第8話VS黒峰組(前編)

 AD:本番5秒前〜!4・3・2・・


 特番司会:こんばんは、毎章末のこの時間は報道特別番組を生放送でお送り致します。今回の裁判は天界宇宙の表と裏の2大巨悪の裏のトップの裁判という事で天界、魔界、冥界、人界の4宇宙の注目が集まっております。現場には白神アナがいます。4界宇宙統合司法裁判所前の白神さ〜ん?


『4界宇宙境界エリア 4界宇宙統合司法裁判所』


 白神アナ:はい、こちらは4界宇宙統合司法裁判所前です。先日法の裁きを受けた天界宇宙の表の巨悪、袋井耀蔵ふくろいようぞう前反魔界党代表と共謀していた黒峰組組長、黒峰隆二くろみねりゅうじ氏の裁判が今まさに行われようとしており、多くのマスコミがその姿を捉えようとこのように構えております!


 特番司会:白神さん、当番組に寄せられた情報によりますと、黒峰氏は天界宇宙大手ゼネコンの黒龍建設グループ社長と同一神物どういつじんぶつという事ですが、その辺はどうなっておりますか?


 白神:・・・・はい。取り調べに対し、黒峰氏は黒峰組組長とは全くの別神べつじんと関連性を否認しており、本件に関しても無罪を主張しております・・・あ!黒峰氏を乗せた車が到着したようです!


 係官に守られるように裁判所へ向かう隆二そこに詰め寄るマスコミ


 記者A:天界の天街新聞社てんがいしんぶんしゃです。今回の裁判について心境を一言!


 隆二:今回の裁判は身に覚えのない事なので100%勝てる自信があります。


 記者B:魔界の魔皇文集まこうぶんしゅうです。4000億年に渡る長年の袋井家との癒着による汚職は事実ですか〜?


 隆二:4000億年ともなれば袋井家とは何らかの接点はあるでしょうが、癒着はあり得ません。


 記者C:冥界の冥明フォーカスです。天界宇宙で過去発生した次元エネルギー精製プラントの爆発事故並びにそれによる次元大震災は神為的じんいてきに行われ、それが黒龍建設グループが関与しているという事に関して一言!


 隆二:天界宇宙は次元工学の遅れているので我々黒龍建設グループは安全設計を重視して建設しておりますが、100%安全とは言えない事は事前に申し上げておりますので神為的に関与しているというのはまったくの心外です!


 記者D:人界のヒューマフォーラムです。先日の記者会見で朝珠検事は今回の裁判には絶対の自信があるとの事ですが、その辺はどう思われますか?


 隆二:私が勝つのは日を見るより明らかです。恥をかく前にこの裁判の訴えを取り下げる事をお勧めしますよ♪では先を急ぎますので。


『4界宇宙大法廷 検事側控え室』


 結衣:いよいよね。


 マト:ヘルベルト帝国の女帝様から『ゲルマルク・鶯博士に関する重要な証人を見付けて法廷に行くように頼んだ』と言ってた様だけど誰でしょうね?


 セイ:何か、鶯博士に一撃でトドメを刺すような証人だって言ってたっすけどね〜♪


 係官:朝珠検事、お時間です。


『弁護側控え室』


 隆二:前回の裁判では本気じゃなかったのでしょう?夜雀先生?


 蘭子:も、ももも、勿論ですよ!


 ユリカ:この明らかに動揺してんのが天界の弁護士、夜雀蘭子よすずめらんこさん。本編での裁判じゃコテンパンに負けたらしいけど大丈夫かな?この天使ひとについて詳しくは魔王少女物語の445話『裁きの庭の摩耶』の前編〜後編を読んでちょ♪


 隆二:それは頼もしい、期待してますよ♪


 係官:夜雀弁護士、時間です。


 蘭子:ひゃい!


『境界時間11:00 4界宇宙大法廷 開廷』


 判事席へ向かう途中つまずいて顔面を盛大にぶつける摩耶


 摩耶:ふぎゅ!


 飛鳥:大丈夫ですか?


 瑠璃:ジッとしてて下さい。


 摩耶の顔に回復魔法をかける瑠璃


 隆二:(フッ、大した事ねぇな。この裁判楽勝だな♪)


 判事席に立った瞬間に表情が一変する摩耶


 隆二:(な!あのアマ、判事席に立った瞬間別人になりやがった⁉︎)


 摩耶:これより、天界宇宙旧カレイド王国にて発生した次元大震災並びにヴァルキリー密造計画未遂の件を審議します。


 ゲルマルク:・・・・・・・


 隆二:(あん?アイツどうしちまったんだ?)


 摩耶:なお、ゲルマルク・鶯博士は重度の感染型精神汚染物質カオスに侵されていました。よって、当法廷に害を及ぼす危険があるため根底からカオス除去処理を行っておきました。


 隆二:(な、何だと⁉︎)


 摩耶:それでは朝珠検事、事件の説明を。


 結衣:はい。事件は今から20年前、人界でいうと2年前に相当します。天界宇宙の旧カレイド王国にて次元大震災が発生しました。原因は次元エネルギー精製プラントのエネルギー貯蔵タンクに爆発物と思われるものが発見された事から『事故』ではなく『事件』として捜査する事になりました。ですが、奇妙な事にその捜査は『事故』として処理されています。


 摩耶:何故事故として?


 結衣:発見された爆発物は事故後解体に用いられたものとの中央政府からの証言で爆発物は全くの無関係のものであるから事故としたそうです。ですが、ここである『矛盾』が生まれます。


 摩耶:矛盾?


 結衣:その矛盾とは、これです。


 宙に浮いたモニターにある一文を映し出す結衣


 結衣:これは4界宇宙で取り決められた次元エネルギー関連法です。これによれば・・・


『次元エネルギー関連法第10条第2項 次元エネルギー精製プラントにて発生した爆発事故及び、次元大震災発生後の施設での爆発物による解体作業は第二次次元大震災が発生するため重機での解体をする事を原則とし、爆発物での解体を禁止するものとする』


 結衣:当時の資料を調べたところ、この解体作業を請け負ったのは黒龍建設グループとありますが、これが事実なら重大な国際法違反となりますが?


 蘭子:閻魔大王様!解体作業を請け負ったのは黒龍建設グループですが、爆発物を持ち込んだという事実はありません!


 隆二:その通り、爆発物は重機での解体作業中発注ミスで送られて返品するつもりで置いてあっただけで使ってはいません。


 蘭子:事実、その爆発物は『使用した痕跡がない』のです。


 結衣:(使用した痕跡がない?こっちが何の準備も無しに言ってるわけないじゃない♪)閻魔大王様!


 摩耶:はい?


 結衣:検察側は使用した『証拠』の提示をします。


 隆二:(何⁉︎)


 中編へ続く・・・








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