第4話

序章 第3幕

「では話を戻しますと、勇者様は神崎?様でよろしいのですね?」

ユリエはそう神崎に対して問いかける。

先程まで楽しそうに話していた四人はユリエの方を向く。

神崎は渋々といった表情でユリエに答える。

「あぁそうだ。俺が勇者って事になってる」

「では他の方々は勇者様では無い別の職業なのですね」

ユリエはそれぞれ三人を見た後、若干の好奇心が隠しきれない様子で問いかける。

「では他の皆様の職業はどの様なものですか?」

「私は戦士だったわ。なんというか平凡な職業ではありますが」

「狩人です」

「俺は魔術士だよ」

ユリエは三人の職業を聞いた後、不思議に思ったのか首を傾けた。

「魔術士、というのは?」

「うん?そのままの意味だと思うけど、ホラ魔術を扱う人の事」

ユリエは更に分からないという顔で後ろに控えていた騎士達に問いかける。

「魔術士っていう職業聞いたことあるかしら?」

「いえ私どもは聞いた事がありません。

お役に立てず申し訳ございません」

「いいえ気にする事は無いわ。あなた達は聞いた事あるかしら?」

ユリエは四条達を囲む様に立っているローブを着た者達にも同じ様に聞いた。しかし結果は騎士達の答えと同じだった。

「うーん、勇者様の様に唯一無二の職業?でもその様な職業は勇者様だけのはず、、、うーん」

ユリエは深く考える様に目を瞑るが、結局考えが纏まらなかったのか、諦める様に話し始める。

「この一件はまたよく調べるとして、では勇者様、そして御三方にお願いしたい事がございます」

四条達四人は黙ってユリエの話を聞く体制をとる。自分達にとってここに呼ばれた意味を知るために。

「どうか、この世界をお救いください!

今この世界は魔王の脅威に、脅かされております。領土はもちろんの事、人間という種族そのものまでが。どうか、どうかこの世界を、お救いください!!」

そう言ってユリエは深々と頭を下げた。

その声色には聞くものに対して、懸命な思いがはっきりと伝わるほど、思いが込められていた。

「そう、言われてもな、、、俺達に救えって言われても戦い方何て知らねぇし」

神崎は困った様に三人の方を向く。

「お前らはどうしたい?」

「困っている方がいるのでしたら、助けるのは当たり前ですが」

スフィアは神崎と同じ様に困った顔で考える。

「そもそも私達は普通の学生の訳ですし」

「多分、もう普通の学生ではなくなった、と思うよ」

スフィアの言葉に被せるの様にして四条は言う。

「それはどういう事かしら?健也君」

「んーーそうだな。俺達はこの人達に勇者として召喚された。現に神崎は勇者として職業を得てる。多分この職業って言うのは自分がどんな力を持っているかを示す為のもの。それが付与された時点で俺達は戦う事が出来る様になってる、とかかな」

「では……何ですの、私の場合でしたら戦士として戦える能力をすでに持っていると?」

四条は首を縦に振りながら

「そうだね。その証として俺達は本来使えるはずのないステータスが開ける様になってるわけだしね。そういう事で良いんだよね、ユリエ王女様?」

そう言って四条はユリエに、顔を向け聞く。

自分の言った事が正しいのか確認を取る為に。その答えとしてユリエは頭を縦に振った。

「ええ、確かにその通りではございます。この世界の神、メイシア様がお与えになられる力が召喚された者に宿ります。そしてその方を勇者様と呼ばれる様になるのです」

その答えに満足いったのか、四条は頷きながら

「そうだよな、本来力を持たない者が力を持つなら誰かが力を与えなくてはいけない。うん大体考えはあってたかな?

でもそうだね、そんな事よりも先ず先にしなくちゃいけない事があるね?」

そう言って四条は立ち上がり、ユリエに向かって挨拶を始めた。

「自己紹介は大事だからね。始めまして、ユリエ・ユーフラテス王女様。俺の名前は四条 健也と言います。ホラ皆んなも」

四条に促され他の三人も立ち上がり挨拶をする。

「えっと、俺は神崎 連太郎だ。えーーとよろしく」

「私はスフィア、スフィア・シャルロッテと申します。挨拶は確かに大事ですわね」

「佐藤 芽衣、よろしく、、、したく無いけど」

それを見たユリエは驚きながらも

「は、はい!皆様よろしくお願いいたします」

そう言って頭を下げるのだった。

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