第62話 VSジョージ・ビルドルフ(第4回公判)
開廷より3日目 境界時間9:00 4界宇宙統合司法裁判所 第7法廷
摩耶:これより第4回公判、
弁護士:はい、先ずはビルドルフ被告にお伺いします。被害者が殺害された午前0時から事件発覚の天聖暦2020年3月26日午前8時の間にはアリバイがあるそうですね?
ジョージ:うむ。その日の晩、私は14天界王自然神筆頭の
弁護士:それを証明してくださる方は?
判定官を見て指を刺すジョージ
ジョージ:そこの判定官に聞けば宜しかろう。八岐大蛇様の記憶にしっかりとある筈だ。
摩耶:判定官、どうですか?
瞑想して八岐大蛇の記憶を覗く判定官
判定官:被告神の言う事に偽りはございません。
結衣:(マズいわね、自身の記憶ではなくより信憑性の高い八岐大蛇様の記憶の判定を指定してくるなんて・・・あれ?何で八岐大蛇様のだけなんだろう?・・・そこを突いてみる価値はありそうね♪)閻魔大王様!
摩耶:何ですか?
結衣:判定官に被告神の記憶の判定もお願いしたいのですが。
ジョージ:なっ⁉︎
弁護士:異議あり!閻魔大王様、検察側は自身の追及が不利と見て苦し紛れに裁判を長引かせるために無駄な判定をさせてるに過ぎません!
摩耶:検察側、どうなのですか?
結衣:苦し紛れ?果たしてそれはどちらでしょうかね♪
弁護士:なんですと?
結衣:確かに八岐大蛇様の記憶は紛れもない真実でしょう。もしも被告神の言う事が真実であるのならば、被告神の記憶も視点違いで同じビジョンが判定官に見える筈ではありませんか?
ジョージ:グッ!
弁護士:そ、それは!
摩耶:検察側の意見に一理あります。判定官、ビルドルフ被告の記憶もお願い出来ますか?
判定官:分かりました。
再び瞑想してジョージの記憶を覗き込む判定官
判定官:おや?
摩耶:どうしました?
判定官:ビルドルフ被告の
摩耶:何が見えましたか?
結衣:被害者を殺害する様子ではありませんか?被告神視点のね。
判定官:検察官の仰る通りです。
結衣:皆さんもご存知の通り神族は勿論、我々魔族も神族を殺害する事は出来ません。神族が死ぬ要因は2つ、それは病気や寿命によるものと神王による他殺です。
傍聴席が再び騒めきだす
摩耶:静粛に!検察側の言う通りですね。
結衣:殺神がビルドルフ被告、ドルトン被告、タイタニア被告のいずれかの犯行であればその中で犯行が可能なのはただ1
ジョージを指差す結衣
結衣:建設超大国ビルドルフ合衆国元大統領ジョージ・ビルドルフ被告、貴方しかいないのですよ!
ジョージ:ふぐぅ!
摩耶:弁護側、検察側の指摘に対し何か反論は?
弁護士:クッ!べ・・・弁護側は・・・以上です!
摩耶:続いて、ヴァルキリー密造の件に関して質問を始めてください。
弁護士:は、はい。それではタイタニア被告にお聞きします。タイタン建設グループはヴァルキリー建造の秘密工場建設を請け負った疑惑に関して貴方は裁判前のマスコミに対し、ライバル企業が貴方の会社を潰そうと画策した全くの濡れ衣と言いましたがその根拠は?
ゲオルグ:そのライバル企業の社名は言わないといけませんか?
弁護士:それが事実なら貴方の容疑を晴らすために必要な事です。
ゲオルグ:その企業の名は
摩耶:判定官。
判定官:確かに、タイタニア被告の言う通り建神建設は過去タイタン建設グループに対し様々な妨害工作をしていますね。ですが・・・
摩耶:ですが?
結衣:その会社は経営破綻によってとっくに倒産しているですよね?
判定官:その通りです。
結衣:倒産して自身の身の回りの事で精一杯の者が果たしてそんな余裕があるのでしょうか?
ゲオルグ:そ、そんなの潰された復讐するために決まってる!
結衣:潰された?復讐するため?
ゲオルグ:しまっ!
結衣:その辺も詳しく聞きたいですね♪
ブライ:(馬鹿者が、余計な事を!)
ゲオルグ:・・・・
摩耶:被告神。黙秘権を行使するつもりでしょうが、その発言は本件に関わる重要なもの。当法廷は証拠能力のある有力な情報と判断し、閻魔大王特権を発動させていただきます。判定官、
判定官:承知致しました。
ゲオルグ:や、やめろーーーっ‼︎
判定官:・・・被告神のライバル企業である建神建設元社長の
摩耶:彼のその後は?
判定官:タイタニア被告は保身のためにその日の夜に建神氏を呼び出し殺害、その後魂とメモリースフィアを処分しています。おそらく法廷の場で証言されるのを防ぐものと思われます。
ゲオルグ:(な、何故始末した筈のメモリースフィアの中を見る事が出来るのだ⁉︎)
判定官:メモリースフィアを始末したのに何故かという顔ですね。答えは簡単です、メモリースフィアは壊れた直後瞬時にその記憶の全てが安全のためマスタースフィアに移されるからですよ。
ゲオルグ:うぐぅ!そ、そんな事が!
結衣:さて、そろそろ検察側も良いですか?
弁護士:え、ええ。(まだだ、まだ向こうはあの証拠を掴んでない!)
結衣:では私はドルトン被告にお伺いします。
弁護士:なっ⁉︎
結衣:地精重工グループ元社長、ブライ・ドルトン被告。貴方にはヴァルキリー密造疑惑がありますが、貴方が建造したのは本当にヴァルキリーだけですか?
ブライ:そ、それはどういう意味だ?
結衣:天界宇宙には
ブライ:そ・・・それは当然取っている・・・弁護士!
弁護士:は、はい!
1枚の許可証を差し出す弁護士
弁護士:ここにあるのは14天界王兼科学相の
結衣:それは果たして本物なのでしょうかね?
ブライ:な、なんだと⁉︎
結衣:閻魔大王様、検察側には弁護側の出した偽物の許可証に対する証拠品提示の準備があります。
ブライ:ほ、ほぉ。(う、嘘だ!そんなのあるわけがない!)
摩耶:当法廷は検察側の証拠品の提示を認めます。検察官、その証拠とは?
培養カプセルに入った
摩耶:こ、これは久遠様⁉︎
結衣:そう、これは14天界王兼科学相の菅原道真様こと、久遠様のクローンです。ドルトン被告はこのクローンを使い偽の許可証にサインさせそれをドクトリア女王に見せて
弁護士:(あれは確かに始末させた筈なのに何で無傷で残ってる⁉︎)
結衣:ある情報筋からの情報によれば弁護側はこれを始末しようと違法解体業者に依頼して処分しようとしたらしいのですが、検察側はそれを阻止しこうして証拠品として確保出来ました。検察側は判定官に弁護士の記憶並びにドルトン被告の記憶の閲覧を要求します!
摩耶:14天界王様のクローンを無許可でしかも犯罪目的で生産するのは天界宇宙を揺るがす大罪、よって当法廷は事態の緊急性があると判断し検察側の要求を受理します!判定官、お願いします。
判定官:承知致しました・・・これは・・・
摩耶:どうでしたか?
判定官:検察側の推測通りでした。被告神とその弁護士は共謀してクローン無許可生産の大罪を犯しています。
摩耶:弁護側、この事実に対し何か申し開きする事はありますか?
弁護士:べ、弁護側に反論は・・・反論は・・・ありません。
立ち上がる摩耶
摩耶:当法廷はこの事実に対し第5回公判意見陳述の必要性は皆無とみなし、一旦休廷後判決に移ります!
次回へ続く・・・
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