まだ想像でしか知らないカクヨムコンと、一度だけ経験した同時期の他サイトの大きなコンテストとを比較してみる

   

 前回予告した通りのタイトルで始めてみました。

 ですが、改めて書いてみると、少し大言壮語な感もあります。あんまり期待しないでください、と最初に予防線を張っておきましょう。

 今回は『一度だけ経験した同時期の他サイトの大きなコンテスト』、つまり「小説家になろう」の「ネット小説大賞」に関しての話です。

 カクヨムしか使っておられない方々には(特に「これから他サイトにも登録してみようかな?」という方々には)、興味ある話題かもしれません。なので、軽く紹介してみるという感じです。

 逆に、皆様の中には、私以上に「ネット小説大賞」に詳しい方々もおられるでしょう。私の誤認識などありましたら、ツッコミお待ちしております。


 そもそも。

 中間総括その3の中で『去年の「第7回ネット小説大賞」の応募期間が10月末から2月頭だったので、おそらく今年も同じくらいの時期に「第8回」があるのではないか、と勝手に予想しています』と書いてしまいましたが。

 実は、あの時点で既に「第8回」の開催告知は出ていました。「小説家になろう」トップページから直接リンクはなかったので気づきませんでしたが、コンテストの公式ページには「『第8回ネット小説大賞』開催決定!」と書かれていたのです。公式ツイッターでは9月20日の日付で同じく告知されていました。

 それすら知らなかったのですから、相変わらず情報に疎い私です。この程度で「ネット小説大賞」に関してエッセイを書くなんて、本当に大丈夫なのでしょうか(笑)。


 さて、この「ネット小説大賞」。

 私が参加したのは「第7回」からなのですが、昔はコンテストの名称自体が違っていたらしいです。

 過去の公式サイトを遡っていくと「ネット小説大賞」となったのは「第4回」から。その前年は「第3回エリュシオンノベルコンテスト」となっており、「第3回」の応募要項には、頻繁に「なろうコン」という名称も出てきます。そもそも「第2回」の画像(ポスターっぽいもの)には『第二回なろうコン』という名称が含まれているので、元々は「なろうコン」の方が正式名称だったのではないか、と思いました。

 だから今でも、WEB界隈では「ネット小説大賞」のことを「なろうコン」と呼ぶ方々がおられるのですね。

 ともかく、公式サイトの方でも「なろうコン」という名称を使っていた時期がある以上。

「『小説家になろう』では『ネット小説大賞』(なろうコン)が、カクヨムにおけるカクヨムコンに相当するのではないか」と私が思う次第です。


 では、その「ネット小説大賞」こと「なろうコン」。

 その特徴として私が感じている点を、少し公式サイトの「『第8回ネット小説大賞』開催決定!」ページから引用してみます。


>「ネット小説大賞」は、『受賞だけがコンテストじゃない』をキャッチフレーズに、

>書き手、読み手にかかわらず、すべての参加者が受賞と関係なく、

>楽しめるコンテストを目指してまいります。


 受賞と関係なく、楽しめるコンテスト。

 これを読むと、要するに「受賞以外にもいいことあるよ」ということなので、ひたすら受賞を目指すガチ勢だけではなく、エンジョイ勢でも楽しめそうな文面ですね。

 この辺の「いつものコンテストとは違うよ! 盛り上がろう!」というお祭り感は、カクヨムにおける「カクヨムコンに向けての盛り上がり」と似ているのでしょうか?

 私にとっては「まだ想像でしか知らないカクヨムコン」。応募要項を読む限りでは、特徴として「受賞以外にもいいこと」があるかどうか、まだわかりません。その点では「ただ規模が大きいだけで、他のコンテストと同じようなものなのかな?」とも思えてしまうので……。

 この「受賞以外にもいいことあるよ」を「ネット小説大賞」独自の特徴として、少し詳しく述べてみたいと思います。


 さて、「受賞以外にもいいことあるよ」。

 では具体的には何かというと、また「『第8回ネット小説大賞』開催決定!」ページから引用してみますね。


>また、ご好評をいただいております『感想サービス』『ピックアップサービス』や、

>応募作からランダムにイラストをプレゼントする『イラストプレゼント』企画など、

>『受賞する・しない』に関わらず、参加するだけで楽しめる企画を多数実施予定です。


 これらは、去年の(私が応募した)「第七回」にもあったことなので、まさに「ネット小説大賞」の特徴なのでしょう。

 まず『感想サービス』。これは「コンテスト運営スタッフが、応募作品に感想を書いてくださる」というものです。

 感想。

 おそらく誰でも欲しいと思います。

 特に「小説家になろう」は、カクヨムとは違って、ほとんど感想がもらえないサイトなので(私自身の感覚)、そんな場所で「公式スタッフから感想が!」というのは、地獄で蜘蛛の糸のような有り難さです。

