第55話 死霊裁判(前編)
ユリカ:人間の皆んな、今回は本来なら強制捜査ビルドルフ合衆国編なんだけど。
※このお話に登場する実際の人物と登場人物並びに施設等との関係は一切ございません。
魔界時間9:00 地獄界 賽の河原トランスゲート前
死者を案内する閻魔庁職員
職員:は〜い、先月亡くなられた方優先ですので列を乱さないでくださ〜い!
???:ほ〜う、今の地獄ってのはこうなってたんだなぁ。てっきり船着場があって脱衣ババアが居るのかと思ってたなぁ。長さんもここ通ったのかねぇ?
亡者A:お、おいアレってまさかあの人じゃね?
亡者:B:あ、ホントだ!・・・死んじゃったんだ。あの人ほどまだ生きててほしいと心から願える人はいないのに〜。
職員:このゲートを通って瞬間移動しますと民事エリアの入り口となっておりますので着きましたら係員の指示に従ってお待ち下さい!
職員の案内で次々とゲートを通って空間転移する亡者達
女性職員:次の方〜!
???:お、次は俺の番か。
タブレットの閻魔帳で調べる女性職員
女性職員:え〜っと、
けん:そうですぅ♪
女性職員:うわぁ、本物だ♡いや〜、いかりや長介さんを案内したのも私なんですよ〜♪あの人の本名って
けん:長さんもビックリしてたんじゃない?
女性職員:ええ。あ、私志村さんを担当する地獄界閻魔庁職員で赤鬼族の
けん:ヨロシク♪あ、それはそうと長さんってその後どうなったの?
枯葉:死霊裁判の際に犯罪歴が無い事と多くの人に笑いで夢と希望を与えた功績を考慮して無罪転生の判決が出たんですが、その後何に転生したと思います?
けん:長さんの事だからここに残ってたりしてな♪
枯葉:凄い!正解ですよ。あの人、転生省で偉人転生して魔界に残ったんですよ♪
けん:偉人転生?
枯葉:偉人転生というのは、生前の姿と記憶で蘇る転生方法です。その代わり、準備期間の間に何処かの国に国土争奪戦争参戦偉人として登録する事と2度と現世に戻れないという条件付きですが。
けん:そらそうだわな、生前の姿で現世に戻ったらそれこそパニックになるもんなぁ。
枯葉:ご理解感謝します♪
先輩職員:秋庭く〜ん!困るよ〜、早くしてくれないかなぁ!
後ろで凄い行列が出来ている
けん:いっけね!そろそろ行こうか。
枯葉:は、はい!
『地獄界民事エリア』
枯葉:はい、こちらが亡くなられた方が必ず訪れる地獄界は民事エリアでございま〜す♪
けん:へぇ〜、随分と雰囲気の良い所だねぇ♪っと、これから俺は何すれば良いの?
枯葉:これから志村さんには閻魔庁へ死亡届けを提出した後に民事裁判所にて志村さんの今後を決める死霊裁判の手続きを行います。その後は裁判の時間まで自由行動となります。
けん:え?そんなゆるい感じなの?
枯葉:裁判前は行動範囲は限られていますが、民事エリア内なら自由になさって大丈夫ですよ。それに志村さんは良心ランクSSSですからこそ自由行動が認められているんです♪
けん:そんじゃ、早速手続きしよっか。
枯葉:は〜い、ご案内しま〜す♪
『民事裁判所受付』
受付嬢:志村康徳さんですね?
けん:はい。
受付嬢:では閻魔帳と照合致しますので、ここに必要事項を記入して最後にここへ人差し指で軽く押して下さい。
けん:はいよ〜♪
受付嬢:・・・はい、これで手続き完了です。志村さんの裁判は明日の14時となりますので10分前までにはここに来る様にして下さい♪
けん:明日は良いんだけど、その間は?自由行動って聞いたけど?
