第8話

序章 第七幕

真っ赤に染まった床、天井、壁。床には自分の父親が首から上がなく、赤い赤い血を大量に流しながら倒れていた。

覆いかぶさるように俺を守ってくれた母親は何度も何度も刺され最後には心臓を抉り取られた。

そして身体中を真っ赤に染めたアイツは俺へと手を伸ばした。

俺は恐怖で体が動かなかった。自分の中に憎しみが溢れていて、頭の片隅ではアイツに立ち向かえと訴えている。でもそれを上回る恐怖が体を包み込んで離さない。

アイツの真っ赤に濡れた手が俺の首を掴み上げ絞める。

「どうだぁなぁ?悔しいか?それとも怖いか?なぁなぁ!あぁそうだよコレだよ!!コレ!人が絶望している目。テメェの母親も最高だったぜ?目の前で父親殺されて自分も殺されて、、、ははっダメだ笑いが止まらねぇ!!」

悔しくて、悲しくて、恐怖で自分がどうにかなりそうだった。目から涙が溢れて止まらない。今の俺に出来るのが、見っともなく体を動かす事だけだった。

「あぁ、そうだ。最近ヤッて無かったからな。テメェはそこで見てろ」

アイツの拳が俺の腹を強打し、俺は吹き飛ばされた。壁に激突して動けなくなる。

そして目に映ったのは、、、



四条は全身に汗をかいて飛び起きる。

「はぁはぁ……またあの夢か」

四条が辺り見渡すと、神崎、スフィア、佐藤はそれぞれのベットで寝ていた。

「風に当たろう」

四条はベットから立ち上がり、扉の前まで歩いていく。四条は出て行く前に佐藤の方を見て、扉の外へと出て行く。

廊下に出ると外の冷たい冷気が四条の身体を包み込む。廊下の手すり側から見える空の景色は満点の星空で、四条の心を奪うには十分な景色だった。

「綺麗だな」

四条は手すりに手をかけて空を見上げる。

しばらくの間、四条が空を見上げていると、遠くから白い煙が上空へと登っているのが映る。

「なんだあれ?」

四条が少し目に力を入れると、白い煙は燃えている村から出ているのが分かる。

四条は目に魔力を通し視力を更に上げる。

すると目に映るのは、無抵抗の人々が武器を持った人間に切られている光景だった。

『言を力に』

四条がそう唱えると、四条の周囲の空気が張り詰めたものに変わる。

『宿れ雷装、雷脚!』

唱え終わると、四条の脚には雷が纏わりつき、雷の装甲が現れていた。

手すりから飛び降りると、村の方向へと駆け始めるのだった。

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