 もちろん、応募作品の全てに感想がいただけるわけではありません。私の場合、9作品応募して『感想サービス』に当たったのは一つだけ。

 今確認してみたところ、「第七回」の『感想サービス』は1186作品でした。「応募総数9376作品、一次選考通過1547作品、二次選考通過70作品、最終的に26作品が受賞」というコンテストでしたから、実は一次選考通過より狭き門だったのですね……。


 続いて『ピックアップサービス』。「第7回」の「コンテストの特徴」ページには、


>コンテストではスタッフ及び皆様からいただいたお勧めの作品を毎週2作品ピックアップいたします。

>参加するだけで注目度が上がる!


 と書かれていました。

『参加するだけで注目度が上がる』、確かに魅惑的なフレーズですね。

 特に「小説家になろう」のように、カクヨム以上に作品が埋もれやすいサイトでは、いっそう心にグッとくる言葉です。

 私は一つもピックアップされなかったので、その恩恵にはあずかれなかったのですが……。

 一応、これも確認してみました。全部で38作品。とても少ない!

 同じページに『読者ピックアップ!』もありましたが、それはもっと少ない作品数でした。

 まあ、でも。

 たとえ数は少なかろうと、『参加するだけで注目度が上がる』を実現するために、公式スタッフが頑張ってくださったのは事実ですからね。


 そして『イラストプレゼント』企画。

『毎月1名様に応援イラストをプレゼント』という話だったらしいです。「らしい」というのは、ピックアップ同様、私が恩恵にはあずかれなかったので、全く実感できていないからです。

 ちなみに、確認してみたら、確かに7枚のイラストが掲載されていました。見ていたら、少し羨ましくなってきました。欲しくなってきました。

 なるほど、これはこれで「イラスト目当てでコンテストに応募!」という人々が出現してもおかしくないかもしれません。


 ……と、こんな感じで。

 私が思う「ネット小説大賞」の特徴って、全て「コンテスト主催者側がサービスしてくれる」というものであり、参加者は受け身なのですよね。

 一応「第7回」の「コンテストの特徴」ページには、


>作家さんのモチベーションになる感想を、スタッフだけではなく皆様ぜひ相互につけあっていきましょう。

>今回も応募作品に感想を付けた皆様には豪華な特典を抽選でプレゼントいたします!

>ぜひこのコンテストを参加者の皆様で盛り上げていきましょう。


 とも書かれていたのですが……。

 コンテスト応募者が相互に感想を書き合うという空気、少なくとも私は、全く感じませんでした。応募作品にいきなり感想が来る、なんて経験もなかったので。

 私は一応、それまでは他の方々の作品をほとんど読まなかったのに、「感想サービスを受けた作品」一覧から適当にピックアップして、読んだり感想を書いたりしてみたのですが、ただそれだけ。

 同じページに私の作品もあるから、そういう経緯で私も読んでもらえるかもしれない、という下心と打算込みだったのですが……。効果ありませんでした。そこで作品名が告知されても「じゃあ読んでみるか」という人、結局いなかったようです。


 そんなわけで。

 私にとっては、ひたすら『受け身』感が強かった「第7回ネット小説大賞」。

 この『受け身』感こそが、カクヨムコンとの大きな違いなのではないか、と私は思っています。

 カクヨムコンのお祭り感。現時点でも、エッセイや近況ノートなどを拝見する限り、カクヨム利用者側の方で、受動的にではなく能動的に、カクヨムコンに向けて盛り上がっていこうという空気を感じるからです。

 例えば、カクヨムコンに関して考察するようなエッセイ。カクヨムでは、特に「カクヨムコンについて知りたい!」と思わずとも、近況ノートやエッセイなどを見て回るうちに、引用や言及などもあって、そうしたエッセイに自然に辿り着きます。

 一方、「小説家になろう」の「ネット小説大賞」(なろうコン)では、そのような議論は見られないものでした。いや、あったのかもしれませんが、他の膨大な作品に埋もれてしまい、私の目には入ってきませんでした。

 一次選考通過作品が発表された頃、興味を持って少しGoogle検索してみても。なろうコンに関する考察や議論は、「小説家になろう」内のエッセイではなく、外部サイト(主に匿名掲示板)における書き込みが出てくる状況でした。

 もちろん「小説家になろう」の活動報告(カクヨムの近況ノートに相当)で「一次選考に通過しました!」的な記事を書いている人もいましたし、それらは検索で引っ掛かってきます。でも、あくまでも通過報告・落選報告に過ぎず、分析的な考察や議論とは程遠いものばかりでした。