受付嬢:死霊裁判を受ける方は宿泊施設をこちらでご用意しております。
けん:それなら安心だわな♪
枯葉:私は次の方の案内の準備がありますので名残惜しいですが、裁判までここで一旦お別れです。
けん:良いよ良いよ、ありがとね♪
枯葉:あ、これタブレットです。自由行動なさる方に配布しています。分からない事がございましたらこれで調べて下さい。通話等はこの腕時計型のこのパネル部分に指で触れれば念話をする感覚で通話が可能です。私のアドレスを登録しておきましたので困ったら遠慮なくご連絡下さい♪
けん:はいは〜い♪
民事裁判所を出るけん
けん:さ〜て、自由行動っていってもな〜にすっかなぁ。軽く散歩でもしてみるか♪
『民事エリア遊歩道』
けん:地獄ってのはおっかない所のイメージがあったけど、平和だねぇ♪
ヘルハウンドの仔を散歩させる悪魔族の老婆
けん:へぇ、地獄にもワンちゃんは居るんだなぁ。こんにちは♪
老婆:はい、こんにちは♪散歩ですか?
けん:つい最近死んだばかりで。
老婆:おやそうかい♪
けん:このワンちゃんは何という犬種ですか?
老婆:この仔はヘルハウンドっていう犬種なんだよ〜、大人になるとケルベロスになるんだよ♪
けん:ケルベロスってあの頭が3つで地獄の番犬の?
老婆:そうそう、家は大きいから飼えるんよ♪
けん:名前は?
老婆:女の子だからまる子っていうの♡
まる子の目線まで
けん:そっか、お前まる子ってのか♪
まる子:アオン♪
老婆:おやおや、これは珍しいねぇ。この仔は人見知りがあるから初対面にはあまり懐かないんだけどねぇ。
けん:生前もよく色んな動物から好かれてましたよ♪
老婆:そうね、貴方この仔を見る時は優しい顔するもん♪
けん:じゃ、またな♪
まる子:アン♡
けん:さ〜て次は・・・ん?
宙に浮いたモニターから情報番組が流れる
けん:賽の河原から来た時もそうだったけど、地獄は文明が結構発達してんだなぁ。
司会:一部人界宇宙では悪性の肝炎ウイルスが
コメンテーター:人間がカオスを体内で消滅させる免疫機能があるように、我々魔族には悪性ウイルスを体内で消滅させる免疫機能があるので他の人間に感染する事はまずありませんし、我々にも感染する事はありません。
けん:(コロナウイルスの事か)
司会:何故突然あの様に爆発的に感染が広まったのでしょうか?
コメンテーター:間違いなく惑星免疫作用ですね。これは生物の体内に居る白血球等といった免疫作用を持つのが惑星でいうとウイルスになります。これはまだ人界では未発見ですが、恐竜が絶滅した要因が氷河期に加え体内の熱を急激に下げる悪性ウイルスが恐竜に蔓延したからなのです。
司会:それが何故人間に?
コメンテーター:環境破壊の影響による異常気象等で惑星免疫作用の暴走ではないかと我々専門家は見ております。
けん:(そうだったのかぁ)
コメンテーター:したがって、一刻も早く魔界宇宙帝王ヘイルフォックス様の推奨する人魔和平計画をもっと積極的に進めて人間達が魔界と対等な文明にまで発展する必要があるのですよ。
けん:俺達の事をよく考えてくれてるんだなぁ。
遊歩道のベンチに座ってお茶を飲む摩耶
摩耶:御前裁判に死霊裁判、私最高裁担当じゃないのに何で御前裁判なんてやってんだろう?
けん:隣良いかい?
摩耶:ど〜ぞ〜♪
けん:アンタも地獄の人?
摩耶:はい、閻魔庁で働いてます♪
けん:その若さで凄いねぇ♪
摩耶:私本当は民事担当なんですけど、最近最高裁までやってるんです。
けん:最高裁⁉︎そりゃ凄いねぇ。
摩耶:すっごく緊張しますよ〜!御前裁判っていってですね、天界宇宙と魔界宇宙、そして冥界宇宙に人界宇宙の司法最高責任者の立ち合いで行われる神様を裁く裁判なんです。
けん:神様を⁉︎
摩耶:そうです・・・ん?
摩耶のデバイスに着信が入る
摩耶:はいはい・・・えっ⁉︎わ、分かった直ぐに戻るよ!
通話を切る摩耶
摩耶:すみません、先を急ぎますので!
けん:は〜い♪
足早にトランスゲートへ走る摩耶
けん:さて、宿泊施設に戻るかな。
後編へ続く・・・
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