9. おっさん、ブチきれる
ギルドを後にした俺達は 《黄金の荒鷲亭》 に向かう。
とりあえず、この子をお風呂でキレイにしてあげたい。
(服を買わないとな。あと何がいるかなー?)
大通りは露店や屋台がたくさん並んでいる。辺りを物色していると大人しかった獣人っ子がピクッと反応した。
「ん、どしたー?」
目線を追うと串焼きらしきものを売っている屋台があった。
「・・食べるか?」
獣人っ子は無言できゅっと抱きついてくる、が尻尾はパタパタ揺れていた。
串焼き屋の兄ちゃんに声をかける。
「串焼き2つください」
「 あいよー。んん?なんだ獣人じゃねーか。獣人なんかに売るもんはねーよ、どっか行ってくんな!」
・・あ゛ぁ゛!?コイツ今なんつった!!?
「食いもんが獣くさくなっちまうじゃねーか」
獣人っ子の揺れていた尻尾がピタッと止まる。
思わずハードボーラーを抜きそうになるが、血を吐く思いでなんとか堪える。
正直今すぐこのクソ野郎の脳天を吹き飛ばしたいが、子供の前でそんな事するわけにはいかない。
だから俺は大声で叫んだ。
『なんだこのくしやき、まっずー!!なんか、うんこのあじするんですけどーー!!!』
まわりの人たちが一斉に振り返る。
あっけにとられるクソ野郎。ダッシュで逃げる俺。
なんだか後ろの方で怒鳴り声が聞こえるが知ったことかボケ。おっさんの逃げ足の速さナメんなよ!?
「・・ごめんなー」
しばらく走ってから、落ち着いたところで獣人っ子の頭を撫でる。
大人しく撫でられているが尻尾はシュンとうな垂れている。
(クソみたいな国だな・・)
人族至上主義とかバカじゃなかろうか?こんなに耳も尻尾も可愛いのに。国ごと滅ぼしたいわぁ。
そばに服屋があったので、とりあえずここで服を購入する。
ここの店主も見下したような目でこちらを見ているが、無視する。
耳と尻尾を隠せる大き目のローブと下着らしきもの数点、ついでに俺の分のローブも。あと獣人っ子は裸足なので靴も買う。靴は子供用はサンダルしか無かったがまあいい。明日ベヒモスの魔石が手に入ったら、ネットショップでもっといいもの買うちゃる!
さっきみたいにフザケたことを言われないようギロリと睨みつけ、威圧する様に店主の前に商品を叩きつける。
「こいつをくれ・・!いくらだ!?」
「ヒッ・・大銀貨1枚と銀貨9枚になります」
「・・ほらよ、釣りはいらねえよ」
大銀貨2枚を置いて商品を掴み、足早に店を立ち去る。
公園らしきものがあったのでそこのベンチに獣人っ子を座らせ、ローブを着せて靴を履かせてやる。ついでに俺もローブを纏う。
「・・これでよし!」
再び抱え上げ、歩き出す。
途中、串焼き屋があったので (もちろんあのクソ野郎の店とは別の店だ) 一本ずつ購入、2本で大銅貨1枚。
それを考えると、大銅貨1枚が100円くらいか?
大銅貨1枚100円、銀貨1枚1,000円、大銀貨1枚1万円、金貨1枚10万円の計算になる。
すると胡椒は30万円で売れたって事か。・・さすが胡椒さんやでぇ!
獣人っ子は、口のまわりをタレでべとべとにしながら美味しそうに串焼きを食べていた。
喜んでもらえてなによりだ。
==========================
残金 200円
現地通貨残高 金貨2枚 大銀貨2枚 銀貨9枚 大銅貨9枚
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます