第1話 最初の扉
えっと確か……。イイクニツクロウで11922960。これで電子ロックの第1段階はクリアだ。ピーッ! という甲高い音とともに、2段ある表示の下側が赤から緑色に変わった。
そして、問題は次だ。第1段階は週ごとにパスコードが変わる。だが、最終ロックは1時間に1度の頻度で変わっているとの噂だ。
俺はコードが羅列されているメモ帳をじっくりと見ながら、今の時間におけるパスコードが何かを調べる。
「これで……、良いのか?」
俺は少し自信を失いながら、ぽちっぽちっと0から9まである入力パネルの数字をひとつひとつ丁寧に押していく。
ミトミツクニで3103292。俺の指先がぶるぶるっ! と震えながら、最後の『2』を押す。
ピピィーーー! ガチャコンッ!!
「やった! 大型冷蔵庫のロックが全て解除できたっ! これで、マックス・ド・バーガーのタルタルソースの秘密を手に入れることが出来るぜっ!」
俺は、嬉しさの余りについ大声をあげてしまう。しまったと思い、両手で自分の口を押える。
ふう……。危ない危ない。いくら平日の昼間でさらに休業日だからといって、誰もこの店の前を通りすぎないわけじゃないんだ。通行人が休業日である店の中から、すっとんきょうな大声が聞こえたら、怪しむに違いない。
俺は念のため、聞き耳を立てて、何事も無いことをじっくりと確認する。
うむ。大丈夫だな……。
よーし、いよいよ御開帳だ。マックス・ド・バーガーのバイトですら、勤務5年以上ではないと入れないと言われている大冷蔵庫。この禁断の扉を開く時がついにやってきたっ!
しかし、その大冷蔵庫の扉を開いた時の俺の第一声は
「なん……だと」
であった……。
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