第2話 日陰者の逆襲の狼煙

そのスキルを見てから数秒、私は驚きのあまり体が動かず頭の中は疑問で一杯だった。

(えっ、何このハイリスクハイリターンなスキルは...それに、もし助けが必要なら他の人の方が要領良くできるのに、なんで私の所に来たんだろう?)そう思った私は少年に

「どうして私にこのスキルをくれるの? 何か理由があるの?」と優しく尋ねた。

「僕はね、魔力を使い過ぎてこんな姿になっちゃたの、それでね、このスキルが使われる度に魔力が戻って元の姿に戻れるんだ! でも、僕には扱えない程強いから誰かに頼むしかないんだよね。だからお願いしますお姉さん、僕を助けて!」

「助けたいのは山々だけど、リスクが大き過ぎるからなぁ... それにどうして私なの? 周りにいるお兄さんお姉さんたちの方がもっと効率が良いと思うよ。」

とやんわりと言うと、少年はしんみりとした顔で言った。

「お姉さんを選んだ理由はね、どうすれば皆が幸せになるのか、本当の善や悪は何か、と考えることが出来ると思ったからだよ。 だって周りの人は自分は正義だと勘違いしているし、悪と決め付けられた人の気持ちを考えていない。 僕は、勇者は世界を守っている様に見えて実際は世界を破壊して都合のいい様に変えているんだと思う。でもお姉さんは違う、本当に大切なことを見極められる、そう思って僕はこのスキルを渡したんだ。それにリスクは問題ないよ。後でスキルポイントをお姉さんの場合300ぐらい貰えるし、スキル授与でそのリスクを解決できる様なのが来ると思うから。」

「 一つ質問しても良い? この【物語創造】《ストーリークリエイト》って周りだけじゃなくて自分にも使えるの? 例えばステータスとか魔力とか」

「もちろん使えるよ、ぜひ有効活用してね!それじゃあもう行くね、僕はノア、また会おうね、ミサ!」

そう聞こえた直後、喧騒が戻って来て、誰かに肩を叩かれた。

「桜井さん、もうすぐ桜井さんの番だよ、早く行きなよ。」

そう言ったのはクラス委員の足立さんだった。 私はうなづいて、王の隣にいるクリスタルを持った占い師の様な女性の前に立った。クリスタルを覗いた女性が驚いてゆっくりと告げた。

「この人のスキルは...《不老不死》です。」

そう言った直後、周りから失笑がおきた。「あいつよりによってハズレスキル引くってヤバくない?」「バトルの時に鉄砲玉としては役に立ちそうだけどさー、それ以外だと完全にお荷物だよなぁ。」など聞こえて来た。足立さんが近づいてきて「大丈夫? あいつらのことは気にしなくていいから、それよりこれからどうする? 俺のチームに来る?」

「大丈夫です。」

そう言って私は部屋を出て、人気の無い所に行き、ノアを呼び出してこう言った。

「【物語創造】《ストーリークリエイト》、貰うわ。 あなたの願い、叶えてみせる!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る