 私は、本エッセイにおいて、以前に『カクヨムって「利用者参加型サイト」って感じがする』と書いたことがあります。


> いやいや、どこの投稿サイトだって、作品を読んだり書いたりするという意味では、利用者が参加しているのは当然です。

> だから言葉としては少し変ですが、それでも。

> 運営側から与えられたシステムを甘受してただ従うのではなく、利用者の方で積極的に上手く活かしている、それがカクヨムではないか、と思ったわけです。


 今回、カクヨムコンとなろうコンとを比較してみる、という話においても。

 同じ「お祭り」感の中でも、能動的と受動的という違いが出てくるのは、とてもカクヨムらしいと感じたのでした。





 ……というのが今回の結論のようなものですが、少し余談というか、補足というか。

 逆に「ネット小説大賞」(なろうコン)に関して感じた、「小説家になろう」らしさ。

 それは『水増し』感です!

 応募総数9376作品。これでも「第6回」よりは少なかったようなので(「第6回」の応募総数は10,156作品)、「応募総数、1万作品! 日本最大級のコンテスト!」というのが一つの謳い文句だったのだと思います。

 でも、この約1万作品のうち、本当に全てが『コンテスト』と思って応募した作品だったのでしょうか?


 通常のコンテストならば、私のようなエンジョイ勢でさえも、少なくとも「どうせ無理だろうが、万が一、受賞できたら嬉しい」という作品を応募しているはず。最初から「絶対に通るわけない」という作品は出していないはずです。

 しかし、上述したような「受賞以外にもいいことあるよ」制度の場合。

 最初っから「絶対に通るわけない」も普通に参加してくるのですよね。

 例えば、感想サービスのページで見ていたら、200字小説の応募作品もありました。「受賞したら書籍化」が前提のコンテストで、これ、絶対に通るわけないですよね?

 昨年の私は、あまりにも短い作品は遠慮していたのですが……。今年は遠慮なく、バシバシ応募しようと思っています。


 結局「受賞以外にもいいことあるよ」は、裏を返せば「受賞するような作品じゃなくてもいいから、受賞なんて目指さなくてもいいから、どんどん応募してね!」という意味なのかもしれません。

 ならば、それって応募総数の『水増し』に繋がるような気がしませんか……?


 でも『水増し』といえば、そもそも。

 あちらから「カクヨム」に来てみると思い知るのが、PV数の違い。ところが「小説家になろう」のPVって、カクヨムに慣れてしまうと『水増し』感があるのですよね。

 だって、あちらはユニークアクセスではないので、同じ人が同じページを複数訪問すれば、訪問した数だけ、PVは増えてしまいますから!

 ユニークアクセスが判明するのは、PV表示の二日後。比較してガッカリ、というのが「小説家になろう」での恒例行事でした。

 一番ひどかった例では、ある長編が完結した時。

 完結すれば「完結済み作品」ということでしばらくトップページに作品名が載るので、その間だけはPVも増えるのですが……。

 その作品に限っては、なんと完結日だけで、7,712PV!「何これ? 盆と正月がいっぺんに来たの?」というレベルの驚き。

「いやいや。これって、いわゆる荒らしなのでは? 誰かが面白がって、同じページを更新し続けているのでは……」

 二日後。7,712PVの中身は、ユニークアクセスにすると、89アクセスでした。約1/100!

 昔好きだった漫画に「どうせそんなこったろーと思ったよ、チクショー!」というセリフがありましたが、まさにそんな気分でした。

 まあ、これは極端な例なので、もう少し一般的な(?)例を。

 私が7ヶ月に渡って定期更新を続けた異世界ファンタジーでは、PV累計が11,803なのに対して、ユニークアクセス累計は3,573。

 やはり、カクヨムでユニークアクセスに慣れた今となっては、なろう式PVカウントには『水増し』感がありますね。

 しかも『なろう式ユニークアクセス累計』は、厳密な『ユニークアクセス累計』ではないはず。

 最近投稿した作品で確認してみたのですが、各日のユニークアクセスの合計がユニークアクセス累計と一致していました。

 だから、おそらく「同じ人が3日間、同じページを訪れた」場合、「ユニークアクセス累計は3」となるはずです。

 これ、カクヨムのPV計算とは違いますよね? カクヨムだったら、この場合、正確に『1』ですよね?


 そんな感じで。

 私は『水増し』感も「小説家になろう」の特徴の一つだと思うので。

 なろうコンの応募総数に『水増し』感があるとしても、それはそれで「小説家になろう」らしくて良いではないか、と思うのでした。

   

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