第3話

序章 第2幕

「初めまして勇者様方。私はユーフラテス国が王女、ユリエ・ユーフラテスと申します。

我が父、レオ・ユーフラテス王に代わりお礼を申し上げたく。この度は私達の召喚に答えてくださり、誠にありがとうございます」

そう言ってユリエ・ユーフラテスは頭を下げた。

ユリエは頭を上げると四条達に向けて再度話しかける。

「先ず確認したい事がございます。本来なら勇者召喚はお一人での筈なのです」

「1人?でも俺たちは」

動揺した声で神崎は言うが、言葉に被せる様にユリエは話を続ける。

「えぇですので今からその確認を致します。

皆様[ステータスオープン]こう言い、ステータスを開示してくださいませ」

ユリエの目の前には文字が書かれた半透明の板の様なものが展開された。

「うわっすげぇなんか浮いてんだけど」

「凄いわね。私達もアレをやれるのかしら?」

神崎とスフィアは興味津々といった感じで言葉を紡ぐ。

「[ステータスオープン]おぉ!!でた!」

「[ス、ステータスオープン]すごい……」

神崎の前に文字が書かれた半透明の板が、同じようにスフィアの前にも現れている。

はしゃぐ二人を横目に見ながら佐藤は、相変わらず握っている袖を引っ張り、四条の話しかけた。

「四条君は出さないの?えーとアレ」

アレと指さすのは神崎の前に現れている半透明の板だ。

「んーーまぁ出そうかな。佐藤さんも出してみる?」

「四条君が出すなら」

「そ、そっか。[ステータスオープン]んーーまぁこうなるよね」

「[ステータスオープン]本当に出るんだ」

四条は自身のステータスを見て若干落ち込み、佐藤は出た事に驚いていた。

四人がステータスを開示したのを確認してから、ユリエは再び話し出す。

「では皆様、ご自分の名前の横に職業の欄が書いてあるはずです。そこに勇者と記載されていある方が勇者でございます」

ユリエの言葉に従い四人は自分の名前の横を確認する。

神崎の名前の横には勇者と。

スフィアの名前の横には戦士と。

佐藤の名前の横には狩人と。

そして四条の名前の横には魔術士と。

それぞれが違う職業の記載がされていた。

「あ、俺勇者って書いてある」

「え!?神崎が勇者ですの?」

驚いた様にスフィアは神崎をまじまじとみる。

「いやまぁ俺も驚きだけどさ、書いてあるんだよホラ」

神崎は自身のステータスをスフィアに見せると、四条の方を向く。

「なぁお前って職業なんだった?」

「俺は魔術士だよ。まぁなんとなくそんな感じはしたけどね」

「え?まって俺マジで勇者なの?俺が!?どう考えても四条の方が適任なのに?」

そう言うと神崎は割と現実から逃げる様に、頭を抱え出した。

「えぇ違うじゃん。どう考えても四条が勇者の方が向いてるって、、、えーー泣きそう」

「いや、適任だと思うけどな。佐藤さんはどんな職業だった?」

佐藤は自身のステータスを四条に見せながら、淡々と答える。

「狩人だった。四条君の魔術士って名前かっこいいね」

自分の職業はどうでも良いのか、四条の職業に反応を示す佐藤。

「あのー皆さん?一応私の職業は戦士でしたわ。。。一人ぐらい興味を持ったって良いでは無いですか」

一人職業を尋ねられなかったスフィアは若干、いや大分拗ねた。

「スフィアが面倒くさいモードに入った。神崎出番」

「おい待て佐藤、その仕事は長い付き合いのお前が適任だろ!?毎回俺に押し付けんな!」

「いいです、どうせ私なんて誰も興味なんてありませんわよね。えぇ知っています。知ってますとも」

神崎と佐藤はそんなスフィアは見ながら、お互い責任をなすりつけあっていた。

「佐藤、お前が慰めろ、な?俺今自分が勇者って現実で割と押しつぶされそうなの!」

「良かったね勇者、おめでとう。お祝いしてあげるから、スフィアには神崎が一番効果的なんだから、早く」

そんな三人を見ながら四条は、スフィアの横へと移動する。ちなみに袖を掴んでいた佐藤は若干残念ながら袖を離した。

四条がスフィアの名前を呼ぶとスフィアはおもむろに四条の顔を見る。

「スフィア、興味が無かったわけじゃないんだけどね?ごめん、後で神崎が何でも言う事聞いてくれるみたいだから」

「お、おま!四条てめえ!」

「本当ですか?神崎」

スフィアは四条に掴みかかろうとしていた神崎を涙で潤んだ瞳で見上げた。

神崎は動きを止めて、元の位置に戻るとスフィアを見ながら話し始める。

「い、いや俺は」

がそれに被せる様に四条は言葉を重ねる。

「もちろん本当だよ。後でスフィアの好きにしていいよ」

四条は嘘なんて微塵も感じさせない笑顔で、スフィアに対して断言した。

神崎は観念した様に息を吐き、スフィアに向かって話し出す。

「あぁそうだよ、後でどんな事でも付き合ってやるよ」

スフィアは神崎に対して満面の笑顔を向ける。

「ありがとう!なのだわ。えへへ」

「やっぱり拗ねた時は神崎が一番」

何故か誇らしげに佐藤は無い胸を張った。

四条は元の位置に戻り座ると、当たり前の様に佐藤は四条の袖を頼りなく掴むのだった。

「皆様、仲がよろしいのですね」

ユリエは四人に向けて話しかけた。

「ん?まぁ俺ら友達だしな。四条以外は長い付き合いだし四条以外は」

「そこ念押すとか?」

「さっきの事、忘れたわけじゃねぇからな。

つか毎度毎度、俺に責任押し付けてるよな!?」

「押し付けてるんじゃ無い、譲ってるだけだよ」

「んじゃあ譲らなくて良いから、たまには自分で解決しよろぉ!」

「自分で解決した結果、神崎が適任だってなるんだよ」

「ダメだ、、、何言っても俺が負ける」

そんな二人を当たり前の様に見守るスフィアと佐藤。そして羨ましそうに見るユリエ。

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