運命を謳う魔女

安原 ハル

悪夢の前の平穏

第1話日常から非日常へ

それはミサが教室で一人読書をしていた時に起こった。窓の外から差し込む光が徐々に強くなり、眩しくて目を閉じ、開けた時には古城の一室の様な場所に私だけではなくクラスの皆もいた。 皆が状況が飲み込めず慌てている中、その部屋の内装に見惚れている時に、王様の様な人と数人の兵士が部屋に入ってきた。

「ようこそ、異世界の勇者たちよ。 我が名はリディス、ファリム王国の国王である。 早速だが、君達に頼みがある。今 この世界ファークルスでは魔王軍に侵略されている。 魔王軍により多くの村や国が滅ぼされ多くの命が消えていった。 我等は魔王軍と幾度も交戦してきたが、このままでは全世界を支配してしまうだろう。 勇者たちよ、どうか魔王を倒し世界を救ってくれ!」

それを聞いたクラスの皆の反応は様々だった。 説明を受けてもまだ混乱していたり、異世界転移キター!とテンションが上がっていたり、早くもチームを決めている人もいた。 そんな中、「ミサは無理じゃね? 運動は全然出来ないし恐がりだからすぐにやられちゃいそうじゃない?」 「ああー、分かる、マジで!頭が良くても、異世界じゃあ役に立たないもんねー。 チーム分けする時さ、誰もいらないじゃない?」 「めっちゃウケる! あいつ絶対一人になるよね、せっかくだからさ、どこでやられるか予想しない?」など聞こえて来た。 たしかに私は運動は全くできないが、勉強ではいつも学年トップだった。 その為、クラスの大半が嫌っていて、クラス内の好感度とスクールカーストは低い方である。

そんな事を考えてため息をついていた時、喧騒が全く聞こえなくなりたい周りを見ると皆の動きが止まっている事に気付いた。 何が起こった⁉︎と慌てていたら「大丈夫だから落ち着いて。」と足元の方から声が聞こえ、 視線を声の方に向けると白いフードを被った6歳ぐらいの少年がいた。 私はかがんで「どうしたの? 私に何か用事?」と尋ねると「お姉さん、このスキルあげる♪ ステータスって言って確認してみて! 早く早く!」と急かすので言われた通り「ステータス」と言ってみると近未来的なモニターが出てきて、先程貰ったスキルを見た時、目を見張った。

【物語創造】《ストーリークリエイト》・・・相手の運命を自分の思うがままに書き換え、自分が作った物語は例外なく実現される。 ただし、使用する度に代償として自分の寿命を少し削る。SP...150

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る