2023年7月
アマチュア限定のコンテスト!
本日「カクヨムからのお知らせ」を見ていたら、また新しいコンテストの開催予定が告知されていました。
【8/25~10/25】MFブックス10周年記念小説コンテスト開催決定!
https://kakuyomu.jp/info/entry/mfbooks_10anniversary
異世界ファンタジーの長編コンテストです。
選考方法の欄を見ると、
>読者選考によるランキングを参考値として利用しつつ、編集部による選考で最終選考対象作品を決定
となっているので、ある程度の読者評価を得られなければ、コンテスト選考側には全く読んでもらえないタイプのコンテストでしょうか。
そう考えると個人的には苦手なタイプのコンテストであり、もう早々とスルーするべき話題なのですが……。
応募資格の欄に興味深い記述を見つけて、少し気になりました。目立つように赤字で、
>本コンテストには、アマチュアの方のみご参加いただけます
と書かれていたのです。
アマチュア限定のコンテスト!
一般公募では結構ある条件のようですが、小説投稿サイトのコンテストにしては珍しいですよね?
今までカクヨムで「アマチュア限定!」なんてコンテスト、ありましたっけ? もしかしたら私が忘れているだけかもしれませんが、少なくともすぐに頭に浮かぶ例は思いつきません。私が利用している他の小説投稿サイトでも、これまで「アマチュア限定!」はなかったと思います。
一応カクヨムでは、前回のカクヨムコンで「カクヨムプロ作家部門」が新設されたりもしましたが、あれは『カクヨムプロ作家部門は、読者選考の評価にかかわらず最終選考にノミネートされます』でしたから、逆にプロ優遇。シード枠みたいなものでした。
またカクヨムの公式イベントにおいて、KAC2021で一般枠とプロ作家枠とに分けられたこともありますが、あれも参加枠を別々にしただけ。プロの参加を禁ずるものではありませんでした。
そんな例を思い浮かべても、カクヨムでアマチュア限定のコンテストが開催されるというのは、やはり私には新鮮な出来事に感じたのです。
特にこの件を気になったのは、ちょうど数日前、とある
そちらのエッセイそのものでは、プロ作家の参加云々については直接言及されておらず、ただコンテストの結果が芳しくないことが語られて「せめて一次選考くらいは通過したい」とか「コンテストで評価されるためには尖った個性などは必要ないのかな」みたいな話が書かれていただけですが……。
それを読んで私が感じたのが「むしろ逆に、コンテストで評価されるためには個性こそ重要ではないか」ということ。その理由の一つとして漠然と頭に浮かんだのが「コンテストはアマチュアだけでなくプロ作家も応募できるし、実際たくさん応募してくる。同じような内容の作品ならばアマチュアよりプロ作家の方が技術的にも経験値的にも上手く書けるだろうし、そんなプロ作家の方々と同じ土俵で勝負しなければならない以上、アマチュア作家こそ『同じような内容』でなく独自色を前面に押し出した方が評価されやすいのではないか」という想像でした。
続いて「理由の一つ」としてさらに考えたのが、これまでの自分自身の経験です。実際に私の作品の中で、少しでも「コンテストで評価された」と言えるような作品たち。それらは私の「独自色を前面に押し出した」作品だったか否か、ということ。
そもそも私の独自色と言ったら、ウイルス学の専門知識や研究経験を活かした小説になるはず。とはいえ、そんな専門的な作品は簡単に量産できませんし、ついついそれ以外の作品も書きたくなるので、実際の投稿作品のうち、私自身の独自色が濃い作品はそれほど多くありません。
例えばカクヨムのコレクションで「ウイルス関連作品」としてまとめているのは、わずか7作品。あくまでもウイルスがメインなものだけをまとめており「一応ウイルスや研究などが関わっている」という程度ならば含めていないので「わずか7作品」となっていますが、たとえ「一応少しは関わっている」という程度をカウントしても、一気に何倍にも増えるわけではないでしょうね。
現時点で私のカクヨム投稿数は337作品となっていますし、少しでもウイルスの専門知識や研究経験などを活かしたものは全て列挙する……という条件で数えても、おそらく全体の1割以下のはず。
一方『実際に私の作品の中で、少しでも「コンテストで評価された」と言えるような作品たち』において、ウイルス関連作品の割合は……。
まず「コンテストで評価された」としてわかりやすいのは受賞ですが、私の場合、書籍化デビューとは無関係な受賞ばかり。そんな受賞が4回あって、どれも特にウイルス学をネタにした作品ではありません。
だから受賞レベルでは独自色云々は無関係……と一瞬思ったのですが、よく考えてみたら、受賞作品の一つ『異世界で作ってみようオートクレーブ』は、研究室のあるあるネタを短編に落とし込んだ作品でした。研究経験があってこそ書けた内容であり、一応は私の独自性が強い作品になるでしょうね。
そう考えれば、4作品のうち1作品なので25%です。
