エピローグ
あるいは世界にひとつだけのパッチワークキルトの話①
七月――テスト週間をとにもかくにも乗り越えたオレたちは久々にメリーズ・ラムで集まってボードゲームで遊ぶことにした。
「いらっしゃいませ。今日はお二人が一番乗りですね」
「本当だ。ユウちゃんどうしたのかな」
「今日は一回家に帰ってから来るらしい。さっきメッセージが飛んできた」
本当はどうして家に帰るのかも含めて色々事情を知っているのだが、今はまだ奥を語るべきときではない。
「え、そうなの? あたしのところには届いてないよ」
あ、しまった。微妙に寂しそうだ。オレは慌てて「何か篠原に見せたいものがあるんだそうだ」と言い足した。これくらいならまぁ、ネタバレにはなるまい。
と、篠原のケータイの着信音が鳴った。パパパパパウワー、ドドン。相変わらずインパクトのある音だ。
「瀞ちゃとセイナちゃん、今さっき学校を出たって」
「……本当にあいつらもというかあいつも来るのかよ」
「相変わらず瀞ちゃんには素直じゃないよねー」
素直な気持ちだよ。あと瀞畝と篠原が直接メッセージのやり取りをしているのも別に寂しくなんかないんだぞ。
「ヒナ高からじゃ、まだ結構時間かかりそうだよな。どうしようか」
「ユウちゃんもすぐ来られないなら、先に遊んでる?」
「ちょっと確かめてみる」
オレはそう断って、ウタゲに『準備はどうだ』とメッセージを送る。すぐに『素数を数えるときにメッセージを送ってこないでくれ。大丈夫だ。インストのカンペを書き上げたらすぐに向かう』と返信がきた。
「ウタゲももう少し掛かるらしい」
「なら――」
「そうだな。二人でやれるゲームをしていよう」
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