✿君との別れ

どんなにたのしい時間じかんも、しあわせな時間じかんも、永遠えいえんじゃない。

それは、ぼく桜花おうかにもえることだった。

大学だいがく卒業そつぎょうしたらぼくは、夢叶ゆめかなって高校こうこう教師きょうしとしてはたらくことになっていた。

卒業式そつぎょうしきあさ祖母そぼってもらったあか袴姿はかますがたわたしを、桜花おうか見送みおくってくれた。

そのころ桜花おうかは、むかしよりもさらにている時間じかんえていて

あそぼうとしても反応はんのうしてくれなくなり、べるりょうっていた。

それでも、見送みおくりと出迎でむかえはかならずしてくれていた。

早朝そうちょうからかけるときも、バイトでかえるのが夜遅よるおそくでもそれはわらなかった。

いつもどお見送みおくってくれる桜花おうかに、ぼく笑顔えがおいえた。


卒業式そつぎょうしきえ、げに参加さんかし、いえかえったのは日付ひづけわる直前ちょくぜんだった。

リビングの電気でんきはついていて、両親りょうしんはまだきているようだった。

「ただいまー・・・あれ?」

いつもそこにるはずの桜花おうかは、いなかった。

いやにしずかないえなかぼくすこしだけいや予感よかんきながらリビングにはいった。

リビングのすみほう桜花おうかのベッドのまえ両親りょうしんた。

はははベッドのまえすわみ、ちちくらかおぼくほうへといた。

あぁ、いや予感よかん的中てきちゅうしてしまうものなんだ。

いつもとおなじようにているようにしかえなくて、ぼくくこともできなかった。

元々もともとははねこうのには反対はんたいだったはずなのに。

ちちねこ苦手にがてだったはずなのに。

ははくずれていて、ちちはあんなにかなしそうなかおをしている。

桜花おうかは、にとってくてはならない存在そんざいになっていたんだと気付きづいた。

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