続いて一次選考や中間選考の通過レベルで考えると、全部チェックするのは大変だとしても、とりあえずすぐに頭に浮かぶのは最近の中間通過。まあ「最近」といってもかなり昔になりますし、一番最近は4ヶ月前の「角川武蔵野」でウイルスや研究とは無関係な内容。しかし二番目に最近は半年前の「楽しくお仕事 in 異世界」であり、あの時の作品はウイルスや研究を思いっきりメインテーマとする内容でした。
他にパッと思いつく例として、大抵のコンテストでは何作品応募しても途中通過できるのは1作品のみなのですが、毎回「小説家になろう」のネット小説大賞では複数作品が一次通過しています。一番最近のネット小説大賞は昨年5月に一次選考の結果発表があった回で、その時は私の一次通過8作品のうち、4作品がウイルス関連の作品でした。
こうしてそれぞれのコンテストに関して見ていく場合、もしかしたら印象的な結果の時だけ強く記憶に残ってしまい、恣意的なデータになっているかもしれませんが……。
「それぞれ」でなく、大雑把に全体をまとめたものとして、カクヨムで作っているコレクション「コンテストで一次選考・中間選考などを通過した作品」を確認してみると、全28作品のうち6作品が、ウイルス学の知識や研究経験を活かした作品になっていました。
したがって、こうして振り返ってみた結果、やはり「おそらく全体の1割以下」しかない作品が、コンテストでは評価されやすいように感じられて……。
我々アマチュア作家が、プロ作家も応募するようなコンテストで評価されるためには、特に「最終的な受賞は無理でも、せめて一次選考くらいは通過したい」みたいに思うのであれば、それぞれの個性を活かして独自色を前面に押し出す方がいい。そんなことを思うのでした。
とはいえ、私の場合は「何が何でもコンテストで評価されたい」と考えて個性的な作品ばかり応募するより、むしろ「こんな作品が意外にも一次通過!」みたいな意外性を楽しみたい部分もあるので無個性な作品もドンドン応募する。そんな従来通りの方針で、これからもコンテスト応募を楽しんでいくのでしょうね。
……というようなことを考えたのが数日前だったので、今回の「プロが応募できないコンテストが開催される」という告知は「このコンテストならばプロと競う必要がない」という話に繋がり、私の頭の中ではなかなかタイムリーな話題になったのです。
改めて今回の告知をよく読んでみると、応募資格に関しては、
>本コンテストにおけるアマチュアとは、単著の商業小説を出版したことがない方のことです
>自費出版、アンソロジーへの短編収録、ノンフィクション著作については、単著の商業小説にあたりません
とも書かれています。
こうして「アマチュア」の定義を具体的に明記してくださるのは、とても親切ですね!
例えばカクヨムの「5分で読書」短編小説コンテストのように、カクヨムでも他サイトでも小説投稿サイト以外の一般公募でも「受賞作品は短編集に収録」というコンテストは色々ありますし、そうなると「単著の出版経験はないけれど、短編の書籍収録ならば経験ある」という方々は、これからもドンドン増えていくはず。私も「短編の書籍収録は『書籍化』に相当しないのが、この世界の常識」と思ってはいましたが、自分が常識だと思い込んでいる概念が実は違うという場合もありますからね。こうして明記していただけるのは、本当に助かります。
また、他にも今回興味深い点としては、自費出版も商業出版扱いにならない、という話。確かに、一般公募の応募規定でそれっぽいのを見た覚えもあるような気がするのですが……。私の感覚としては、たとえ自費出版であっても単著でしかも書店に置かれるものであれば、もうそれは立派な書籍化だと感じていました。でもコンテストの規約的には、自費出版だけならばアマチュア扱いなのですね。
なお今回「紙媒体」や「電子書籍」みたいな用語は一切使われていないので、ここで書かれた「出版」には電子出版も含まれるのでしょうか。そうなると「自費出版は含まない」というのも、なんだか納得できる気もしてきました。電子書籍ならば誰でも比較的容易に「出版」できるようですし、確かにそれを「商業出版」「プロ作家」扱いにしてしまったら、アマチュア限定コンテストに応募できない方々が続出してしまうでしょうから。
なお電子書籍云々を考えると「では電子書籍の形態ではなく、web上で有料でエピソードを読むような形式の有料連載はどういう扱いになるのか」というのも、少し考えてしまいます。例えば「ノベリズム」の契約作品みたいな電子配信の例をどう扱うのか、という問題です。
でも特に「電子」という言葉もない以上、今回それは大丈夫なのだろうなあ、と解釈しています。もしも私が応募するとしても、わざわざ確認のためにお問い合わせする必要はないでしょうね。
まあ何はともあれ、まるで一般公募の新人賞みたいな、プロお断りのコンテスト。それがカクヨムで開催されるのは、なかなか興味深い話ではないでしょうか。
このような条件のコンテストが今後も色々なレーベル主催でカクヨムにて開催されるようになるのか、あるいは今回限りなのか。その点には関心あるので、これからカクヨムでコンテスト開催のたびに、たとえ自分が応募する気がないようなコンテストの場合でも、応募資格の項目だけは確認していきたいですね!
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