✿君にまた出会う

桜花おうかがいなくなってから、はるを5かいかぞえた。

わたし先生せんせいという仕事しごとれて、担任たんにんつようになったり教育実習生きょういくじっしゅうせい

指導しどうしたりするようになった。

プライベートでは大学時代だいがくじだい友人ゆうじんうことになり、最近同棲さいきんどうせい

はじめたところだった。

わたしさくらると、いまでも桜花おうかひろったのことをおもす。

あの、あんなに運動神経うんどうしんけいわるかったんじゃ野良のらじゃやっていけなかったんじゃないかなっていつもおもうんだ。


あのあととうさんとかあさんはいからたような白猫しろねこゆずけた。

そのなつたから「夏花なつか」と名付なづけられた。

夏花なつかもとても可愛かわいくて、すぐにのアイドルになったけれど

わたしはことあるごとに桜花おうかとのちがいをせつけられていた。

夏花なつかはよくうごで、俊敏しゅんびんで、りも上手じょうずで。

たりまえだけど桜花おうかとはちがうところだらけだなぁとおもった。


かれねこっていたから同棲どうせいすると同時どうじわたしにもねこ家族かぞくえた。

そのはサバトラねこでズボラなだった。

やっぱり桜花おうかとはちがうけど、がらちがうから夏花なつかほどちがいをせつけられてるかんじはしなかったし、なによりも普通ふつう可愛かわいいからうことはない。






きみ出会であったのは、ゆきのちらつくふゆだった。

にがつわり、もうすぐ3さんがつだというのにまださむのことだった。

両親りょうしん結婚けっこん報告ほうこくをしたかえりだった。

桜花おうか出会であったあの桜並木さくらなみきかれあるいていた。

しろいききながらたいした会話かいわもせずならんであるわたしたち。

あぁ、桜花おうかひろったのはこのあたりだったなぁなんておもいながら。

ふと、一本いっぽんしたになってそちらにをやった。

しろゆきなかたたずくろかげ

ちかづいてみると、くろ子猫こねこだった。

きみわたして「にゃぁ」とちいさくいた。

くろ毛並けなみにちらつくゆきがよくえていた。

あぁ、なんだかこのかんっている。

そうおもい、わたし子猫こねこげた。


「そのれてかえるの?」


そばわたし様子ようすていたかれいかけられる。


「うん。こんなさむなかほうっていたら可哀想かわいそうでしょう?」


「うちの仲良なかよくできるかなぁ・・・。」


出来できるよ。きっと。」


名前なまえはどうしようか。」


「あのね、わたしあんがあるの。」




がつくと、ゆきはやんでいた。


はるはもう、すぐそこまでている。

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