june 7
ディープパープルのTシャツだけを着たあっこは、濡れたシャツとスカートをエアコンの下に広げて、乾かそうとしている所だった。
小柄なからだは、男物のTシャツですっぽりと覆われている。
とはいえ、スカートをはいてないので、日焼けしたピチピチの脚は、お尻が見えそうなくらい
テニスの練習の時に、太ももの付け根まで脚を露出したショーパン姿を見てるのに、今のTシャツ姿の方が、どうして色っぽく、
こちらのモヤモヤに気づきもせずに、酒井はそのカッコで服の整理や、借りたタオルの片づけなんかで、部屋の中をちょこちょこと動き回りはじめた。
一歩歩く度に、短いTシャツの裾がひらひらと揺らめいて、太ももがのぞく。
別にからだのラインが出る様な服じゃないのに、ちょっとした動作で、胸の膨らみやお尻の丸みがTシャツを内側から押し上げて、存在を強調している。
彼女の事は特に好きとかいう訳じゃないのに、やっぱり目が、からだの出っぱり部分を追ってしまう。
『女の子のからだを見たい』という男の本能は、相手なんか誰でもいいのか?
いや。
酒井亜希子は小柄でスレンダーなのに、胸は大きくウエストはキュッとくびれて、お尻もグイッと突き出したダイナミックなボディをしてる上に、顔も可愛い部類の女の子だ。
部活中でも、彼女に見とれてる男子は何人もいる。
手足をいっぱいに伸ばし、一生懸命ボールを追っかけるそのプレースタイルは、ひたむきで思い切りがよくて、とっても魅力的だ。
走る度に、たわわな胸がプルプルと揺れる。
そんな彼女を『見たい』と思うのは、男としては自然な反応だろう。
特にこんなセクシーなカッコなんかされると、『見るな』と言う方が無理な話だ。
『男物のシャツを羽織る』とかは、女の子の萌えシチュエーションの定番だと聞いた事があるが、それもよくわかる。見えない事で、逆に妄想をかきたてられるのだ。
だけど、そんな気持ちで見ているのがバレると、こいつからはなにを言われるか、わかったもんじゃない。
『先輩、イヤらしい目で見ないで下さい! 気持ち悪い!』
そう怒られて、余計嫌われるに決まってる。
でも…
やっぱり、見たい!
酒井がなにかする度に、ぼくは彼女に気取られない様に注意しながら、彼女の肢体を盗み見た。
靴下を直すのに、酒井は前屈みになった。
その瞬間、Tシャツの裾からパンツがかなり露出する。
ブラジャーとお揃いの、ドット模様の白いパンツ。
『よしっ!』
心の中で小さくガッツポーズ!
意味不明の達成感。
ぼくのあそこが、またひとつドクンと脈打って、大きく膨らんだ。
「きゃっ!」
その直後、叫び声を上げて、酒井はペタンと床に尻もちをついた。
どうやら、彼女が病室に入ってきた時に落とした水滴で、リノリウムの床が滑りやすくなっていた様で、そこで足をとられて転んだらしい。
「痛った~い!」
尻もちをついたまま、酒井は顔を歪める。
「大丈夫?」
反射的にそう言って彼女を見たぼくの目に、床に手をついて脚をこちらに投げ出し、股間に複雑な皺を描いたドット柄のパンツを丸見せにしている姿が、飛び込んできた。
ヤバい。
どこに視線をやっていいかわからない。
彼女も自分の痴態に気づいたらしく、真っ赤になって慌てて立ち上がる。
「す、すみません。変な声出して…」
ぼくの顔も見ずに酒井は言い、バツが悪そうに言葉を探す。
「まだ、服乾かないかなぁ…」
そう言ったきり、彼女はぼくに背中を向けてしまった。
なんだかそんな姿が可愛い。
ふだんはパンツが見えるのなんてお構いなしに、大股広げてボールを追っかけてるくせに、こんな事で恥じらうなんて。(テニスウェアの下にはいているパンツは、正確には『アンダースコート』って言う『見せパン』なんだけど)
気まずく沈黙してた酒井は、服が乾いたと見ると、また、『先輩、あっち向いてて下さい』と、怒る様な口調で言って、さっさと制服に着替えてしまった。
つづく
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