第67話 歴史改変事件(現場検証後編)
西暦1756年6月23日10:06 オーストリア ザルツブルク
ゲン:俺も独自に調べてみたんだが、1756年といったらモーツァルトが生まれた年だろ?何で生まれたばかりのこの年がモーツァルトの最盛期なのにゃ?
カナデ:モーツァルトは音楽史において
ゲン:おいおい、神様が人間に直接干渉するのは天界の人界監督法違反だろう。そもそも天族に関わる事は閻魔帳には記されないんじゃなかったのかにゃ?
カナデ:はい、その記述だけ空白だった事から中央政府にマスタースフィア閲覧を要請、その許可が下りて後にそれと照らし合わせて判明した事だそうです。発覚したのはモーツァルト死後100年後だったため、時空管理法に基づき時効が成立してしまい注がれた神気回収が不可能となったまま歴史が進んでしまったんです。
ゲン:時空管理法第14条2項、人界に干渉した時の神と対象となる人間が同時代の者同士であった場合、100年経過した者が干渉してはならない・・・だったかにゃ?
カナデ:はい。ですから注がれた人間から神気を回収するためにはその当時の神様、この場合はミューズ様がご自身で気付いて回収するしかないんです。
ゲン:まったく、困った事をしてくれたもんにゃ。
カナデ:警部さん、ここに犯人の気配は感じられますか?
ゲン:・・・いや。ここに感じる神の気配は俺を除くと1
カナデ:という事はミューズ様でしょうか?
ゲン:だろうにゃ。
カナデ:あ、モーツァルトさんの家の前の木陰に誰かいますよ!女性?
ゲン:あれは間違いなく、264年前のミューズだにゃ。
カナデ:知ってたんですか⁉︎
ゲン:まぁ、若い頃に1度会ったっきりだがにゃ。その当時は脱走癖のある困ったお姫様だったにゃ・・・ん?
カナデ:どうしました?
ゲン:なぁ、タイムフリーズ現象が発生したのは今から1週間後の6月30日だったにゃ?
カナデ:そうですけど、それが何か?
ゲン:過去に1度だけ神が人間に神気を注いだ例があったのにゃ、まだ時空管理法が制定される遙か前だったから記録に残っていないが。
カナデ:それは誰ですか?
ゲン:14天界王のヘラクレス様が元人間だったというのは知ってるにゃ?
カナデ:はい・・・えっ⁉︎それってまさか!
ゲン:そのまさかにゃ。人間だった頃のヘラクレス様に神気を注いだのがゼウス様で、当時自在に時を操っていたクロノス様の
カナデ:そんな事って。
ゲン:人間が神になれるか否かは神気を注がれて1週間後に決まる。少なくともモーツァルトは神になる素質があった。天界の外気を1年以上吸収すれば神になるが、人界に留まれば神童となりその先は天才な人間で終わる。
カナデ:では何故犯人は生後5か月のモーツァルトを
ゲン:いや、ここから1週間の事件の発生した時間軸から天界に連れ去った形跡は無かった。つまり・・・
カナデ:別の時間軸に連れ去り監禁してるって事ですね?
ゲン:正解にゃ、後は奴がどの時間軸に監禁しているかという事なのにゃ。
2人に通信が入りモニターに映るゼペット
ゼペット:行方不明になったモーツァルトの居場所が分かったぞ!2日後の時間軸にモーツァルトと同じ生体反応が2つ感知された。おそらく犯人もそこにおる!
ゲン:よし、現場に急行にゃ!
カナデ:はい!
犯人追跡へ続く・・・
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