第2話

序章 第1幕

幼い頃の記憶、今でも鮮明に思い出せてしまう記憶。

真っ赤に染まった床、天井、壁。床には自分の父親が首から上がなく、赤い赤い血を大量に流しながら倒れていた。

覆いかぶさるように俺を守ってくれた母親は何度も何度も刺され最後には心臓を抉り取られた。

そして身体中を真っ赤に染めたアイツは俺へと手を伸ばした。


大きな宮殿内に歓喜の声が広がり反響する。

四条、神崎、スフィア、佐藤の四人は歓喜の声を上げている人々の中心で倒れていた。

四人の床には文字と線が規則的に描かれた魔法陣が淡く輝いている。

それは学校の門に描かれた魔法陣と全く一緒だった。

「やったやりました!ついに勇者を召喚する事が出来た!」

「今すぐにレオ王に報告せよ」

「これで、、、人類は救われる」

四人を囲むように魔法陣の円の外に立ち並ぶのは合計6人。全員がローブを着ており顔は見えず、全員同じ人間のように見えてしまう。

「ん?……なんだここ」

最初に目が覚めたのは神崎だ。神崎は残りの三人の身体を揺らす。

「お、おい!起きろってなんかヤバイ事になってる!」

「何ですか?ここは」

次に目が覚めたのはスフィアだった。

スフィアは辺りを見渡した後、神崎を見る。

「何なのですか?これは、私達学校にいたはずでは?」

スフィアは状況を飲み込めていないのか、神崎に質問するが、神崎自身も状況を飲み込めていないので、意味はなかった。

「俺だってわかっんねえよ!取り敢えず残りの二人も起こすぞ」

神崎がそう言った直後に佐藤が目を覚ました。

「ここは?え?どこ?……四条さん起きて、起きて下さい」

佐藤は四条に呼びかけ、身体を揺する。

「ん、、、佐藤か」

安堵したような声とともに四条は目を覚ました。四条は辺りを見渡して、三人に話しかける。

「なんか変な場所に来ちゃったね」

「お前、なんか凄く落ち着いてないか?」

「まぁこういう事は決して起こり得ないとは、限らないからね」

四条はそう言って神崎に笑いかける。

神崎はその笑顔を見て、緊張が少しほぐれたのか、息を大きく吐いた。

「はぁ〜〜なんかお前見てると緊張すんのが馬鹿らしくなってくるわ」

その意見は他二人も賛成したのか若干の安堵の色を見せる。佐藤は四条の袖部分を頼りなく掴みながら、四条に声をかける。

「四条君ってこういうの慣れてるの?」

その答えに四条が答えようと口を開いた瞬間、大きな扉が開かれ、金色の装飾が施されたドレスを着た少女が、後ろに騎士二人引き連れ中に入ってくる。

そうして少女は四条達四人を見渡した後、

「初めまして勇者様方。私はユーフラテス国が王女、ユリエ・ユーフラテスと申します。この度は私達の召喚に答えてくださり、誠にありがとうございます」

そう言ってユリエ・ユーフラテスは頭を下げた。

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