何故か抵抗する。もしかして獣人は風呂が苦手なのか?ありえるな。

 しかし、大分汚れているから洗わないとね。

 心を鬼にして、すぽーんと貫頭衣を取り去る。肌白いなー・・


 ピキッ!


 次の瞬間、俺はフリーズした。






 ついてなかった・・・ぞうさんが。




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 残金 200円


 現地通貨残高  大銀貨2枚 銀貨9枚 大銅貨9枚


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