第6話
序章 第5幕
「んじゃあ、スフィアどうすれば良いと思う?これから」
神崎はスフィアに問う。
「これからですか?んーー私はあの王女様の言う通りに、勇者として魔王を倒しても良いと思いますわ。だって困ってる人がいたら助けたいと思うのは普通だと思いますわ」
スフィアは自信満々に答えるが
「ですが、話を聞いて纏める限り私達の命の危険もあるみたいですから、正直な話聞かなかった事にして元の世界に帰れるなら帰りたいですわね」
そう、何処か罰が悪そうに言うのだった。
「まぁそうだよな。死ぬかもしれないのに喜んで協力は出来ねぇよな。えっと次は佐藤はどう思う?」
神崎はそう佐藤に聞く。
「私はみんなが決めた事ならついてく。私はみんなの近くに入れるなら、それだけでいい」
「要は丸投げか」
「そう言う事」
佐藤は神崎に向けて、親指を立ててその通りだと言う。神崎はそんな佐藤を見て、苦笑いしながら、四条に問いかける。
「お前はどうすれば良いと思う?」
「そうだね、俺は個人的にはこの世界を見て回りたいって思ってるよ」
「この世界を?」
神崎は自分の想像していた答えと違ったのか、驚き半分興味半分といった感じで聞いていた。
「この部屋に来るまでに外の景色が見える場所があったんだけどね?」
「そんな場所あったのか、緊張しすぎで何も見えてなかったぜ」
スフィアと佐藤はその景色を見ていたのか、驚いている様子はない。
「まぁあったんだよ。それでね、そこから見えた景色はとても綺麗だったんだよ。空は澄んでいてとても綺麗だし、遠くの空には空飛ぶ竜もいた」
「竜!?竜もいたんですの!」
これには神崎だけではなくスフィアも佐藤も驚いていた。
「あぁいたよ。でも直ぐにどっかあっちゃったけどね」
四条は楽しそうに笑いながら三人を見渡して、結論を言う。
「まぁそんな訳でさ、俺はただこの世界を見て回りたい。まぁ神崎達が心配だからしばらくは一緒にいるけどさ」
神崎は呆れながらも四条に問いかける。
「しばらくって、一人でどっかいっちまうのか?」
「まぁそんな所かな?大丈夫大丈夫、生きてればまた会えるし、どっかいくのはまだ先だよ。多分ね」
「まぁ先なら良いか。今は目の前の事に集中してぇし」
神崎は目を閉じて考え事をする。
四条、スフィアはそんな神崎を見つめながら待つ。ただ一人はずっと四条の事を心配そうに見つめていた。
「良し決めた」
神崎は瞼を開く。その瞳には先程まで見えていたまだまだ幼い少年の面影はなく、決意を固めた男の瞳がしっかりと見えていた。
「魔王を倒すとか、んで世界を救うとか、そんなのは一旦置いといて、強くなる。この世界で生き残る為に」
「それで良いと思うよ。先ずは自分達が生き残れるようにしないとね」
四条は神崎の意見に同意するように話す。
スフィアと佐藤も異論は無いのか頷く。
「その為には先ずは先生となる人が必要なわけなんだが」
「先生に関しては問題ないと思うよ。勇者として強くなりたいって事ならこの城の人達が教えてくれるはずだしね」
「まぁ、そうだな。よしこんな所だろ、決める事って」
神崎はそう告げるとベットの上で寝転ぶように、後ろへと倒れ込んだ。
「だぁ〜〜疲れた!もう頭働かせたくねぇ!決めた今日は頭使わねぇ」
そう言って上体を起こして、三人に言う。
「取り敢えず、そんな感じで行くから明日から宜しくな。一先ずは各自強くなるって事で」
そう言うと神崎は立ち上がり扉の前まで歩いていく。
「俺その辺ふらふらしてくるわ。身体動かしてスッキリしてくるぜ」
「あ、神崎?私も行きますわよ」
スフィアも立ち上がって神崎の後をついていく。そうして二人揃って部屋を出て行くのであった。
「行っちゃったね。俺らはどうする?」
四条は2人を見送った後、佐藤に問いかける。
佐藤は真っ直ぐに四条を見つめると
「四条君、聞きたい事が一杯ある」
そう四条に告げた。四条はそう聞かれる事を想定していたのか、すぐに言葉を返した。
「まぁそうだよね。あ、でも俺も1つ聞きたい事があるかな」
佐藤は自分が聞かれるとは思っていなかったのか、少しの驚きの後に
「良いけど、私の方が先だからね」
そう言った。
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