第33話 御前裁判 VSガリウス&ダストン(開廷)

 ユリカ:遂に始まった御前裁判、おんや?羅刹様の横に誰かいるね。誰だろ?


 境界時間9:00 4界宇宙統合司法裁判所 御前裁判当日


『検察側控室』


 結衣:じゃ、改めて今回の裁判の真の目的を話すわね。この裁判は天界宇宙女優ストーカー事件の審議。でも当の容疑者は殺害され、裁判自体が無かった事になろうとしている。そこにストーカー事件裁判1週間前に2ふたりの神々がで逮捕され2つの審議が追加された。でもそれは。ここまではいい?


 シンディ:ええ。


 結衣:私のこの裁判での真の目的はその2柱をヴァルキリー密造計画の実行犯である事を告発し、その根拠を示して有罪判決に持っていく事。


 シンディ:驚いたわ、まさかただのストーカー事件の裏にこんな大事が隠されていたなんて。


 結衣:相手側の弁護人は例によって夜雀蘭子よすすめらんこ弁護士。でも正直あの女性ひとは眼中にないし、この裁判で大して障害にはならない。


 シンディ:(あの弁護士なんか可哀想)


 係官:朝珠検事、お時間です!


 結衣:分かりました。


『境界時間9:30 御前裁判開廷』


 判事席に立つ途中の階段で足の小指をぶつけうずくまる摩耶


 摩耶:〜〜〜ッ!※声にならない叫び


 飛鳥:だ、大丈夫ですか。


 瑠璃:さ、私達の肩に掴まってください。 


 摩耶:・・・グスッ。有難う。


 茜:(マヤたん可愛い♡)


 シンディ:(動画に撮ったわ!お尻もバッチリ撮れてる♪今夜のオカズはこれに決まりだわ♡)


 羅刹:(眼福、眼福♡)


 結衣:(・・・とか思ってんだろうなぁ、あの3人。それにしても・・・)


 羅刹の真横に座るフードを深く被ったパーカー姿の女性


 結衣:(あの女性誰だろう)


 判事席に立った途端閻魔族の威圧で和やかムードが一変して緊張が走る


 摩耶:本来この裁判は天界宇宙女優ストーカー事件でしたが、容疑者死亡のためその審議は死霊裁判に移行し、新たに逮捕起訴された2柱の神王と神族の審議を執り行います。それでは最初の被告神ひこくにん、証言台に立ちなさい!


 証言台に立つ神王


 摩耶:被告神、名前と職業と種族を述べなさい。 


 ガリウス:ロードラング公国公王ガリウス・ロードラング。種族はヘラクレスの縁戚よ。

 

 摩耶:続いて2人目の被告神も証言台に立ちなさい!


 証言台に立つ神族の老人


 摩耶:被告神、名前と職業と種族を。


 ダストン:エンゼリウス社会長ダストン・エンゼリウス。種族は天之御中主神あめのみなかぬしのかみ


 摩耶:朝珠検事、事件の説明を。


 結衣:はい、事件の発端は今から50年前に遡ります。天界でも5本の指に入る大女優シンディこと、本名カオリ・キャンベルさんに枕営業を迫ったエンゼリウス社常務取締役のヴァイク・グローヴィン氏の誘いを断った事によりストーカー行為をする様になったのです。


 ※天界・魔界での50年は人界で例えると5年


 ダストン:(フェッ、フェッ、フェッ。当の本神ほんにんはもうこの世に居らん・・・ん?待てよ。あの閻魔族の小娘、死霊裁判に移行すると言って・・・まさか!しくじりおったな!)


 結衣:ですがこのストーカー事件自体にが生じてきます。


 摩耶:矛盾?それは一体どんな矛盾ですか?


 結衣:もしもグローヴィン氏がストーカー事件の犯神はんにんであれば別宅のマンションからが出てくる筈なんです。


 摩耶:そのある物とは?


 結衣:それはUSBメモリーです。グローヴィン氏は女優やアイドルの枕営業時の映像を記録して後々脅される事がないようにそれをネタにする事で防ごうとしていたのです。ですが、本神ほんにんの供述のあった隠し場所を探しましたが無かったのです。そう、枕営業の証拠であるUSBがシンディさんをストーキングしていない証拠になるのです。


 摩耶:どうしてそれがシンディさんをストーキングしていない証拠になるのですか?


 結衣:本神の供述によれば、そのUSBメモリーが無くなったのはグローヴィン氏が消息を絶つ今から50年前なのです。


 摩耶:丁度ストーカー行為が始まった時と一致しますが、何故消息を絶つ時とUSBメモリーが無くなったのが同じ日と分かったのです?


 結衣:隠し場所には電子ロックがかかっていて、ロックを解除した日がグローヴィン氏のタブレット端末にそのデータが転送される仕組みになっていたのです。これも本神の供述によって見つかりました。これを証拠品として提出します。


 摩耶の下にタブレット端末が転送される


 摩耶:・・・確かに、解錠された日が記されてますね。


 ダストン:(死神しにんに口無しと安心しておったがヴァイクめ、余計な事を!)


 結衣:さて、ここでもう一つの疑問を解いておきましょう。


 デバイスを取り出す結衣


 結衣:これはグローヴィン氏が消息を絶った日に別宅のマンションに置かれていたグローヴィン氏のデバイスです。私も現場検証に立ち会いましたが、どうにもがあります。それはこの部屋にあった留守の時に自動的に記録されるシステムを持つ防犯カメラの映像で更に増しました。


 摩耶:その不自然な点とは?


 中央に浮かぶ巨大な液晶スクリーンに映るグローヴィン氏の部屋の映像


 結衣:さて、皆さんはこの映像を見て何か違和感を感じませんか?


 茜:・・・ん?奥のキッチン料理の途中?


 結衣:そう。実はこの日に呼び出されたとエンゼリウス社の社員は証言していますが、出かける時デバイスを置き忘れているのはよくある事です。しかしながら、これから出かけようとする神様が果たして料理を始めるでしょうか?


 摩耶:そうですね、誰だって呼び出されたら料理なんて始めませんよね。


 結衣:エンゼリウスさん。ストーカー事件とは全く関係ありませんが、貴方は賭博場で逮捕された時警察にはグローヴィン氏からSNSで脅迫され仕方なくあの場に居たと言いましたね?


 ダストン:そうじゃ。


 結衣:それはのです。この裁判の冒頭でも閻魔様も仰った通りグローヴィン氏は亡くなっているのです。死んだ神が果たしてメール等を送れるでしょうか?貴方のなのでは?


 ダストン:何じゃと?そう言うならちゃんとしたがあるんじゃろうなぁ?


 不敵に笑う結衣


 結衣:


 ダストン:何?


 結衣:閻魔様、検察側はここで証人の召喚を要請します!


 摩耶:良いでしょう。


 考察へ続く・・・




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